「これが現状の世界との差。メダルを取るには楽な道のりでないことが明確になった」岩渕健輔7人制日本代表総監督・ワールドカップセブンズを振り返る | Rugby Japan 365

「これが現状の世界との差。メダルを取るには楽な道のりでないことが明確になった」岩渕健輔7人制日本代表総監督・ワールドカップセブンズを振り返る

2018/08/05

文●斉藤健仁


7月20~22日、男女7人制ラグビー日本代表はアメリカ・サンフランシスコで開催されたワールドカップセブンズ2018に出場した。結果は男子は15位(24チーム中)、女子は10位(16チーム中)に終わった。

2020年の東京オリンピック0まであと2年を切ったこの時期にメダルを狙うには厳しい現状を叩きつけられた。残された期間で、どうう強化を進めていくのかーー総監督および男子ヘッドコーチを務める岩渕健輔氏に大会を総括してもらった。

ベスト8に3回以上入らないともっとメダルへの道は遠くなってしまう。(もしそれができなければ)一発にかけるしかなくなる

――男女総監督の立場としてセブンズワールドカップ(W杯)を振り返ると?


男女ともベスト8が目標だったので(それを)達成できなかったことは、我々コーチ陣や選手含めて残念ですし、反省すべき点はたくさんあります。


――男子15位、女子10位と厳しい結果になりましたが反省点や成果は?

大きくいうと2つあります。(男女ともにベスト8という)目標は達成できなかったこと、そして現状の世界との差がハッキリしたことです。(東京五輪の)メダルに向かって楽な道のりでないことはハッキリしました。

ただ、女子は3回目のセブンズW杯で初めて2勝できました。男子は(大会の)最初と最後が今まで課題でしたが、1日目と3日目の最初と最後に勝つことができ、前向きな形だった。男子は自分たちがどこまで行けるのだろうという中で、しっかり準備すればいい試合できる手応えを掴んだ一方で、それがすべて上手くいかないと2日目の試合のようになってしまう。手応えでもあるし大きな反省でもあります。

セブンズ日本代表9年目のベテラン坂井

セブンズ日本代表9年目のベテラン坂井

――男子のヘッドコーチとして、2日目のパフォーマンスが落ちてしまいました。初日の疲れがあったのですか?


疲れじゃないですね。男子は1日目にかけていたところがありました。私からの持っていき方で、(2試合目の)フィジー戦は頭の片隅にイメージしていたが、過去のW杯、そしてワールドシリーズ、そしてオリンピックも含めて1戦目が上手くいかないと後が続かない。(だから)選手に対して、相手チームの細かい分析はわざとウルグアイにとどめていました。

フィジー戦は(初戦のウルグアイ戦の勝利の)勢いを持っていけたが、前半で息切れしてしまったことが間違いなくあった。最後まで(パフォーマンスが)続かなかったのが現時点の力。スタッフを含めた総力ですが、根本的に強度の高い中で正確なプレーを続けることがまだまだ足らない、地力の差が出た。

2日目はモチベーションもそうですし、対戦相手わからないところで、どう戦うか持っていくことができなかった、ラグビーのスキルというより準備とか(がしっかりできず)、自分たちでスタンダード下げてしまった。

――キックオフキャッチが上手くいかなかったことも大きかったです。

もちろんキックオフが上手くいなかなかったこともそうですが、フィジー戦のときは(キックオフが)取れていたが、カナダ戦、ロシア戦で取れなかったのは技術的なことより、選手も含めて内面的なことが大きい。2日目、それが一番よくない形で出てしまった。

――フィジー戦などでは基本的なパスミスなどがありました。

経験の問題もありますが、男子はラグビーを長くプレーしている選手も多いですし、W杯レベルが初めてという選手はあまりいなかった。何が問題で、今までどうだったかチームとして問題点が浮き彫りになった。ずっとアプローチしていたのですが、体力がきつくなってくるとシンプルな差が出てくる。自分たちの地力の差がハッキリ出てきた。それも(フィジー戦は)実際1日目の2試合目なので、本来なら絶対出てはいけないところです。リオ五輪では3日目の5、6試合目で出てしまったが、改善できていないことがハッキリした。

今後もそこにアプローチしていかないといけないが、そんな簡単にすぐに修正できるとは思っていません。


男女のセブンズ代表選手たち

男女のセブンズ代表選手たち

――来季、男子はワールドシリーズ(WS)に再昇格しました。強化においていい機会になるが?

当然、東京オリンピックでメダルを取るとチームとして言っている以上、そのオリンピックの年のWSではベスト4に入るような戦いができないとオリンピックでメダルを取ることは遠くなる。(もしそのような戦いができなければ)単純に大会のときに上手くいくかどうかという話になってしまう。

来季のWSではベスト8の戦いが何回できるか大きなポイントになると思います。今は(総合ランキング)15位ですが、来季のWSでは ベスト8に3回以上入らないともっとメダルへの道は遠くなってしまう。(もしそれができなければ)一発にかけるしかなくなりますが、ハイパフォーマンス進んだスポーツの世界では一発勝負でやることはなかなかないと思います。ですので、現実的にはこういった道を通らないとメダルには相当厳しいと思います。


ワールドシリーズから降格の女子。「フランス、カナダ、オーストラリアとはいい関係。その関係から強化試合につなげていきたい

女子は3回目のセブンズW杯で初勝利を挙げた

女子は3回目のセブンズW杯で初勝利を挙げた

――女子は逆に、WSから降格してしまいました。

女子はWSから落ちたので厳しい状況にありますが、(世界の)トップ4以外は伸びていない。今回(W杯で)2勝できましたし、(女子は)トーナメントの数はもともと多くないので、いろんなトーナメントを使ったり、これまでの関係性から各国の強化拠点に行たったりして強化したい。(WSの)大会で経験をつめないことは痛手ですが、地道なところを強化しないといけない。

(女子は)戦術を駆使できるレベルにはない。パワーやスピードの部分で、そこをひっくり返せない。パワーやスピードの部分をもう一度やらないといけない


――女子は過去にはフランスやオーストラリアの大会にも出場していました。

そういった大会は相当レベルが低いです。ナショナルチームレベルの大会をどう作っていくか、どう仕掛けていくか。フランス、カナダ、オーストラリアとはいい関係ができています。アメリカ、カナダと3チームでアメリカの拠点で合宿をしました。こういった関係を上手く使いながらやっていきたい。


――セブンズW杯で目立った選手は?

男子のリリダムです。W杯で「ドリーム7(ベスト7)」に選ばれたことは、日本のラグビー界にとっては前向きで明るい話です。(彼は)パフォーマンスが不安定で、所属チームでもあまり評価されていなかった。だがポテンシャルがあるのはハッキリしていたので、BKリーダーにも任命していました。大会2日目は良くなかったが安定したパフォーマンスが出せれば、トップのレベルの選手になれる。

――男子は今回15位と、4位だったリオデジャネイロ五輪と比べると順位が相対的に下がりました。

オリンピックだけ比べるとそうですが、(男子はリオデジャネイロ五輪の)あの一瞬だけが良かっただけ。そこだけ比べればそうですが、実際は今と同じような順位にいて、その前のシーズンもWSから降格していました。この先、どうパフォーマンスを上げられるか勝負です。

――8月末からアジア競技大会があります。

オリンピックと同じように、選手村やパスがあったりと縛りや制限がある大会なので、オリンピックのシミュレーションの一つとして捉えています。男女ともに金メダルを獲りにいきたいと思っています。セブンズW杯に出場した選手をベースに、最後メンバーをしぼっていきたい。


斉藤健仁
スポーツライター。1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。印刷会社の営業を経て独立。サッカーやラグビー等フットボールを中心に執筆する。現在はタグラグビーを少しプレー。過去にトップリーグ2チームのWEBサイトの執筆を担当するなどトップリーグ、日本代表を中心に取材。

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