女子7人制ラグビー、国内最高峰のサーキットシリーズ、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2023・第2戦秩父宮大会が東京・秩父宮ラグビー場で行われ、ながとブルーエンジェルスの2大会連続の優勝で幕を閉じた。
熊谷大会に比べ、全チームがチームとしての一体感、前回大会の課題をしっかり修正し、どの試合も激戦が続いた。ここでは、順位決定戦の全試合を写真で振り返る。
3位決定戦 ナナイロ 21 -17 フェニックス
何と言っても2人のフィニッシャー対決がバチバチ繰り広げられた。フェニックス、ニア・トリバーvsナナイロ、ジラワン・チュトラクン。序盤はニアがディフェンスでもアタックでも差を見せつけた。しかし、後半5分、自陣10m付近でボールをもったジラワン。眼の前にはニア。裏のスペースにボールを蹴り込み、跳ね返ったボールを自らキャッチしそのままインゴールへ。後ろから追ってくるニアを振り切り逆転トライ。

ケイトリン・シェイプの先制トライ

ジラワンが抜き去ろうとするもニアが止める

今度はニアがジラワンを抜いてトライ

弘津悠

小笹知美のトライ

永田花菜のゴールも決まって7-7の同点

ニアがチェンジオブスピードでジラワンを寄せ付けずトライ17-14と再びフェニックスがリード

後半5分今度はジラワン。自ら裏のスペースへショートパントしたボールをキャッチしニアの猛追を交わしてゴール中央へトライ

永田花菜のゴールも決まり21-17とナナイロが4点リード

最後は永田花菜がボールを蹴り出しノーサイド


チーム史上最高位の3位で大会を終えたナナイロ。桑水流祐策HCと中村知春GM兼選手がガッチリ握手
昨年総合優勝のフェニックスの連覇に黄色信号が点灯している。総合ポイントは28で3位タイ。1位のながととは12点の差が開いてしまった。トップ4の戦いはいずれも僅差の勝負となる。その試合に勝ちきれるか、きれないかが今の実績に繋がっている。もう一度チームとして自信を取り戻すことができるだろうか。鈴鹿大会では接戦を勝ち切るフェニックスに注目したい。
5位決定戦 三重パールズ 12 -5 アルカス熊谷
この試合でインパクトを残したのは間違いなく保井沙予。途中、頭から出血しながらも直後のプレーでペナルティーを獲得。傷の応急処置を行うとピッチに戻って激走。この戦う姿勢がチーム全体に乗り移った。

途中頭から出血する負傷を負った保井沙予

応急処置を終えた保井の状況を確認するジャンヌヘッドコーチ

ユニフォームも着替え再びピッチへ戻った保井沙予

負傷後も変わらぬパフォーマンスを見せた保井沙予

最後までボールをチェイス。

このプレーにウォーミングアップしていた、ながとの選手たちから「ナイスプレー」との掛け声に笑顔で応える保井沙予

アルカスはサクラフィフティーン、今釘小町のキックからチャンスをつくる



庵奥里愛がジャッカルを決めトライを許さない

ベスト4入りを逃したものの立て直し5位で終えたパールズ。
サクラフィフティーンメンバーが多いアルカスに対して、最後の最後までディフェンスで集中力を切らすことなく1トライに抑え込み勝利。次回は地元鈴鹿大会。地元での久しぶりの優勝を目指す。アルカスは長田いろは、今釘小町、阿部恵といったサクラフィフティーンメンバーが入りコンビネーションのところはまだこれからといった状況だった。今後の大会でチームとしてどこまで一つになれるか注目だ。

長田いろは
7位決定戦 PTS 5 -29 TKM
試合ごとでパフォーマンスにばらつきが見られるTKM。この試合ではいい方が出せた試合となった。小島碧優の2トライ、北越春香のトライで前半大きくリード。後半もしっかり追加点をとって満足のいく最終戦になった。上位に食い込むためには一貫性を出せるかが重要になってくる。PTSはディフェンスの部分で課題が明確に出た。鈴鹿大会ではどこまで修正できているか注目。

鈴木彩夏の縦突破を起点に

ロエラ・ラディニヤブニが右サイドへボールを運び

小島碧優が走り抜け

リースアンダーソン

新原響

小島の2トライで流れを引き寄せた

梶木真凛

葛西杏奈

黒田美織がトライ

近藤きらら

8位で大会を終えたPTS
9位決定戦 追手門VENUS 24 -12 ルーヴ
ブレイブルーヴに2トライを許しリードされた追手門Venusは、前半終了間際に須田倫代、岡本瑠伊のトライで2点差まで追い上げて後半を迎える。サクラセブンズで大活躍の須田倫代のプレーがさえ、後半2トライ、ハットトリックを決め追手門Venusが9位。ブレイブルーヴは前回大会から大きく順位を上げた。この試合でもいい流れでトライを取れたが、そこから自分たちの流れをキープできずに逆転負け。次回大会でさらなる上位を目指す。

ディーナ・プケタプ

安尾琴乃のコンバージョン

後半2分須田のグラバーキックに反応した吉本芽以がキャッチ

もう一度須田へ戻す

須田倫代がゴール中央へトライ


ブレイブルーヴは熊谷大会の14位から4つあげて10位で東京大会を終えた
13位決定戦 アルテミスターズ 19 -17 RKUグレース
アームレスリングのような展開。どちらも譲らない展開で迎えた後半7分、城遥花がゴール中央付近にトライ。いつもであれば容易に決められるスキルは十分ある麻田瑞月だったが、ここまでの疲労もありまさかの失敗。

前半2分麻田瑞月のトライ

先制を許したアルテミ・スターズは前半3分、田代ひなののトライで同点に

高崎真那の突破から

三原倫がサポートしてトライ

RKUグレースは後半終了間際、城遥花がゴール中央にトライ、麻田瑞月がコンバージョンを外しノーサイド
試合はノーサイドとなりアルテミスターズが13位で大会を終えた。前回は7位という結果を残したアルテミ・スターズ。今回はプール戦では勝利することができなかったが2日目は2勝することでチームとしても鈴鹿大会での浮上を目指す。RKUグレースは四国大戦で見せたようなオフロードでつなぐラグビーで攻撃力を強化したい。ここまでのトライ数は21(15位)と苦しいだけに失点はできる限り抑えたい(総失点数は238と16位タイ)

熊谷大会7位だったアルテミ・スターズは東京大会11位で大会を終え、総合順位は10位と健闘
5位決定戦・準決勝 PTS 21 -40 三重パールズ

前半1分保井沙予のトライで先制

ジャネット・オケロのトライで19-14とパールズがリードして前半を折り返す

梶木真凛

梶木真凛がそのまま走り抜けトライ

後半3分、ジャネット・オケロが秋田若菜をアウトサイドから抜き去りインゴールへ
5位決定戦・準決勝 アルカス熊谷 12 -7 TKM

長田いろは

角川穂乃花が抜けるも後ろから長田いろはが追走

長田が捕まえる

今釘小町
今釘小町が蹴ったボールを杉本七海がチェイス。角川がディフェンスに入る

杉本七海がインゴールにあるボールをグランディングしたかに見られたが直前のプレーはノックオンという判定でトライは認められず

後半1分アテカ・レイヤモが自らキックしたボールをキャッチしトライ7-7の同点

後半終了間際、小出深冬が右隅に決勝トライ

9位決定戦・準決勝 追手門VENUS 28 -12 日経大アマテラス
追手門は須田倫代の2トライ、さらに松田向日葵のトライなど4トライでリード。日経大アマテラスはサバナ・ボッドマンの2トライで食らいつくもここで敗退。前回大会からのチームとしてのまとまりが大きく感じられ次回大会以降に期待。

小西春菜

サバナ・ボットマン

テマレシ・ラヤシ

下村理紗

原田紗羽

クイックスタートでサボナ・ボットマンがトライ

松田向日葵のトライ

松田向日葵がビックゲイン

須田倫代がサポート

須田倫代がトライ

日経大アマテラス
9位決定戦・準決勝 チャレンジ 7 -17 ルーヴ
チャレンジは前半ブレイブルーヴに先攻されるも岡田亜祐のトライで同点で前半を折り返すと後半2分にピート染谷瑛海に逆転のトライ許し、5点を追いかける展開。後半4分にエマ・マシィのパワフルなランに差し込まれここで敗退。1日目には四国大から6トライを奪って見事な勝利を収めた。次回大会もメンバー構成に変更があるかもしれないが、今大会でもしっかりと存在感を残した。

安藤菜緒

岡本美優

池永結那.

13位決定戦・準決勝 ディアナ 14 -19 アルテミスターズ
勝負はノーサイドの笛がなるまでわからない。後半4分過ぎまで14-7とディアナがリード。すると5分、チームを牽引する田代ひなのキャプテンがハーフウェイ付近から抜け出し同点のトライを決め延長戦に突入する。疲労がピークになる中、どちらが我慢できるか。すると延長6分、ラックサイドのボールをアルテミ・高崎摩耶が取り返す。そこからすぐに攻撃に転じ、矢崎桜子から小川愛夢の若いトライゲッターがボールを繋いでサヨナラトライを決め見事な勝利。単に1勝ではなく、チームにとっては大きな1勝になったはずだ。

ダジャン・ブラウン

左端からのコンバージョンを決める佐藤

前半終了間際に矢崎桜子がトライ

後半5分に田代ひなののトライ

林かんなのゴールも決まって14-14

延長6分、ラックサイドのボールを高崎摩耶が取り返す

矢崎桜子から小川愛夢へラストパス

小川愛夢が劇的な決勝トライを決めノーサイド

矢崎桜子から小川愛夢の関東学院六浦コンビで取りきったトライ
13位決定戦・準決勝 RKUグレース 19 -0 四国大
エントリー10人で臨む四国大。1日目は、途中2人のシンビンを出しながらもTKMをラストワンプレーまで追い詰めた戦いは今大会のベストマッチ。キャプテン金島瑠奈のプレーはお見事だった。2日目は初戦から負けたら終わりの一戦。RKUグレースに前半からボールを繋がれリードを許すと打開できぬまま今大会を終えた。

高井優花の先制トライ

前半7分堀尾結愛のトライ

尾崎夏鈴

金島瑠奈
秩父宮大会最終順位は以下のとおり
1位 ながとブルーエンジェルス(総合P:40)

2大会連続優勝のながとブルーエンジェルス。今大会は苦しい時間帯も多かったが勝ちきった
2位 日本体育大学ラグビー部女子(総合P:36)

日体大女子ラグビー部
3位 ナナイロプリズム福岡(総合P:24)

見事3位となったナナイロプリズム福岡
4位 東京山九フェニックスラグビークラブ(総合P:28)

東京山九フェニックス
5位 PEARLS(総合P:28)

三重パールズ
6位 アルカス熊谷(総合P:20)

アルカス熊谷
7位 YOKOHAMA TKM(総合P:22)

TKM
8位 自衛隊体育学校PTS(総合P:16)

PTS
9位 追手門学院女子ラグビー部 VENUS(総合P:19)

追手門学院VENUS
10位 ブレイブルーヴ(総合P:9)

ブレイブルーヴ
11位 チャレンジチーム(総合P:12)

チャレンジチーム
11位 日本経済大学女子ラグビー部・アマテラス(総合P:12)

日経大アマテラス
13位 横河武蔵野アルテミ・スターズ(総合P:14)

横河武蔵野アルテミスターズ
14位 RKUグレース(総合P:7)

RKUグレース
15位 四国大学女子ラグビー部(総合P:5)

四国大
15位 北海道バーバリアンズ ディアナ(総合P:4)

北海道バーバリアンズディアナ