7月16日から開幕した第9回全国高校7人制ラグビー大会は最終日、カップ、プレート、ボウルの3つのトーナメントに分かれ順位決定戦が行われた。
カップトーナメント(1位トーナメント)決勝戦は4度目の優勝を狙う東福岡(福岡)と初優勝&2冠を目指す報徳学園(兵庫)の激突となった。両者は春の選抜でも決勝まで進出したが、コロナ禍の影響で試合は中止され、報徳学園が初優勝していた。
報徳学園は「先制パンチして圧倒する」(村田大和/3年)、東福岡は「報徳学園の2冠と止める」(石原幹士/3年)と、両校ともに気合いは十分だった。

前半1分、報徳学園が伊藤利江人のトライで先制
試合はいきなり動く。キックオフ直後、「緊張していたかもしれない」(大川虎拓郎主将・東福岡)と反則を犯すと、クイックリスタートした報徳学園は自陣からアタックをしかけ、伊藤利江人主将(3年)がキレのあるステップで抜け出して先制トライ。自身でゴールも決めて7-0。

伊藤自らゴールも決めて7-0
前半3分、報徳学園が相手のミスを誘いボールを奪い返し、ラックを作らず細かいパスをつないで攻め込み、最後は長谷川諒(2年)のオフロードパスを受けた海老澤琥珀(3年)が中央にトライを挙げて14-0とする。

さらに前半2分、海老原琥珀が突破

海老原がそのままトライ
4分、東福岡も負けじと、キックで裏のスペースを突いて、高木城治のオフロードパスを受けた舛尾緑(3年)がトライを挙げて14-7と追い上げる。

前半4分、東福岡・永井大成がゴール前まで持ち込んで

サポートに走り込んだ舛尾緑がトライ
6分、報徳学園が再びパス&ランで攻め込むと東福岡は反則してしまい、最後は大外にいた石橋チューカがインゴールに抑えてトライ、伊藤主将が難しい角度のゴールを決めて21-7。

さらに前半5分、報徳学園は石橋チューカのトライで19-7
直後のキックオフ、報徳学園はキックオフのボールを長谷川がキャッチしゲイン、最後は竹之下仁悟が押さえて26-7で前半を折り返した。

直後、報徳学園はキックオフボールを長谷川諒がダイレクトキャッチ、竹之下仁吾に繋いで26-7として前半を終えた。

裏スペースへのキックに反応した永井が
後半、東福岡は再びキックで裏のスペースを突いて永井大成(3年)がトライ、3分には再び、永井がトライを挙げて26-17と追い上げる。

そのままトライを決め12-26。
しかし報徳学園はボールをキープして攻め続けて、ラックから伊藤主将が持ち出して、石橋チューカがトライ。

後半5分、報徳はSO伊藤主将が前に出て

タックルを受けてターンしながらオフロードパス

パスを受けた石橋チューカが右中間へトライ
ゴールも決まり31-17とリードを広げる。

後半6分・東福岡は大川虎拓郎主将が相手のパスをインターセプトするも報徳・伊藤が捕まえトライを許さない
試合はそのままノーサイドを迎えて初回から8大会連続、すべてカップトーナメントに進出していた報徳学園が初優勝を飾った。

報徳学園は春の選抜と合わせて2冠となった。またカップトーナメントのMVPには報徳学園の伊藤主将が選出された。

MVP(左から)プレート:田中景翔(常翔学園)、カップ:伊藤利江人(報徳学園)、ボウル:小澤龍太郎(青森山田)
なおプレートトーナメント(2位トーナメント)は常翔学園(大阪)が優勝しMVPには田中景翔が、ボウルトーナメント(3位トーナメント)は青森山田(青森)が制してMVPには小澤龍太郎が選出された。
報徳学園 MVP伊藤利江人主将
――決勝戦のテーマは?
相手がどうこうより自分たちのラグビーをしようとしていた。チームの特徴がノリなので、いい形で試合に入れた。(先制トライができたことは)大きかった。

伊藤利江人(報徳学園)
――春は決勝で対戦できなかったが……
(今大会で)決勝で東福岡とやろうと話していた。いい感じで決勝までいけて東福岡に勝てて良かった。
――準決勝・東海大大阪仰星戦を振り返ると
自信をもって戦えた。やりたいことやったら勝てると話していたので落ち着いてできた。
――どのくらいセブンズは練習した?
2週間くらい前から初めて、最初は課題があったが、大会で成長できた。兵庫予選も2週間前からやりました。

――伊藤主将、海老澤、竹之下らセブンズユースアカデミー経験者が多かったことはプラスに働いた?
ユースアカデミーで学んだことをチームに落とした。試合の合間のリカバリーの方法も教えてもらって、いいリカバリーができた。体が熱持っていたら体力が奪われるので、外から冷やしたり冷たいものを飲んだり体の中から冷やしたりして、エネルギーを無駄に使わないようにした。
――MVPを取った感想は?
MVPと言っても僕だけの力ではないので、チームのみんなが頑張ってくれてやりたいプレーができて輝けた。チームに感謝しています。

――お父さん(明治大の伊藤BKコーチ)から何か言われた?
「楽しんでやれ!」と言われました。(菅平に)来るといっていたが来なかったです
――春の優勝とは違う味わいでは?
春はやりたい試合ができなくて、腑に落ちないというか納得できなかった。今大会は実力で優勝できて良かった。東福岡に対してライバル意識を持っていたので、勝てて良かった。

春夏と2冠を獲得した報徳学園
――花園は史上4校目の3冠へのチャレンジになります
今大会、ランニングラグビーもフィジカル面も成長できたので、15人制も頑張って花園も優勝します!
東福岡 大川虎拓郎主将

負けて悔しいです。(最初2トライ取られたのは)緊張があったかもしれない。(ゲームプランは)1対1、ブレイクダウンで仕掛けようと思ったが報徳はブレイクダウンを作らせなかった。上手かった。花園では報徳に勝って優勝したい。
カップトーナメント準決勝
報徳学園 21-12 東海大大阪仰星
國學院栃木 14-24 東福岡
プレートトーナメント試合結果
<準決勝>
仙台育英 10‐47 常翔学園
長崎北陽台 14‐19 開志国際
<決勝>
常翔学園 45‐14 開志国際

プレートトーナメント決勝のレフェリーは桑井亜乃さん!


プレート優勝:常翔学園

ボウルトーナメント試合結果
<準決勝>
札幌山の手 5 - 27 青森山田
東海大甲府 14‐15 石見智翠館
<決勝>
青森山田 22‐19 石見智翠館




ボウル優勝:青森山田
