ラグビー日本代表が世界の列強と連戦するリポビタンDツアー2025の遠征第3戦・ウェールズ戦が15日、カーディフのプリンシパリティスタジアムで行われた。
日本はこの試合に先立ち、FW第3列のベン・ガンターとリーチマイケルがチームを離脱。厳しい状況でツアー3戦目を迎えた。
試合は開始6分、正面左約28mのPK。3点を狙うチャンスに思えたがウェールズはトライを狙ってタッチを選択。ラインアウトからのアタックを日本FWはよく止めるが、5フェイズ目で外へ動かしたところでSOエドワーズに突破されポスト下にトライを許す。コンバージョンも決まりウェールズが7点を先制する。
日本は15分、ハイボールの蹴りあいからのこぼれ球を拾った日本CTBライリーが左サイドをブレイク。ショートサイドを突破したところでサポートのHO佐藤につなぎビッグゲイン。22m線を超えたところで捕まるとLOワーナーが右を突いてラック、さらに右に動かしFB矢崎からWTB石田につなぎ右隅にトライ。SO李承信がコンバージョンを決め7-7の同点に追いつく。

前半15分、石田吉平のトライ

だが25分。LOエピネリがノーボールタックルでイエローカードを受ける。日本は数的不利となった中で27分、相手陣10m線付近でPKを獲得。日本はここでショットを選択するが李が失敗。そして30分、今度はNo8マキシがハイタックルでイエローカード。日本は13人対15人という絶対不利な状況に陥ってしまう。

エピネリ・ウルイヴァイティ
しかし現在不調のウェールズはこの好機をなかなか生かせず、逆に日本にアタックを許し、WTBジョシュ・アダムズが倒れている日本CTBライリーへのチャージでイエローカード。日本は前半のラストプレーでPGを選択するが李が失敗。前半は互いに決め手を欠き、7-7の同点で折り返した。

李承信、前半2ゴールを外したのは痛かった
ハーフタイム終了時、ウェールズWTBアダムズのイエローカードはレッドカードにアップグレードが確定。日本は約20分間にわたって数的優位を得ることになり、キックオフから敵陣へ侵入。8分、正面30mでPKを得るとしょっとを選択し、李が蹴り込んで10-7。このツアーで初めてのリードを奪った。

マキシファウルアのトライ
だが次のキックオフの蹴り返しで10mサークルオフサイドを犯し、PKを与えると自陣ゴール前ラインアウトからウェールズWTBリースザミットにトライを許し10-14。日本は55分、ゴール正面10mのPKを得てショットを選択。李が決めて13-14と追い上げると、60分に再びPKからタッチで左ゴール前に攻め込むと4フェイズでNo8マキシが左中間に押さえトライ。李がコンバージョンを決め20-14とする。
しかしこの日の日本はリードしたあとのキックオフで集中力を欠き、すぐにトライを献上。20-21とまた逆転されてしまう。
それでも日本は次のキックオフでの相手反則でPKを得るとすぐにショットを選択。李がPGを蹴り込んで23-21とみたびリードを奪う。

齋藤直人
そこから15分、日本はSH齋藤直人の獅子奮迅の活躍などで敵陣でゲームを進行。途中出場のFWポールがハーフウェイでスティールを決めるなどリードを奪ったままラストミニッツを迎えたが、ウェールズは自陣22m線付近でフェイズを重ねたところからFLマンが突破。ハーフウェイを超えたところでカバーディフェンスに戻った日本LOホッキングスがハイタックルでイエローカードを受けてしまう。

佐藤健次
この日3枚目のイエローカード。ウェールズはそこから22m線のラインアウトに持ち込みモールで前進。日本FWは7人でこれに耐え、レフリーは「Use it」のコールをかける。だがウェールズFWはそのまま前進し、レフリーもそれを容認。結局ゴール前でウェールズがPKを獲得し、途中出場のSOエバンスが逆転のPGを成功。日本は九分九厘手にしていたツアー初勝利を逃し、ウェールズは24-23の逆転勝ちで、2年3ヵ月ぶりのホームでのテストマッチ勝利をあげた。

ハドル
日本はテリトリーで67:33、ポゼッションで53:47と優勢に試合を進め、課題だったハイボールの競り合いでも良いチェイスでボール再獲得にたびたび成功。FB矢崎のカウンターアタックも冴え、ウェールズの攻撃が精度を欠いたこともあり、終始優勢で試合を進めたが、アドバンテージを得た場面でのキックパス、数的優位を得た場面でのPG選択など、チャンスに取り急いで効果的に得点できないまま終盤を迎えたのが響き、1点差で対伝統国のアウェー初勝利を逃し、世界ランキングで12位に上がるチャンスも逃した。

ワーナー・ディアンズ
日本のワーナー主将は「ペナルティーが多すぎた。ミスも多く、相手にチャンスを与えてしまった。前半の2枚のイエローカードはやはり痛かった。後半は数的優位を活かして攻めていこうと話していたが…」と無念の表情。エディーHCは「勝たなければいけない試合だったが、ファンダメンタルなところができていなかった。若いチームなので考えすぎてしまって、ゲームを急ぎすぎた。不安になってボールを手放しすぎた」とゲームマネジメントのまずさに苦い表情だった。
日本はこれでツアー3連敗。このあとトビリシに移動し、ランキング12位への浮上へ最後の可能性をかけて22日ジョージアと今季最終戦を行う。









