12月1日(日)、関東大学ラグビー対抗戦、早稲田大学(6勝)と明治大学(5勝1敗)による伝統の一戦、「早明戦」が国立競技場で行われた。通算100回目となる今回もその名にふさわしく目が話せない緊迫した展開が続き、勝敗以上に両校のプライドをかけた瞬間に4万人を超す観衆は魅了された。
2024/12/03
文●編集部
最初にチャンスを迎えたのは明治。前半3分、ハーフウェイ付近で早稲田がノットロールアウェイのペナルティ。明治がタッチに蹴り出し敵陣22m手前でラインアウトのチャンス。早稲田がオーバー・ザ・トップのペナルティ。明治はショットではなく、トライを狙いにいく。NO8木戸大士郎キャプテンがボールを持ち込むがゴールラインを超えることができない。
明治は再びラインアウトからFWで攻め込むもず早稲田がボールを奪い、早稲田SO服部亮太がボールを蹴り返しエリアを戻す。明治はハイパントで空中戦に持ち込むがノックオン。早稲田陣内22m付近で早稲田ボウルのファーストスクラムとなる。
早稲田がボールをキープし、明治とのキック合戦。明治・SO萩井耀司がダイレクトタッチ。前半12分、早稲田はCTB福島秀法のゲインからFB矢崎由高に繋がる。さらにSH細矢聖樹が素早く展開。最後は大外に走ってきたHO佐藤健次キャプテンが左隅にトライ。CTB野中健吾のゴールは決まらず5-0
前半16分、早稲田が自陣15m付近でオブストラクションのペナルティ。萩井タッチに蹴り出しトライをねらいにいく。明治はラインナップからモールを押し込み、モールが割れてたところをPR1檜山蒼介がボールをキャリーしトライ。CTB平翔大のゴールは決まらずスコアは5‐5の同点。
前半20分、明治が自陣10m付近でオフサイドのペナルティー。早稲田はタッチに蹴り出し敵陣深くでのラインアウトのチャンス。早稲田はモールからBKに展開。フェーズを重ねるが最後はオブストラクションでスコアにつなげることができない。
前半25分、明治は自陣でのスクラムでペナルティを獲得。再び敵陣に前進。明治の縦の攻撃に対して、早稲田がオフサイドのペナルティ。28分、明治は敵陣でのラインアウトから再びモールを押し込み、今度はHO西野帆平がトライ。平のゴールは決まらず5‐10とする。
直後のキックオフ、明治大学が自陣22m手前でノックオン。早稲田ボールのスクラムとなる。明治がアーリーエンゲージのペナルティ。早稲田はすぐさま仕掛けるとボールをもった矢崎が狭いスペースを縫うようにラン。ゴールまで10mの位置までボールを運び、フェイズを重ねるか明治が粘り強く守りきり早稲田がロックオン。早稲田はスコアを取り切ることができない。
前半36分、明治は自陣ゴール前でハイタックルのペナルティ。早稲田はタッチに蹴り出しトライを狙いにいく。ゴール前ラインナップからどんなプレーを見せるのか。早稲田はサインプレーを見せるも明治が対応。明治がデリバレイトノックオン。再び早稲田がゴール前のラインアウト。明治CTB平翔大がパスインターセプトできるかと思われたがノックオン。
早稲田ボールのスクラムからサインプレーで、野中健吾の背後からでてきたWTB田中健想がトライ。野中健吾のコールも決まり早稲田が12対10と逆転して前半を終える。
後半キックオフのボールを明治・WTB白井がキープできず、暴れたボールが早稲田に入る。早稲田が攻勢するもWTB白井自らジャッカル。明治がハーフウェイ付近までエリアを戻す。後半2分、ハーフウェイ付近でオフサイドのペナルティ。明治が敵陣深くに入る。
明治はマイボールラインアウトをキープ。今度はすぐにボールを出してフェイズを重ねるがLO佐藤大地がノックオン。早稲田ボールのスクラムとなる。
後半6分、早稲田はハーフウェイ付近でノックオンオフサイドのペナルティ。再び明治が敵陣に入りラインアウトのチャンスを迎えるが明治はノットストレートでチャンスを活かすことができない。
後半8分、明治は10番の萩井耀司に代わり22番伊藤龍之介を投入。ゲームに変化を与える。
後半10分、明治はラインアウトからモール。アドバンテージが明治にだされ攻撃を継続。BKで一度パスが乱れるも立て直して、最後は13番秋濱悠太がトライ。平のゴールも決まり12‐17と明治が逆転。
後半16分、早稲田はゴール前ラインアウト。早稲田がモールを押し込み、HO佐藤健次がトライ。野中のゴールは決まらず17‐17。
さらに20分、早稲田は敵陣10m付近で相手がショートパントで蹴ったボールに対してCTB野中がセイビング。細矢が素早く展開し、佐藤が左足でグラバーキック。そのボールを早稲田がキープ。フェイズを重ねて、最後は矢崎が一度タックルされながらも縦に突進しトライ。野中のゴールも決まり24‐17。
26分、矢崎のハイパントに対して、明治は白井がコンテスト。矢崎がノックオン。明治は自陣10m付近でのマイボールスクラムからアタックするも、ノックオン。
31分、早稲田は自陣でのスクラムからペナルティを獲得。敵陣深くに服部がタッチを蹴りだそうとするが、タッチを切らずにゲーム続行。明治がディフェンスラインのオフサイド。早稲田がショットを選択。野中健吾が落ち着いて決めて27‐17とリードを広げる。
35分、明治はSO伊藤がハーフウェイ付近からビッグゲイン。大外までボールを展開。ボールをもったWTB海老澤琥珀がショートパントし、服部と海老澤のチェイス。服部がギリギリのところでボールを蹴り出しトライを防ぐも引き続き明治のチャンスは続く。
36分、ゴールラインドロップアウトのボールがダイレクトタッチとなり、明治にチャンスが転がってくる。37分、ゴール前のラインアウトから明治がモールを押す。崩れてフェイズを重ね、NO8藤井達哉がトライ。CTB平が落ち着いてゴールを決めて27‐24。明治が3点差に迫った。
ロスタイムは4分、明治陣内10mのラインアウトから明治のアタック。明治がノックオン。明治陣内10m付近での早稲田ボールのスクラム。早稲田が2度目のアーリーエンゲージでPKに昇格。伊藤が敵陣22m内側までPKを伸ばし、明治がラストチャンスを迎える。
ラインアウトをキャッチした明治はモールを押し込む。フェイズ7伊藤がゲインしそうになるが、福島が押し返す。10フェイズ目、SH利根がBKに展開。ボールを持ったのはWTB海老澤。早稲田・田中がタッチに押し出しトライを許さずノーサイド。激闘となった100回目の早明戦は27‐24で早稲田が勝利し、対抗戦7戦全勝で1位としてレギュラーシーズンを終えた。敗れた明治は5勝2敗で3位で選手権のシードを獲得することはできなかった。
この試合を終え、対抗戦全日程が終了。最終順位は以下のとおり。
1位 早稲田大学(7勝)
2位 帝京大学(6勝1敗)
3位 明治大学(5勝2敗)
4位 慶應義塾大学(3勝4敗)
5位 青山学院大学(3勝4敗)
6位 筑波大学(3勝4敗)
7位 立教大学(1勝6敗)
8位 日本体育大学(7敗)
青山学院大学は30年ぶりの大学選手権出場を決めた。
早稲田・大田尾竜彦監督
厳しい場面もありましたが選手がよく頑張ってくれました。今日を通して、両校の選手たちが素晴らしい戦いをしてくれましたし、レベルアップしたと思います。
――改めて大田尾監督にとって明治はどんな存在ですか?
本当に素晴らしいチームですし、本当に尊敬するべきチームで、本当に彼らを目指して、ええ、僕らも日々力を高める、そんな相手かなと思います。
――試合では序盤、その明治のプレッシャーに苦しみながら少しペナルティもある中で盛り返していきました。どう見ていましたか?
最後はやっぱりディフェンスだなと思ってたので、ディフェンスよく頑張ったかなと思います。
――その中でもこう盛り返せた。逆転できた何が要因だと見ていますか?
後半やっぱりこぼれ球の集散が早稲田の方が早くなって、そこから多くのチャンス作ったかなと思います。
ーーそしてなんといっても17年ぶりの対抗戦全勝になります。ここはどう見てますか?
多分五郎丸以来だと聞いてますんで、今日解説してるって聞いてるんで。彼の前で久しぶりに優勝できてよかったと思っています。
ーーなぜ達成できましたか?
一人一人が早稲田ということにプライドを持って、自分たちのやってることにプライドを持ってやった結果かなと思います。
ーーでは次に向けて最後に一言お願いします。
一戦一戦、戦うだけなんで、頑張るのでよろしくお願いします。
早稲田・佐藤健次キャプテン
ーーまず早明戦での勝利苦しみながらも勝利を掴みました。どんな思いですか?
早明戦をターゲットにしていたので。 国立の舞台で優勝を決めることができてすごい嬉しいです。
ーー試合が終わった後涙がありましたね。
過去四年間勝てていなかったんで。 過去の先輩の顔とか、そういうのが全部フラッシュバックしてきて、まあ泣かないつもりだったんですけど、ちょっと涙出てしまったんで、ちょっと恥ずかしいです。
ーー感謝の思いですか
感謝の思いです。
ーー試合はまさに早明戦というようなスコアになりましたね。
こういうゲームになるのは分かっていたので、トライ取られても、落ち着いて自分たちのプレーやろうっていうのを言い続けたので、それはすごい良かったのかなと思うのと、最後、今年はディフェンスやったんで、もうディフェンスで取り返せてよかったなと思います。
ーー少し序盤苦しむところがありました。あの辺りはどう振り返っていますか?
こういうのも早明戦やなっていう話をしてたんで、特に焦ることなくできたのかなと思います。
ーーご自身は2トライありました。そのあたりどうですか?
いや、みんなのおかげで取れたんでよかったなと思います。
ーーそしてなんといってもですね。17年ぶりの対抗戦全勝。この辺りどうですか?
一戦一戦集中してやろうっていうのをみんなで仲間で言っていたので、それがすごい結果として出てよかったのかなと思います。
ーー次は全日本選手権荒ぶるに向けた戦い始まりますね。
もう一回自分たち、今日の試合でもすごい反省点出るんで、しっかりこうもう一回修正して大学選手権優勝できるように頑張ります。
ーー最後に今日多くのファンが応援しに来てくれて応援してくれています。ファンに一言お願いします。
今日も国立に来てくれてる友達であったり、NHKで見てる友達っていうのがすごい多いので、まずそういう友達たちの声援とか応援のおかげで僕たちはすごいいいプレーできているという自覚があるので。しっかりその友達に感謝したいのと、ファンの方々が苦しんだ、僕が一年生の時からこう四年間苦しんだ苦しい、あまり勝てない状況でも常に応援してくださるファンの方々のおかげで、こういう結果を得られたと思うので、しっかりそういう方々にも感謝してこれからもっと頑張りたいなと思います。
明治・神鳥裕之監督
プライドを見せてくれた選手を労いたい。 この負けが必ず成長させてくれる。この負けの悔しさを選手権ではらしたい。
ポジティブなのはFWについてはフィジカルが強い早稲田さん相手に前に出るシチュエーションをたくさん作ることができたということは大きな手応えがあります。ゴール前のラインアウトからトライを取り切れたのは選手権に向けて大きな自信になったと思います。
――先発した萩井選手の評価
よくやっていたと思います。(萩井は)開幕の青学大戦依頼の先発出場だったと思います。そういう状況の中でも自分のプレーをしっかり遂行してくれて期待に応えてくれた。前半彼が出場していた時間しっかりゲームを作れたことが証明しています。
明治大学 木戸大士郎キャプテン
(最後の場面は)すごくアグレッシブに明治のラグビー、前に前にというのを体現してくれていてたので、これからにもつなげてやっていきたいです。