平野恵里子-6ヶ月のスペイン武者修行から帰国 | ラグビージャパン365

平野恵里子-6ヶ月のスペイン武者修行から帰国

2021/06/20

文●大友信彦


昨年11月からスペイン女子1部リーグ「セビーリャ」でプレーしていた女子日本代表「サクラフィフティーン」WTB平野恵里子がこのほどスペインリーグ終了を受け17日に帰国。18日、帰国後の隔離措置で滞在中のホテルからオンラインでシーズン報告会見を行い、スペインでの経験を語った(協力=スクラム釜石)

焦りが消えたワールドカップの延期…そしてレスリーHCのアドバイス

平野は昨年9月に4年半在籍した横浜TKM(医療法人柏堤会)を退社。2021年のワールドカップに向けて高いフィジカルを経験するため、当初はオーストラリアでのプレーを目指していたが、新型コロナウィルスの感染拡大を受け断念。欧州でのプレーを模索した結果、スペイン女子1部リーグのセビーリャと契約し、11月末に渡欧した。セビーリャは昨年のスペインリーグ優勝チーム。スペインリーグは12月に開幕したが…。

「最初の頃はなかなかボールが回ってこなくて、焦りがありました。自分にとっても大きな賭けでしたから」

スペインに留学した理由は、2021年9月に開幕するワールドカップに向けて、フィジカルレベルの高い欧州で経験を積み、キャリアアップを図るためだった。代表の座は約束されていない。ワールドカップ日本代表の座を勝ち取るためには結果がほしい。WTBである自分にとって、一番わかりやすい結果はトライだ。だが、ボールが回ってこないのではトライは取れない。


「チームメイトに聞いて見たら『ウチはFWが強いチームなんだよ』という答えが返ってきて(笑)。正直、チーム選びを間違えたかな……と思った時期もありました」


そんな焦りが消えた要因のひとつはワールドカップの延期だった。
延期されていたワールドカップアジア予選は当初の予定では2021年3月に行われる予定だった。通常の時期なら試合のために短期間で往復して試合に出ることも考えられるが、コロナ禍のもとでは考えにくい。帰国したらそれぞれ2週間の隔離を覚悟しなければならない。つまり一時帰国はありえない。だが、戻らないということは、自分のいない日本代表が予選を戦うことを意味する。自分はアドバンテージを失う。それは覚悟しての挑戦だったが、試合で結果を出せていないのでは……。

そんな焦りが、ワールドカップの延期、アジア予選の延期で、消えた。


「私は自分に対してスパルタ的というか、もっとやらなきゃ、と自分を追い込むほうに考える方だったんですが、ワールドカップが延期されて、少し気持ちが楽になって、自分へのスパルタが少し緩くなって。ラグビーを楽しくプレーしようと考えて、チームメイトに寄り添ったりできるようになって、自分のメンタル的にも余裕を持ってプレーできるようになりました」


日本代表のレスリー・マッケンジーHCからのアドバイスも大きかった。


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