サクラフィフティーン連敗するも強敵スコットランドからBP1を獲得 | ラグビージャパン365

サクラフィフティーン連敗するも強敵スコットランドからBP1を獲得

2024/10/06

文●編集部


サクラXVは5日、ケープタウンのアスローンスタジアムでWXV2の2戦目となるスコットランド戦に臨んだ。

スコットランドは今年の女子シックスネーションズ4位で世界ランク5位(日本は10位)。昨年のWXVで日本はは7-38で完敗している相手だ。今年のWXVでも初戦ではイタリアに19-0で完封勝ち。日本はWXVに乗り込む前のウォームアップ試合でそのイタリアに8-24で敗れている。かなりの強敵だ。



日本は南アに24-31で敗れた前戦から先発2人を入れ替えた。HO谷口琴美に替えて公家明日香を、WTB松村美咲に替えて松田凜日が先発入りした。
特に注目されたのは、パリ五輪のセブンズから15人制に復帰した松田のポジション。
レスリー・マッケンジーHCは松田のWTB起用について「今のチームは強いCTB陣がいるので、これを交代させる理由はない。凜日は成熟した選手でサイズにもスピードにも優れる。こういう選手をエッジに置くことは私たちのアドバンテージになる」と説明した。

松田凛日は14番で先発出場

松田凛日は14番で先発出場


サクラXV スコットランド戦メンバー(カッコ内の数字はキャップ数)

1 加藤幸子 横河武蔵野アルテミ・スターズ(26)
2 公家明日香 アルカス熊谷(16)
3 北野和子 三重パールズ(16)
4 佐藤優奈 東京山九フェニックス(18)
5 吉村乙華 アルカス熊谷(23)
6 川村雅未 (17)
7 長田いろは アルカス熊谷(35)
8 齋藤聖奈 三重パールズ(45)
9 津久井萌 横河武蔵野アルテミ・スターズ(36)
10 大塚朱紗 アルカス熊谷(29)
11 今釘小町 アルカス熊谷(27)
12 弘津 悠 ナナイロプリズム福岡(11)
13 古田真菜 東京山九フェニックス(31)
14 松田凜日 東京山九フェニックス(10)
15 西村蒼空 三重パールズ(15)

【リザーブ】
16 谷口琴美 横河武蔵野アルテミ・スターズ(21)
17 峰 愛美 日体大女子(8)
18 永田虹歩 三重パールズ(24)
19 向來桜子 日体大女子(16)
20 ンドカ ジェニファ 北海道バーバリアンズディアナ(9)
21 阿部 恵 アルカス熊谷(26)
22 山本 実 横浜TKM(32)
23 小林花奈子 横河武蔵野アルテミ・スターズ(15)

日本は前半、風下からキックオフ。開始直後の蹴り合いで自陣に入られ、スコットランド最初のラインアウトからのアタックで連続攻撃を許し、2分に先制トライを献上。0-7と先行を許すと、次のキックオフからも蹴り合いで後手を踏み、再び自陣ゴール前に攻め込まれるが、このピンチはスコットランドのラインアウトモールを止めてターンオーバー。そこからもPKからのキックがタッチに出ないなど、自陣ゴール前での戦いを強いられたが、10分、日本ゴールに迫った相手CTB12トムソンをWTBで先発した松田凜日がゴール前10mでタッチに押し出す好ディフェンスでピンチを脱出する。

大塚朱紗

大塚朱紗


ここから日本はSO大塚朱紗、FB西村蒼空、WTB今釘小町の好キックで陣地を回復。16分にはハーフウェー付近で相手ノックオンを拾ったSH津久井が好判断で相手DF裏へキックを落とすと、鋭く前に出たWTB松田凜日がキャッチしてそのまま相手陣22mまで激走。しかしゴール前で惜しくも倒され、サポートの選手が倒れ込んでしまいペネルティでチャンスを逃してしまう。

ビッグゲインが生まれたときにサポートが遅れてトライチャンスを活かせないのは8月のアメリカ戦から繰り返されてきた課題。残念ながらまだ改善されていなかった。日本は続く19分にも、FB西村蒼空の50/22キックが決まって相手ゴール前ラインアウトのチャンスを獲得。モールでトライを狙うが、惜しくも押し切れずモールアンプレアブル。

なかなかゴールラインが遠かった日本だが、29分にようやくトライが生まれる。ハーフウェーのスクラムから出たボールをSO大塚が左ゴール前へ好キック。50/22でタッチに出そうになるボールをスコットランドDFが必死に戻ってインフィールドに戻すが、そこに走り込んだのが日本WTB今釘小町。走り込んだままボールを拾い、戻った相手タックルを受けてもボールを活かし、ラックサイドを突いたNO8齊藤聖奈が南ア戦に続く2試合連続のトライを決める!齊藤は自身の持つ女子日本代表の通算最多トライ記録を21に伸ばし、日本が5-7と追い上げる。

齊藤聖奈

齊藤聖奈

日本は次のキックオフからも相手反則もありすぐに自陣を脱出し、34分にはハーフウェー付近のラックからSH津久井がチップキック。これを相手FBが足にかけたところへ走り込んだのがWTB松田凜日だ。そのままドリブルで前進して一気に相手ゴール前へ。最後はバウンドを合わせようとしたところで戻った(重大な責任を感じていたようだ)相手FBロリーがキャリーバック。5mスクラムの大チャンスを得るが、ここは8フェイズを重ねた末にLO佐藤優奈がインゴールに持ち込むがインゴールで押さえきれずゴールラインドロップアウト。

佐藤優奈

佐藤優奈

このドロップアウトからのアタックも、スコットランドDFの圧力でパスが乱れて陣地を戻されてしまい、逆にラストプレーではハーフウェーのラインアウトからスコットランドの連続攻撃を浴び、最後はCTB13スミス、WTB11マクギーの連続オフロードからFL7ステワートにトライを許してしまう。前半は5-12で折り返した。7点を取って逆転できそうな場面で得点できず、攻め返されて逆に5点を奪われた、前半ラスト5分間の攻防(差し引きマイナス12点)が最終的には大きく響いた。

弘津悠

弘津悠


日本は後半もキックオフ直後に攻め込まれるが、粘り強いDFでボールを奪い返して自陣を脱出。45分からの約10分間はずっとスコットランド陣22m線付近から奥に攻め込んでアタックを継続するが、なかなか最後の一線を越えられず、56分、正面PKを得たところでショットを選択。8-12と1トライで逆転できる4点差に追い上げるが、次のキックオフからは自陣に釘付けにされ、63分に相手WTB14ロイドにトライを許し(13スミスC成功)8-19とされる。

それでも日本は次のキックオフから攻め込み、67分、左ゴール前ラインアウトからモールを押し込んでFL長田いろは主将が日本代表通算11号となるトライを決め、13-19と6点差に追い上げる。

67分ラインアウトモールから長田いろはキャプテンがトライ13-19と食い下がるサクラフィフティーン

67分ラインアウトモールから長田いろはキャプテンがトライ13-19と食い下がるサクラフィフティーン


スコットランドも突き放そうと次のキックオフから日本陣深くに攻め込むが、日本は自陣ゴール前でのピンチを2度にわたって耐えきる。76分には自陣ゴール前のピンチを守り切ってPKを得るとタッチキックではなく速攻を選択してからキック。スコットランド陣22m線まで進んでラインアウトのチャンスを得るが、2度目のラインアウトでモールを組んだところで痛恨のターンオーバーを許し、逸機。最終スコアは13-19で敗れた。

日本は2戦を終えて0勝2敗。それでも7点差以内の敗戦によりBP「1」を獲得。勝点「3」で、ウェールズとの最終戦に臨むことになった。

レスリー・マッケンジーHC

「結果に対してはフラストレーションを感じないわけには行かない。ただ、このチームはまだ成長している段階で、すべてのパフォーマンス、ゲームのすべてから学んでいるところ。今日のパフォーマンスでも嬉しく思えるところはたくさんあった。特にDFのセットアップには満足しなきゃいけない。結果はさておき、進歩している部分には目を向けたいと思う。昨年は30点差で負けたスコットランドにこれだけの試合ができた。スコットランドは近年、輝かしい成功を収めているチーム。その相手にこれだけの試合ができたことは誇りに思って良いと思う」

「(次戦に向けては)ウェールズは我々よりも1日インタバルが多く、我々はショートウィークで望まなければならない。まずはリラックスすること。先週からこの試合に臨むまでの1週間でも我々は成長することができた。次に向けても成長曲線には自信を持っています」

FL長田いろは主将

長田いろはキャプテン

長田いろはキャプテン


「DF面では良い上がりで良いDFをできたと思うので、これを次戦も継続したい。トライを取られた場面は自分たちのミスからなので、そこを修正したい。モールでは相手DFのプレッシャーを受けた場面もあったけれど、FWがセットアップで耐えて耐えてアタックできたことはポジティブに捉えたい、前半はうまくいかないときもあったけれど、後半は相手に割られた部分をタイトにして、押す方向を変えたのが生きた。ラックでは相手のプレッシャーを受けて自分たちが準備していたものを出せなかった部分があった。修正点ははっきりしているので、次戦までに修正します」

WTB今釘小町

「キックの蹴り合いのところは、バックスリーで、まずしっかりキャッチすることを意識して、キックで敵陣に入ってプレッシャーをかけていくことをこの1週間準備してきました。実際の試合では、早めに蹴って、自陣でラグビーをせずに敵陣で試合を進められるよう、眺めのキックを蹴ることを意識しました。前半は風下で、相手にアタマを越されることもあったけれど、バックスリーでコミュニケーションをとって対応して、後半は優位に進められたと思う」

SH津久井萌

津久井萌

津久井萌


「スコットランドはスペーシングが上手くて横いっぱいに広がってDFするので穴がない。裏を狙おうと思ったけれど、そこもなかなかスペースが開かず苦労しましたが、ガマンしてフェイズを重ねて、裏が空いたところで蹴るという戦術を用意していて、そこはうまくいった。DFでは相手はフィジカルが強いチームだったけれど、前に出てプレッシャーをかけることができたのは良かった。でもところどころではフィジカルの強さに行かれたところもあった。それでも、キックも使いながらポゼッションも取れたところには成長を感じた。バックスリーのキック、トランジションのところは特に毎試合成長していると思います」

HO公家明日香

公家明日香

公家明日香


「DFでは横のスペーシングを整備して前に出ることを1週間やってきて、それが試合でできたと思う。セットプレーでも相手にプレッシャーをかけることができた。それはFWパック全体が意識していたと感じました。相手の重さは、先週の南アの方が主さは感じたけれど、今日のスコットランドにはテクニカルな上手さを感じました。(次週に向けては)一度ラグビーから離れてリラックスして、明日はゆっくりしたい。サファリには先週行ったし、今度はショートウィークなので、近場でリラックスしたいと思います」


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