1996年から南半球の強豪3カ国、「オールブラックス」ことニュージーランド代表、「ワラビーズ」ことオーストラリア代表、「スプリングボクス」こと南アフリカ代表により「トライネイションズ(Tri Nations)」が開催されてきた。そして2012年から、「ロス・プーマス」ことアルゼンチン代表が加わり4カ国の対抗戦となり、大会名も装い新たに「ザ・ラグビー・チャンピオンシップ(The Rugby Championship)」として生まれ変わった。
8月18日(土)に開幕し、10月6日(土)までホーム&アウェーで各国6試合ずつ戦って優勝を決める。アルゼンチンが加わった第1回目の「ザ・ラグビー・チャンピオンシップ」を記念として、W杯でチームを3位に導くなど現在のアルゼンチン代表の地位を高めることに大きく貢献した、元代表主将のアグスティン・ピチョットのインタビューをお届けする。2007年のW杯フランス大会終了約1ヶ月後、興奮が冷めやらぬパリで話を聞いた。
「闘将」。まさしく、その言葉がピッタリの活躍であった。 2007年W杯で「ロス・プーマス」ことアルゼンチン代表の主将だったアグスティン・ピチョット。
フランス南部で話されるオック語で“小さい”を意味するSHピチョットだが、フィールドの中央で強力FWと才能あふれるBKを見事にコントロール。開幕戦につづき3位決定戦でもホームのフランスを破り、アルゼンチン史上最高の3位という好成績を収めた。
W杯が終わって約1ヶ月。待ち合わせ場所は冬の到来を感じさせるパリのシャンゼリゼ通り。「長い旅は終わった」とすっかりリラックスした表情で現れたピチョットは、1時間及ぶロングインタビューに応じてくれた。
――今年のW杯でアルゼンチンはフランスを破って(34-10)で3位になりましたね。
ピチョット 実は僕らにとっても予期せぬ出来事だったね(笑)。僕らはすべてを出し切るつもりだったし、事実、それができた。もちろん優勝を夢見て、優勝するつもりで戦っていたけれど、プレーをする前や最中にそれ考えても意味をなさないことだからね。とにかく自分たちのプレーをすることだけに集中していた。だから結果的に3位になったことはハッピーだね。非常に興奮したし、僕としては“世界最高のチーム”でプレーできたことに非常に誇りに思っている。
――W杯の開幕戦でもフランスに勝ちました(17-12)。
ピチョット 誰もがアルゼンチンがフランスに勝つなんて信じていなかったんだろうね。試合後の記者会見では、こわばった表情のフランス人記者がたくさんいて驚いたね。でも、相手が誰であろうと僕たちは100%で戦っただけだと思っているんだ。
――結果には満足している?
ピチョット できれば世界チャンピオンになりたかったさ(笑)。でも達成感はある。だから、代表は引退するね。僕は長い旅をするのに疲れてしまった。13年間も代表でプレーしていたしね。W杯で3位になったことで、喜びや満足感、達成感といったものが心や体に深く刻み込まれたんだ。この気持ちを抱いたまま代表を引退することがふさわしいと思ったし、次の若い世代に託すべき時期だと思ったんだ。若い世代がラグビーを楽しみ、成長させて行くには良い時期だと思うんだ。