マオリ・オールブラックス第1戦レビュー、すべての投資は無駄ではない。この2敗を悲観する必要はない。 | ラグビージャパン365

マオリ・オールブラックス第1戦レビュー、すべての投資は無駄ではない。この2敗を悲観する必要はない。

2024/07/03

解説●後藤翔太 構成●大友信彦


翔太です。

30日は関東協会100周年記念試合をJスポーツオンデマンドで解説するために秩父宮ラグビー場にいました。各大学の部員たちの応援風景が良かったですね。今回は15年ぶりに東西学生対抗試合が復活したのですが、僕も学生時代にこの試合を経験しました。

僕のときは秩父宮で行われましたが、普段は敵として戦っている選手たちが、それぞれの地域やリーグの仲間として一緒のチームを組んで戦うのは大学ラグビーの良さだし、ラグビーの魅力を体現していると思います。試合の前日には監督同士も夜の東西対抗をして、こちらは西軍つまり京産大の廣瀬監督が圧勝したという報道もありました。

廣瀬さんについては僕も思い出があります。初めて日本代表に招集された2005年、南米遠征に先立つフランス合宿のとき、パリの空港について、そこからバスで5時間かけて合宿地のリモージュに着いたのですが、長時間の移動でみんな疲れ切っていると思いきや、伊藤剛臣さんと大野均さん、廣瀬佳司さんの3人は『行くぞ!』と夜の町に出かけていきました(笑)。それまで廣瀬さんといえば、精密機械のようなプレースキックのルーティンといい、誠実で堅実なイメージを持っていましたが、実は節制とは対極の人でもあったんですね(笑)。

でも、そんなところもかつてのラガーマンの魅力だったなあと思います。


JAPAN XV マオリ・オールブラックス第1戦レビュー

さて、その秩父宮ラグビー場では前日の29日夜、ジャパンXVとマオリ・オールブラックスの第1戦が行われました。試合は36-10でマオリの勝利。エディー・ジャパンにとっては前週のイングランド戦に続く連敗となりました。

共同キャプテンを務めたHO原田衛

共同キャプテンを務めたHO原田衛



この試合に、エディーHCは若手を多く起用しました。イングランド戦に出場したリーチ、ワーナー、松田力也ら昨年のワールドカップ経験者をいったんリリースして、ノンキャップの選手も先発にLO桑野、SH小山、WTBツイドラキ、リザーブにHO佐藤健次、PR岡部と森山、LO/FL本橋、SO髙本、CTBマクカランと多くの顔ぶれが並びました。

桑野詠真

桑野詠真



小山大暉

小山大暉



もちろんジャパンXVもエディーHCも勝ちたかったし、勝ちに行ったとは思います。ただ、この試合はノンテストマッチです。今夏のスケジュールを見ると、このあとはジョージア、イタリアとのテストマッチ。今の日本代表は次世代の育成が急務ですが、実力的、ラグビー界のステータス的にはマオリが格上だとしても、テストマッチは勝敗が世界ランキングに直結するので、そこで若手を試すわけにはいかない。

岡部崇人

岡部崇人



そうなると、このマオリ戦が新戦力にプレータイムを投資する貴重な機会になる――おそらくエディーはそう考えたのだと思います。もちろん勝ちたかったでしょうが、勝ち負けよりも大事なこともある。それは若手の経験です。

本橋拓馬

本橋拓馬



その視点で見ると、収穫は大きかったと思います。まずFBでフル出場した矢崎。前週のイングランド戦では緊張している気配がありありでしたが、今週は自分の強みのランニングを積極的に出せていた。

矢崎由高

矢崎由高



まだまだ荒削りなところはありますが、試合を経験する中で海外選手を相手にしたときのチカラの出しどころ、押さえどころは覚えてくる。才能は抜群ですし、試合を重ねれば重ねるほど成長するのは間違いない。使い続けて欲しいです。



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