3日、秩父宮ラグビー場では関東大学対抗戦も後半戦に突入。第8節注目の一戦、帝京大学(4勝)と早稲田大学(3勝)が激突した。8月の夏合宿では、38-14で早稲田が勝利している。前節の慶應義塾大戦後、帝京・青木恵斗キャプテンは「夏合宿ではコンタクトの部分で負けてしまった。自分たちのプライドであるコンタクトのところを出して、その基準を自分が作ってチームとして必ず勝ち切る」と雪辱を果たす思いを話していた。
2024/11/03
文●編集部
早稲田のキックオフボールを帝京大学がいきなりボールをノックオン。早稲田が敵陣ゴール前でマイボールスクラム。9番細矢がボールを出せずノックオン。帝京大学ボールのスクラムに変わる。帝京大がアーリーエンゲージで早稲田にフリーキックが与えられると細矢がタップでクイックリスタート。SO服部がグラバーキックを蹴るもタッチを割って帝京ボール。一度帝京が早稲田陣内に蹴り返し、早稲田のアタック。
4分、LO西浦がゲイン、さらに右サイドへ展開しゴール前までボールを運ぶも帝京FLグアイニ優人がジャッカル。ピッチを凌ぐ。前半10分、帝京大学が自陣ゴール前でペナルティ。早稲田は服部のロングキックでゴール前ラインアウトのチャンス。
前半12分、このチャンスをノックオン早稲田が生かす。FW、BKが一体になってフェーズを重ねボールをキープ。最後はWTB田中が右隅に先制トライ。野中のゴールはわずかにはずれ5-0。
前半18分、早稲田は敵陣22m付近でスクラムから早稲田がスクラムを押し込み、アドバンテージをもらうと細矢が右に展開。矢崎が相手を引き付けながら背面パスで田中に繋いで右隅にトライ。野中のゴールも決まり12-0.早稲田がリードを広げた。
さらに前半20分、10番服部のハイパントから帝京大学のケアが遅れ、早稲田がプレッシャーをかけてペナルティを獲得。クイックでスタートさせると佐藤そして田中のバスが繋がり田中がハットトリックのトライを決め早稲田がリードを広げる。
前半26分、ようやく帝京大学は相手ペナルティからのラインアウトからサインプレーで6番青木がトライ。さらに前半35分、早稲田のペナルティからゴール前ラインアウトで帝京大学は再び青木が強引にボールを持ち込みトライ19対10と9点差に迫った。
前半38分、早稲田は敵陣10m付近でハイタックルのペナルティキックを獲得すると、タッチに蹴り出し敵陣22m内側に入る。早稲田はラインアウトのボールが乱れるが佐藤が服部につなぐ。ボールを持った10番服部がそのままトライ。野中がゴールを決めて26対10で早稲田がリードして前半を折り返す。
後半先にチャンスを迎えたのは帝京。早稲田が自陣ゴール前でオフサイドのペナルティ。タッチに蹴り出し帝京大がゴール前ラインアウトのチャンスを迎える。しかし當間とジャンパーのタイミングが合わず早稲田にボールを奪われると、服部がロングキックで敵陣に蹴り込むと帝京FB青栁がノックオン。
直後のスクラム、田中、WTB池本がゲイン。22m内側に入るとクリックで逆サイドに展開。福島がステップで相手ディフェンダーを引き付けると逆サイドから戻ってきた田中へフリップパス。田中が低い姿勢で相手ディフェンダーを交わし4本目のトライ。
さらに早稲田は後半12分、ゴール前でペナルティを獲得すると、佐藤キャプテンはショットを選択。野中が落ち着いてゴールを決め36対10とリードを26点差として帝京を突き放した。
後半16分、帝京大学は相手ボールスクラムを押し込みペナルティを獲得。敵陣に入りラインアウトのチャンス。帝京大学はラインアウトからすぐに展開。フェイズを重ねるが最終的にはノックオンでチャンスをいかすことができない。
後半23分、早稲田は敵陣の相手ボールスクラムでペナルティを獲得。ラインアウトから服部がハイパント。このボールをCTB福島がキャッチ。早稲田がボールをキープ。服部がランでブレイク。宮尾に繋いでさらにゲイン。宮尾がいいテンポでボールを展開しフェイズを重ねる。6フェイズ目で佐藤がゴールライン手前でポイントを作ると、宮尾が順目に展開。服部が相手のタックルを3人外してトライ。勝利を大きく手繰り寄せる貴重な追加点をあげた。服部自らゴールも決めて43-10と早稲田が大きくリードした。
これで試合は終わらなかった。後半試合終了間際、ここまで4トライと大暴れの田中がパスインターセプトから5本目のトライを決めて48-10とした。帝京はFL森元が意地のトライを決めるもそこまで。
早稲田が帝京から7トライを奪い大勝。4戦4勝。勝点を24として3位。次週は筑波大学との対戦。敗れた帝京は、勝点25で2位。1週空けて17日に明治大学と対戦する。対抗戦は明治、帝京、早稲田の3校が選手権進出を決めた。残り2枠をかけて、筑波、慶應義塾、立教、青山学院が争う。
帝京大学 相馬朋和監督
全てにおいて早稲田さんが我々を上回った結果、こういったゲームになったと思っています。たくさんのチャンスを作ることができたが、それをスコアにつなげることができなかった。本当に学生たちを勝たせてあげる準備ができなかった。振り返って本当に反省しています。次にむけてこういうことがないようによりよい準備をやっていきたい。
――課題は
スコアを取り切るところ。取るべきところできちんと取る。そこに尽きるかなと思います。
――メンバーのセレクションについて
ジュニア選手権も同時に戦っていて、その中でパフォーマンスが良かった選手を入れ替えたりしながら、試合に向けて調子がいい選手を選んでいます。去年までのような本当にメンバー固定してというところまでこれていないです。そういう部分に関してもある程度キャプテンとも話をしながら、固めつつ進んでいかなければいかないなというふうに感じています。
チーム全体も同じように言えますが、こういったスコアになっていますけどもいいところもたくさんありましたし、修正しなければいけない悪い部分も同じようにありました。次にむけてどちらかに偏ることなくいい準備を整えたい。
帝京大学 青木恵斗キャプテン
今日の試合は早稲田医学の前に出るディフェンスだったり、接点の場面の強さであったり、全てにおいて自分たちが受けてしまった結果、このような敗戦となってしまいました。準備してきたものを出そうと思ったんですけど、肝心な敵陣に入ったところで、自分達が少し耐えきらずミスをおこしてしまったので、プレッシャーに対してチームとして対応できなかった結果がこういう結果になったかなと思います。
秩父宮という会場で観客も多いですし、経験の少ない選手も今年は多いので、プレッシャーになれなかったからと思います。前の試合からメンバーが変わったので、そこに対して1週間という短い期間でしか準備できなかったので、もう少し長い時間で準備できたら、結果は少し変わったのかなと思います。
(点差が離れましたが)出ているメンバーは帝京大学として150人の代表なので、スコアが離れようが離れないが自分達はハードワークして戦い続けようと言う思いでしたが、うけてしまって自分達のらしさが出せなかった。
――課題は
敵陣に入ったところのスコアができるかどうか本当に課題だと思うので、そこで取り切るとゲームの流れとは変わってくるので、もう1回チームとしてミスに対してもっと厳しくできるところまで仕上げたい。コンタクトのところはいけるというチームとしての自信もあったので、もう1回7点を取りに行こうという選択になりました。
――スクラムのアーリーエンゲージについて
ワンコールワンアクションで自分たちがしっかり組めてなかったのでそこのところはレフェリーとコミュニケーション取って、チームにも伝えていました。スクラムで流れを持っていかれたとは思っていないですけど、やっぱり自分たちのミスから敵陣に入られて苦しい展開になったのでそこは課題だと思います。
早稲田大学 大田尾竜彦監督
今日の試合は対抗戦の1試合ではなく、我々が何としても超えないといけない帝京大学さんが相手ということで非常にチーム全体としてこの試合に集中していきました。今週1週間の練習の中でうまくいかないことやミスが出た時に不安になったこともあると思うんですけども、それをしっかり乗り越えて、今日の試合は本当に自分たちのやることに集中して試合をやってくれたかなというふうに思います。そこが今日の収穫点かなと思います。
――服部亮太選手について
期待どおりです。しっかりとプレーメーカーとしてプレーしているのでいいかなと思っていますけど、先を見た時にやはり今日も65分くらいで足をつって交代というところで先を見据えるとコンディションというのはもう少しやらないといけないという話をしています。
――矢崎について
土曜日の試合だったので、土曜日が終わった時点で本人と連絡を取って、日曜日、月曜日、火曜日と休養とリカバリーに当てました。その間に今週やることについて頭の中で整理してもらって水曜日から実際に動いてもらったんですけど、これに関しては代表に行く前に、本人とも話をしていて、本人もしっかりと切り替えて来てくれたので、その辺成長した部分でもありますし、本人も自覚が相当生まれてくるかなと思っています。
――WTB田中健想選手の5トライについて
トライに関しては本当にFWのファイトがあったからと、一つ前の(佐藤)健次や矢崎のいいパスがあったからだと思います。ただ1年生ながら堂々としたいいプレーだなと思います。彼のいいところはしっかりとスイッチを入れるというか、1年生には珍しいんですが、気負いせずに臨んでいって、ある時ぱっとスイッチを入れられるというところが非常に良いです。対抗戦が始まったときは少しプレッシャーと緊張もあったと思うんですけど、慣れてきて本来の力を発揮しているというところが非常に評価できます。もっともっと自信をつけてもっともっと良い選手になっていくのかなと思います。
――SO服部亮太選手は、監督から同じポジションとしてアドバイスをもらっていると言っていました。どんなアドバイスを
皆さんもご覧の通り服部は非常に恵まれた才能を持っていて、本人もしっかり練習を大事にするような人間なので、成長する余地は大いにあります。その中でポジショニングとか、パスをするときの細かいところとか、大学でもそうなんですけども、これからもっと上のステージにいっても困らないといったら辺ですけど、プレッシャーを背負いながらプレーする位置を覚えさせないといけないなと思っていて、彼の高校時代の癖をぬきつつ教えているというかんじですね。
早稲田大学 佐藤健次キャプテン
一つのターゲットゲームだったので、そこに向けて全員がポジションバトルのところですごいファイトができたので良かったかなというところと、僕がHOになって、これまでは帝京大学にセットプレーで圧倒されて、まけてしまうところが多かったんですが、今年は4年生になってセットプレーを中心にいいゲーム運びをできたかなと思います。それはゲームメンバーだけじゃなくて、今週勝ったのはBチームのおかげでもあり、下のグレードのC,Dチームの雰囲気づくりのところが勝てた要因なのかなと思っています。
Aチームしか試合できないんですけど、CD、Bチームが本当に今週自分たちが帝京と戦うんだという気持ちを持ちながら練習してくれていたので、チームとしてすごくいい雰囲気で一週間を過ごすことができました。
――自身のパフォーマンス
コンディショニングのところはいろいろと帝京戦にむけて、元々日本代表の頃から引きずったものがあってしっかり治す期間を監督からいただいて、しっかり100%の状態でプレーできるようにまで戻しました。
個人的には、一昨年や去年までは自分がゲインして、自分がトライをするのが一番いいと思っていたんですけど、今日の試合でも要所要所でいい楔は打てたと思います。ラストパスだったり、セットプレーの安定など。
自分としては(青木)恵斗が2トライしたんで頑張りたかったんですけど、自我といいうか自分が自分が、というよりは本当にチームが勝つために何をしなくちゃいけないかを考えてプレーできたのでまた新しい成長ができた試合だったのかなと。今後期待してもらえれば。
――夏合宿に勝利したときとの違い
勝った後はあんまり違いはないんですけど、帝京大学さんであればどことやっても勝利は嬉しいです。夏合宿で帝京大学さんに1回勝ったことによって、試合前の全員のメンタリティというか、多分これまでだったら「もしかしたら帝京に勝てるかもしれない。自分たちの力を100%出したら勝てるかもしれない」というメンタリティだったと思うんですけど、今年に関してはすごい本当に自信があって、何ていうんですかね。気を抜いているとか慢心しているとかではなくて、本当に自分たちがやることをやったら勝てるということをバツ合宿で証明できたので、全員が自信をもって試合に入れたのが良かったかなと思います。
チームとしてここを勝ったら本当に一気に成長出来るチャンスがあるということを、帝京に向けた一週間が始まったときから僕がずっと言い続けていたので、すごい良かったんですけど夏合宿で帝京大学に勝って、僕が離脱していたんですけど、その1週間後に天理大学に負けて、本当に同じシチュエーションというか、次の筑波大学も本当に力もあって、一発で取り切るランナーも何人もいて、本当に慢心できないというか、もう1回イチから自分たちがやることを徹底しないと勝てない相手なので夏合宿での反省を踏まえて今週1週間の準備頑張りたいと思います。