エディー・ジョーンズ氏が日本代表HCに復帰。「グランド内外の発言は、採用しない決定的な理由にならないという判断」 | ラグビージャパン365

エディー・ジョーンズ氏が日本代表HCに復帰。「グランド内外の発言は、採用しない決定的な理由にならないという判断」

2023/12/14

文●斉藤健仁


12月13日(水)、日本ラグビー協会は理事会を開き、次期男子15人制日本代表ヘッドコーチに、W杯までオーストラリア代表を率いていたエディー・ジョーンズ氏(63歳)に決定したことを発表した。ジョーンズHCの契約期間は2024年1月1日から2027年ワールドカップ(W杯)終了までだという。ジョーンズHCは2012~15年まで日本代表を率いて、2015年W杯では南アフリカ代表撃破を含む3勝を挙げた実績を持つ。

ジョーンズ氏決定の経緯を説明する岩渕健輔専務理事

ジョーンズ氏決定の経緯を説明する岩渕健輔専務理事



まず岩渕健輔専務理事は「本日の理事会で、次期(男子15人制の)日本代表のヘッドコーチにエディー・ジョーンズが決まったことをご報告させていただきます。明日、会見がございます。決定のプロセスについて説明させていただきます。7月12日、ジョセフHCがW杯フランス大会後に、退任が決定しました。当協会のヘッドコーチ(HC)選定委員会で選定のプロセスに入りました。選定のプロセスは 国際的な指導者採用実績のあるオジャーズ・ベルンソン社さんのサポートを受けながら候補者リストを作成しました。

その候補の絞り込みを行ってきました。候補者の方々と話す中で、コーチ数名からはW杯終了後なら検討できるとお話をいただきました。ジョーンズ氏もW杯に出場するので、W杯終了後に、状況次第でというお話はございました。その中でW杯期間中に日本協会、エージェントから候補者にコンタクトは取っていません。W杯開催中は一切の活動はしませんでした。最終的に候補者を絞りまして、プレゼンテーションを含めた面接を(12月7日、最終候補者3名と)行い、HC選考委員の考えをまとめて、今回の理事会で議論しました。非常に多くの議論がなされました。さまざまな意見がございましたが、グラウンド上での成績、パフォーマンス、国内、国際の経験などさまざまな話し合いがなされました。




コーチ業だけでなく、グラウンド外の発言等に関してもいろんな議論が行われました。ジョーンズ氏がHCとして決定しましたが、理事会の議論の中でもご本人の発言が大きなポイントとして議論されました。すべての彼の発言をすべて把握できているわけではないが、一定程度の合理性が見られるということで、それらをもってのみ今回の状況で、採用しないという決定的な理由にありえないと判断しました。HC選考委員会ではビジョン、計画、今後のラグビースタイルなどで最も高い評価を得たのがジョーンズさんでした。最終的な議論としては、様々な意見の後、大多数それでもジョーンズ氏がいいという結論に達しました」と説明した。


続いて質疑応答が行われた。


――過去、ジョーンズHCはイングランド代表、オーストラリア代表を率いていた時、コーチが何人も変わっているという現実があります。


岩渕 そこの点にも大きな議論もありました。過去、2つのユニオンで、退任される状況があまり芳しくなかったということは理事会でもありました。コーチ陣についてもそういう話がありました。そこに関しても面談の中で、直接(本人に)確認しています。さまざまな前後関係がありますが、その点だけを説明することはなかったが、本人もその件でも改善できることはあったと話していて、日本、他に国でもチャンスがあれば、多くを学んだので、次は必ず改善したいという話があった。

ジョーンズ氏決定の決め手は、プレゼンテーション

―――日本協会の選考基準とジョーンズHCとどこがマッチしたか


岩渕 (80名の)ロングリストを作った段階から、絞り込む段階でいくつかの評価項目を作っています。たとえば日本のコーチ、選手経験があるとかないとか、過去のキャリアで国際経験があるかどうかと進めました。一方で、国際経験あるだけで評価するのであれば、W杯2大会率いてくれたジョセフHCは日本代表率いるまで国際経験はなかった。面談の中でラグビーの話でいうと大きくわけて4つを重視した。

①今後の世界のラグビー、W杯に向けてどのような方向になっているか予測を含めた考え
②日本の強みの理解と最大化
③短期的な結果と中期的な結果の両方にコミットできるか
④日本の環境を理解した上でコミットできるか

という4つの大きなポイントにいたしました。それ以外には日本ラグビー協会のビジョン、戦略を共有しているか、ステークホルダーと関係できるかなどありましたが、その4つを選考委員の中で共有してポイントとした。他の2名の候補者と比べたら、(ジョーンズHCは)より明確で 筋道がハッキリしていたということが大きな違いだった。他の2名も素晴らしい計画、プレゼンテーションをいただいたが、クリアさ、課題がどこでどうしていくか、すべての面より他の候補者より良かった。

――HC選考委員会や選考の過程は?


岩渕 選考委員6名で、ラグビー協会の理事 女性の理事も日本出身者以外もおります。(土田会長と岩渕専務理事の2人は)入っております。80名のロングリストが作成されました
絞り込むにあたってはさまざまな情報をとって、誰がふさわしいか、我々の方で手伝ってもらった会社と話をして、いろんな形で絞り込んでいった。W杯後に面接は先週1度やった。さまざまな候補者がいるのでW杯期間中は、面接は行いませんでした。候補者によって過程が違ったので面接を複数回やった人も1回の人もいた。


――ジョーンズHCはインターネットで応募したのか?


岩渕 インターネットでのアプライは行っていない。インターネットで行わなければいけないとは申し上げていません。ジョーンズさんは、候補者の80名リストを作ったとき、80名が個人で応募してきたわけではなく、我々の方でも作成しています。本人の意志があるか確認しています。その中で自分の手で応募した方も他薦もあった。ジョーンズさん以外にもW杯が終われば話がしたいという方もいて、その時点でチャンスがあればという話をいただき、ジョーンズさんもその一人でした。

W杯が終わった後、最後の絞り込みをして、意志確認をしてエディー・ジョーンズさんが入っていたのは事実です。本人がアプライをしたのではなく、他の方も数名そういう人がいました。ナショナルチームを率いていた方とは会話は一切していません。

契約期間は2027年ワールドカップ終了まで

――夏に日本協会がジョーンズさんとコンタクトしたのか?


岩渕 8月25日にzoomでインタビューがあったかどうかですが、インタビューはしておりません。インタビューをしていませんが、委託会社が情報収集をしていて、情報収集したことは事実です。ヘッドコーチの面接をしたという事実はありません。それはヘッドコーチをやりますかという交渉ではなく、他の候補者の情報をもらったのは事実です。80名のリストを作るにあたって、絞り込むにあたって、どのような人間が適切かいろんな情報を収集しています。ジョーンズさんは2015年の(日本代表の)HCをしていたので、情報ソースとして委託会社がコンタクトしています。8月25日も、そういった内容を聞く機会がありました。ただそれは日本ラグビー協会の(ヘッドコーチの採用)面接ではございません。 


――他薦ということですが


岩渕 自薦ではございません。(誰が推薦したのか)そこは申し訳ありません(が言えません)。他薦のあった中で、オーストラリアHCをしていたので、それ以上の話は控えて、状況次第でW杯終了後に話そうということになっていた。(W杯後は)委託会社の方から今の状況はどうなっているかと確認しています。


――ジョーンズHCに求めることは


岩渕 さまざまありますが、今回の一番大きなポイントは、W杯で優勝に導けるか、でした。そこが何よりのポイントで、理事会の中でも議論になりました。グラウンドの中での勝利とそれ以外をどう考えるか。議論を重ねた上で、彼をHCに承認した。


――どこまでがジョーンズHCが指導する範囲なのか?


岩渕、日本代表の短期的な4年間の強化、そして8年間の強化の話をしてもらっています。ジョーンズさんだけでなく、他の候補者にも話をしてもらっています。それぞれがいろんな計画を挙げてくれて、ジョーンズさんからはU20日本代表、U20につながる高校生、U20から日本代表につながるところの強化の提案もクリアにされました。直接指導するかでいうと、代表チームのHCが直接的にコーチングするのは物理的にできる範囲でやるときはあると思います。

――契約期間は


岩渕 2024年の1月1日から(2027年の)W杯終了までとなっております。 


――グラウンド上の結果としては、この2年間はあまりいい結果を出していないが


岩渕 19年以降、そこまで前向きな結果を挙げられていないのは事実です。今、年齢的に上になってきたので、本当に指導者としてピークなのかということは理事会の中で議論はありました。チームの状況、環境があるので一定程度考えるべきだろうということはまず議論とありました。それを置いて、他の候補者より上回ったのは、プレゼンテーションの中での意見、考えが明確でクリアだったのが、他の候補者と大きな差となったというのは事実です。


――日本をよく知っているという点、国際的な経験を持っていると考えると、ジョーンズHCさんしか候補しかいなかったとも聞こえますが


岩渕 まず3人候補者が残ったという話をさせていただきましたが、3人のそれぞれが日本での経験があり、しっかりとしたキャリアがあった。ジョーンズさんと比べてどうだったかというと、一応に高いレベルで経験はあったと評価しています。日本での経験を評価するとジョーンズHC一人しかいないということではなく、限られるというのであれば一定数、限られてくるのは間違いない。

そこも議論があり、このタイミングで日本での経験をどこまで重要視するのか。日本の環境は10年、15年前とだいぶ違っているので、そこを必ずしも優先しなくてもいいという議論もあった。W杯の結果、今、日本代表が置かれている状況を見ると、かなり若手が伸びてこないといけない。そういうことを鑑みると、このタイミングでは日本の状況をわかっているほうが、短期的な結果では前向きになる。今後、そこだけにすると対象者が限られてくるので、今回の選考を踏めて、次回以降は改善が必要なら改善していきたい。


――理事会は全回一致だったのか?


岩渕 手を挙げない人がいたので全回一致ではないが、多数が今回の審議を承認した。最終的には反対意見なく決議されました。ジョーンズさんとの対話が必要ですし、彼を支える体制をどのように構築するかが重要。彼一人に任せるのではなく、コーチ陣、周りのスタッフも含めて、支える体制を一緒に作ることが速やかに必要だと議論しました。


――過去、グラウンド外で他の国を揶揄する発言しました


岩渕 我々としては彼と話をして、そういうことを起こらないようにしないといけない。


――コーチ陣は決まっているのか?


岩渕 こういう(コーチ陣の)セットアップがいいと、具体的な名前があったが、何かきまっていることはないので、速やかに一緒に決めていきたい。プレゼンテーションそのものに関しては、ジョーンズさんが最も高い評価を得たのは間違いありません。面接の結果をどう理事会に伝えたのかというと、誰が一番高い得票を得たかと伝えました。


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