OTOWAカップ・第33回関東女子大会が開幕!TKMオーバルズと東京山九フェニックスが快勝発進 | ラグビージャパン365

OTOWAカップ・第33回関東女子大会が開幕!TKMオーバルズと東京山九フェニックスが快勝発進

2022/11/05

文●大友信彦


11月3日、OTOWAカップ第33回関東女子ラグビーフットボール大会が開幕。第1節の2試合が行われた。

今季の関東大会は単独4チーム(横河武蔵野アルテミスターズ、RKUグレース、日体大、東京山九フェニックス)と合同3チーム、計7チームの総当たり戦で行われる。合同3チームの編成は以下の通り。

R.I.A =アルカス熊谷、立正大、国際武道大
横浜TKMオーバルズ =横浜TKM、弘前サクラオーバルズ
Tokyo LaDieS =ブレイブルーヴ、東京ガイジンGirls、北海道ディアナ

昨季はW杯を控えたサクラ15の活動日程がなかなか確定しなかったこともあり変則日程となり、6チームが2組に分かれてリーグ戦を行い、上位2チームが反対組の上位2チームとたすき掛けで「決勝トーナメント」で対戦。得失点差で横河武蔵野アルテミスターズが優勝、RKUグレースが準優勝となった(全国女子選手権へは関東から2チームが推薦されることになっていたこともあり「1番」を決めることにはこだわらない日程を組んだ)。

今季は全チーム総当たりというわかりやすいフォーマットが組まれたこと、15人制ワールドカップの開催とそれに先立つ国内テストマッチ4連戦が行われたことなど、今までになく女子15人制が注目された中での大会開幕となった。

横浜TKMオーバルズ 43-0 Tokyo LaDieS


開幕戦となったのは、横浜TKMオーバルズ(TKM)とTokyo LaDieS(Tokyo)の合同チーム同士の対戦。

永岡萌主将

永岡萌主将


試合は開始10分、相手ゴール前に攻め込んだTKMがPKでLO永岡萌が突進、TokyoはPR3小山晶子がゴールライン上でタックルし、グラウンディングを阻止するが、このプレーで負傷。早々に交代してしまう。

TKM-阪本結花の先制トライ

TKM-阪本結花の先制トライ


TKMは先制機をのがしたもののそのまま相手陣にステイし、15分に右ラインアウトから永岡の突進を起点にCTB12阪本結花がトライし先制。

FB鈴木育美のビッグゲイン

FB鈴木育美のビッグゲイン


TKM-角川穂乃花

TKM-角川穂乃花



30分には自陣からベテランFB鈴木育美のビッグゲインを起点にFL鈴木彩夏-WTB角川穂乃花で右隅ゴール前まで前進すると、そこから左へワイド展開して永岡がトライ。

4Cを決めたTKMのSO片山菫

4Cを決めたTKMのSO片山菫



SO片山菫がともにコンバージョンを決めて14-0。ロスタイムの42分にはNo8アシテナ・サヴの突破から再び阪本がトライし、19-0として折り返した。

TKM-No8サヴ

TKM-No8サヴ


前半42分、TKM阪本が2本目のトライ

前半42分、TKM阪本が2本目のトライ


TKMのSHは弘前から参加した肴倉采香_素早くパスをさばいた

TKMのSHは弘前から参加した肴倉采香_素早くパスをさばいた


リードしたTKMは後半も攻勢を緩めず、5分にPR星萌恵、14分に永岡、26分に交代出場の新原響、33分には弘前から参加のPR片岡瑞帆がトライし、43-0で完勝した。

後半、TokyoのWTB岡野知佳が相手ゴールに迫る

後半、TokyoのWTB岡野知佳が相手ゴールに迫る

勝利したTKMオーバルズ

勝利したTKMオーバルズ


両チームともハンドリング技術とディフェンス能力があがり、簡単に得点はできない展開が続いたが、TKMは阪本結花、堀毛咲良の両CTBとFB鈴木育美、FL鈴木彩夏の展開にNo8アシテナ・サヴの縦突破、SO片山菫のキックと攻撃に幅があった分、優位に試合を進めることができた印象だ。

Tokyoは立ち上がりはタフに戦っていたが、序盤の小山の負傷交代はリザーブが3人しかいないこの日のチームには厳しかった。後半は12佐藤優(北海道ディアナ)と13安藤菜緖のCTB陣、WTB11岡野知佳のランで相手ゴール前に迫る場面もあったが、得点には至らなかった。

ブレイブルーヴのサクラ15候補PR井草彩野、この日はボールパーソン

ブレイブルーヴのサクラ15候補PR井草彩野、この日はボールパーソン



エースのCTB安藤菜緖、厳しいマークの中で奮戦した

エースのCTB安藤菜緖、厳しいマークの中で奮戦した

TokyoのFBで出場した安井琴乃。ボールを持つ機会は少なかったが果敢に前に出た

TokyoのFBで出場した安井琴乃。ボールを持つ機会は少なかったが果敢に前に出た


サクラ15でW杯直前までSH兼SOでスコッド入りしていた安尾琴乃はこの試合ではFBで起用され、最後尾で主に相手キックに備えていた。もっと相手に接近した場面でのプレーを見たかったが、キックの上手い佐藤優とあわせキックの出所にバリエーションがあるのは長所だ。またこの日は欠場したピート染谷瑛海や井草彩野らが戻れば、攻撃の幅も広がりそうだ。

Tokyoの中村紘子主将はNo8で先発しPRへ移動してフル回転

Tokyoの中村紘子主将はNo8で先発しPRへ移動してフル回転



TokyoのCTB12佐藤優は北海道ディアナから参戦

TokyoのCTB12佐藤優は北海道ディアナから参戦

Tokyo-LaDieS

Tokyo-LaDieS

RKUグレース 7-48 東京山九フェニックス

7月の南ア第2戦からサクラXV7試合フルタイム出場のグレース大塚朱紗、リザーブに入ったが出場せず

7月の南ア第2戦からサクラXV7試合フルタイム出場のグレース大塚朱紗、リザーブに入ったが出場せず


第2試合は昨季2位のRKUグレース(グレース)対3位の東京山九フェニックス(フェニックス)という上位同士、単独チーム同士、優勝争いにからむ注目のカードとなった。サクラ15勢はW杯からの帰国直後とあって、フェニックスの鈴木実沙紀、佐藤優奈、古田真菜は全員が欠場。グレースの川村雅未はNo8で先発したが大塚朱紗はベンチスタートだった。

W杯後の疲れも見せず奮闘したグレースNo8川村雅未

W杯後の疲れも見せず奮闘したグレースNo8川村雅未

15人制は初めてながら突破役で活躍したフェニックス12大黒田裕芽

15人制は初めてながら突破役で活躍したフェニックス12大黒田裕芽


実力伯仲とみられた戦いだっらが、先手を取ったのはフェニックスだった。4分、CTB12に入った大黒田裕芽の高速パスからSO黒川碧が右ゴール前へキック。これを出足良く追ったWTB14鹿尾みなみがゴール前で拾うと相手タックルを受けながら右中間に押さえて先制トライ。

SO黒川のキックを追ったフェニックスWTB鹿尾がゴール前まで追い

SO黒川のキックを追ったフェニックスWTB鹿尾がゴール前まで追い


相手タックルを受けながら先制トライ

相手タックルを受けながら先制トライ


先手を取ったフェニックスはSO黒川、CTB大黒田をはじめ、FB中島涼香、WTB鹿尾とキックを使える選手が並んでいることを武器に、グレースを前後に揺さぶるアタックで効果的に敵陣を攻略。

広い視野と正確なキックでゲームをリードしたSO黒川(中央)とFB中島(左)

広い視野と正確なキックでゲームをリードしたSO黒川(中央)とFB中島(左)


フェニックスHO塩崎優衣のトライ

フェニックスHO塩崎優衣のトライ


FL長利奈々がトライ

FL長利奈々がトライ


17分にはラインアウトモールからHO塩崎優衣が、23分には黒川のキックを起点にFL長利奈々が、33分にはラインアウトモールからSH野田夢乃がトライ。37分には相手ゴール前のPKでショットを選択。このキックは外れたが、相手のインゴールからのアタックにプレッシャーをかけてハンドリングエラーを誘い、そのスクラムからCTB13岡本涼葉がトライ。

女子の試合ではPGを狙う場面を見ることは少ないが、仮に成功しなくても得点機会につながることがあるという貴重な実例となった。大黒田がコンバージョンをドロップキックで決め31-0とリードして折り返す。

前半40分、南ア帰りのCTB岡本涼葉がトライ

前半40分、南ア帰りのCTB岡本涼葉がトライ

リードして迎えた後半も、フェニックスは攻勢を緩めなかった。その起点となったのがスクラム。釜石商工時代のWTB、CTB、日体大時代のNo8、FLから昨季、HOへ挑戦していた柏木那月が社会人2年目の今季はPRに転向。3番に入り、体幹の強さを活かしたスクラムでたびたびターンオーバーを勝ち取った。

PR3で起用されスクラムにキャリーに活躍したフェニックス柏木那月

PR3で起用されスクラムにキャリーに活躍したフェニックス柏木那月

フェニックスはFWの健闘を起点に、黒川と大黒田のキックを効果的に使って前進。後半もCTB岡元、No8塩谷結がトライを連ね、さらに黒川がPGを加え、後半25分で48-0と大きくリード。

完封負けは避けたいグレースは後半30分を過ぎて意地を発揮。FB佐々木理子、FL土居美咲らの前進からフェニックスゴール前へ攻め込み、35分に交代出場のLO金子茉樹がトライ。CTB13髙井優花のコンバージョンも決まり7点を返し、その後もアタックを重ねたが、追加点には至らず。

タックルを受けながら前進を図るグレースFL土井美咲

タックルを受けながら前進を図るグレースFL土井美咲


ゴール前に攻め込むグレース小林

ゴール前に攻め込むグレース小林


ゴール前のラックからグレース20城遙花がピックゴー

ゴール前のラックからグレース20城遙花がピックゴー

フェニックスが48-7でグレースを破り、太陽生命セブンズシリーズとあわせた2冠に向け好スタートを切った。

フェニックスは「15人制は初めて」という大黒田裕芽が、ステップを切って前進しながらキックも使うというセブンズ仕込みのアタックを率先。SOに入った黒川碧とのダブル司令塔が威力を発揮した。
そこに、10月に南アフリカの国際10sに参加してきたCTB岡元涼葉、同じく10月にオーストラリアのブリスベン7s(大会は直前に中止されたが)に参加してきたLO岡田はるな主将、FL長利奈々らが、それぞれの経験で身につけたスキルを発揮した。

W杯帰りのLO佐藤優奈はボールパーソン

W杯帰りのLO佐藤優奈はボールパーソン

次節以降はW杯帰りの鈴木実沙紀、佐藤優奈、古田真菜、さらに、この日は欠場した太陽生命シリーズトライ王&得点王のニア・トリバーにも出場機会が回ってきそう。チームはどこまで進化するか、楽しみだ。

グレースはSO高橋優芽花、CTB麻田瑞月を軸に地上戦で突破を図った。フェニックスの好守の前になかなか局面を打開できなかったが、あと1本のパスが通れば面白い形は再三作れていた。ここもW杯で経験を積んだ大塚朱紗が戻ればまた違うゲームメークが見られるだろう。ここからの進化に期待したい。

グレースSO高橋を止めるフェニックスLO門脇。フェニックスの防御は最後まで集中を落とさなかった

グレースSO高橋を止めるフェニックスLO門脇。フェニックスの防御は最後まで集中を落とさなかった

グレース試合後の円陣

グレース試合後の円陣

フェニックスの円陣

フェニックスの円陣



試合後の集合写真、この日誕生日の高木チームフォトグラファーを囲んで

試合後の集合写真、この日誕生日の高木チームフォトグラファーを囲んで


応援にかけつけたフェニックスファミリーと

応援にかけつけたフェニックスファミリーと


従来、セブンズに比べて注目度の低かった女子15人制だが、今季はW杯に向けた強化試合として国内でテストマッチが行われるなど、これまでにない注目を集めた。W杯で1勝もできなかったのは残念で、参加してきた選手はフィジカル的にもメンタル的にもショックを受けているのも事実だが、次のW杯は3年後に迫っている。

男子の日本代表も同じだが、世界の上位国を相手に真剣に勝利を狙って戦った経験を、学びとして次に繋げてほしい。選手・コーチ各位には、世界での活躍を見据えてシーズンを戦ってほしいと思う。

主力選手をW杯へ、またW杯に向けた長期の強化合宿に送り、セブンズの遠征や合宿にも送りながら15人制の大会準備を重ねた各チームの選手・関係者には深く敬意を表したい。

一方で、関東大会が総当たりになって試合の機会が増えたのに対し、関西大会はまだ実施要項のアナウンスがない。関西では単独で15人制チームを組めるのが現状では三重パールズしかなく、合同チームの活動を前提にすると、スケジュールを組むのも簡単ではないことは推察できる。

それを考えると、パールズが関東大会にゲスト参加する等の経過措置を取れないだろうか。無理に大会の仕組みに組み込む必要はない(海外の例だが、20世紀末、6カ国対抗に再編される前の5カ国対抗では、各国がBYE週にイタリア代表と対戦していた。イタリアは順位には組み込まれなかったが、そこで毎週のように試合を経験できていたし、相手チームも多くの選手を起用できるなどのメリットがあった)。

ケガの可能性を考えると簡単ではないだろうが、W杯でサクラ15が何より痛感したのは海外勢に対して実戦感覚が不足している点だった。特に代表候補を多数擁するパールズの15人制の試合機会設定は早急に検討してほしいと思う。

また、15人制のチームをなかなか組めないチームや、よりセブンズ向きの選手も経験を積める場として、10人制(テンズ)の大会設定を検討してほしい。女子は男子と比べ、セブンズと15人制の競技特性に違いがない。より中間的な10sでの試合は、セブンズにも15人制にも通じるゼネラルなラグビー経験を、多くのチームの多くの選手に積ませ、経験値を高めることができるはずで、現場のコーチからも待望する声は聞かれる。協会だけでなくチーム主催のプライベート大会、リーグワン前座での開催も企画できると思う。各チームに検討を期待したい。

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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