セブンズワールドシリーズのコアチーム昇格に向け、日本が順当に4強に進出した。
決勝トーナメント準々決勝の相手はチュニジア。
日本は開始1分、WTBジョセファ・リリダムの突破からFWロテ・トゥキリがトライ。3分には左隅にFW小沢が持ち込む。相手タックルを受けボールはいったんこぼれるが、手前に転がったボールをサポートのトゥキリが抑えて連続トライ。12-0とリードする。
日本は4分にも坂井主将のビッグゲインからトゥキリがつなぎ、リリダムがトライ。
6分にはレメキが抜けてオフロードパスを捕ったトゥキリが右中間へ。前半で24-0と試合を決めた。
「朝の試合よりもカラダが動いていた。チュニジアはいいチームだけど、ラグビーをさせなかった。そこにチームの進歩を感じた」と瀬川智広コーチ。
チュニジアは8強に勝ち残ったとはいえ、1次リーグで2敗を喫しており、8強進出チームでは唯一、得失点差でマイナスだった。力の差は否めなかった。
後半も日本は2分、相手ゴール前のPKからSH橋野皓介が速攻に出てレメキがトライ。3分には自陣から途中出場の藤田がカウンターアタックをかけ、スイッチしたレメキが豪快に突破。ゴール前でジェイミー・ヘンリーが繋いで小沢大がフィニッシュ。坂井のコンバージョンも決まり、後半の半分を残して38-0。
しかし最後の3分間は物足りない展開だった。
次のキックオフをFWとは逆サイドに蹴ったところ、相手にカットされ、インターセプトのような形で入れ違ってしまい、チュニジアのチェムセディン・カリファに独走トライを許す。
終了直前には獅子奮迅の働きを続けるレメキがトゥキリとのパス交換で相手を外し、左隅に飛び込んだが、ビデオ判定の結果トライは認められず、38-7で試合は終わった。
準々決勝残り3試合は、ロシアが21-14でウルグアイを、イタリアが17-12でジンバブエを、香港が10-7でチリを破った。準決勝の組み合わせは日本対ロシア、そしてイタリア対香港となった。
日本の瀬川HCはロシアとの対戦について、こうコメントした。
「昨年のワールドカップセブンズのプール戦で引き分け、そのリベンジをと臨んだボウル決勝では敗れた相手。昨年勝てなかったロシアにここでもう一度戦えるということは、私たちとしては、借りを返す絶好の機会が得られたと考えている。 ロシアもコアチーム入りのためにしっかりと準備してきているチームなので、おそらくタイトな試合になると思うが、やってきたことを信じて最後まで日本のラグビーをやりきる。あの時よりも、明らかに日本は走れるようになっている。勝つ自信はある」
日本は東京セブンズから獅子奮迅の活躍を続けるレメキ、トゥキリ、試合毎にセブンズ慣れしてきた福岡を軸に、FWの破壊力とチャンスにトライを取りきる力では4強で随一。ラグビーの総合力なら負けないが、残り3国は、いずれも準々決勝で接戦を勝ち上がったのが強みだ。日本は2日目のクック諸島戦、チュニジア戦で見せたような、入れ違いのような場面で淡泊にトライを失うことなく、コアチーム昇格を勝ち取りたい。
大友信彦 1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。プロフィールページへ |