9月10日、福岡市に新設された日本代表のトレーニング施設「JAPAN BASE」の開場記念試合として、サクラフィフティーンこと女子15人制日本代表とフィジー代表のテストマッチが行われた。
サクラフィフティーンは今年、5月にカザフスタンに、7月にスペインに勝利。10月に開催される親切の女子15人制世界大会「WXV」(日本は2部にあたる「WXV2」に参戦)を前に、恰好の強化試合となった。

試合前のハドル

国歌斉唱
試合は立ち上がりから日本ペースとなった。
キックオフで敵陣に入った日本は、相手の連続ペナルティーでゴール前ラインアウトからまたPKを獲得。ラインアウトでいったん相手にボールを奪われるがキャリーバックとなり5mスクラムのチャンスを得ると、CTB小林花奈子が縦を突いてラック。すぐにボールを出すとFL齊藤聖奈がポスト左に突き刺さって先制トライ。

再三突破力をみせた小林花奈子
今春はパールズで7人制に専念し、サクラフィフティーンの活動から離れていた大黒柱が15人制の復帰戦で開始早々にトライ。テストマッチでは昨年9月のNZ戦以来1年ぶり、自身の持つ女子日本歴代最多トライ記録を16に伸ばすトライを決めると、SO大塚朱紗のコンバージョンも成功。日本がいきなり7点を先行する。

1年ぶりのテストマッチで健在ぶりを披露した齊藤聖奈


大塚朱紗のゴールも決まって7-0とサクラフィフティーンが先制
日本はさらに16分、SO大塚朱紗の巧みなグラバーキックで得た右ゴール前のラインアウトで相手ボールのファンブルしたところをスチール。すぐに谷口が前に仕掛け、小林がフェイズを重ねたところで齊藤-加藤幸子とつないで右隅にトライ。12-0とする。

トライもあげたPR加藤幸子
その後、いったんはフィジーに自陣ゴール前に攻め込まれるが、フィジーのフェイズアタックにサクラフィフティーンは粘り強く応戦し、ゴールライン上のディフェンスで相手ノックオンを誘うと、次のラインアウトからのアタックでも齊藤がジャッカルを決めてピンチ脱出。そこから3連続PKを獲得して相手ゴール前に攻め込むと、ラインアウトからモールを押し込んでおいて、25分、CTB小林が縦に突っ込み左中間トライ。大塚がコンバージョンを決め19-0とリードを広げる。

突進する永井彩乃
完勝ムードの日本はさらに大塚の好キックなどを活かし、敵陣深くでゲームを進め、28分にはフィジーに反則の繰り返しによる警告、39分には相手ゴール前での故意の反則によりLOナケッサがシンビン処分を受ける。日本はもう1トライを取って折り返したいところだったが、PKからの攻撃でボールを奪われ、逆に反則。

古田真菜

素早いパスさばきに加えディフェンスでもチームに貢献したSH津久井萌
次のラインアウトで相手ボールのこぼれ球に齊藤が反応してターンオーバー、相手陣22m線を越えるが、日本はここであっさりと攻撃を放棄。タッチにボールを蹴り出して前半を終わらせてしまう。
相手が1人少ない状況で、敵陣深くに攻め込んでいただけに、結果はどうあれトライを取りに行ってほしい場面だった。あるいは、リードはしていてもサクラフィフティーンには目に見えないプレッシャーがかかっていたのか。

西村蒼空
その懸念は後半早々現実となった。
フィジーは14人と数的不利になりながら、日本の速さと福岡の暑さに慣れたか、試合再開のキックオフから日本陣深くに攻め込み、オフロードパスの精度が向上。数的優位の日本を自陣に釘付けにして連続オフロードパスを繋ぎ、43分、FL6テレシア・ティナニヴァヌがトライ。さらに50分には、自陣でターンオーバーした日本のキッククリアを自陣で捕ってカウンターアタック。日本のタックルを受けながら男子さながらの「フィジアン・マジック」でオフロードパスをつなぎ、SHエヴィヴィ・セニカリヴィがトライ。12-19の7点差に追い上げる。

小牧日菜多
苦しくなった日本だったが、ここで値千金のプレーを見せたのが、この試合でサクラフィフティーンデビューとなった18歳のWTB松村美咲だ。ハーフウェー付近でフィジーのパスが浮いたのを見逃さずに出足良くカット。そこから日本は小林が攻め込み、キックで相手ゴール前へ。次のラインアウトからフェイズを重ね、左中間に松村自身が飛び込んだ。日本が24-12とリードを広げる。

大塚朱紗

タックルをする長田いろはキャプテン
フィジーもその後、途中出場の23メレウェイ・ゲムの突進を軸に日本を攻め立て、WTBアディタ・ミリニアがトライ。24-17とワンチャンスで追いつける7点差に迫る。

デビュー戦で2トライを決めた松村美咲

地元で初キャップを果たした畑田桜子
しかしサクラフィフティーンはそこからも粘った。74分、相手のデリバレートノックオンで再び数的優位を得ると、PKでスクラムを選択してアタック。いったんは相手にボールを奪われるが、相手キックを捕ったFB西村蒼空からパスを受けたWTB松村が左サイドを走りきってトライを決め29-17。

途中出場から躍動した安藤菜緒
その後、ラストプレーで相手キックのバウンドを読み切れずに相手CTBメレウェイリタ・ネイヴォサに走り切られトライを献上するが、29-24で逃げ切り。
日本は今春からのテストマッチ連勝を「3」に伸ばした。
サクラフィフティーンとフィジーのテストマッチ第2は16日(土)、秩父宮ラグビー場で行われる。

声援に応えるサクラフィフティーン