スティーブ・ボーズウィック・イングランド代表HC「今、私たちは自分たちがどこに到達したかを確認し次のステップに進みたい」 | ラグビージャパン365

スティーブ・ボーズウィック・イングランド代表HC「今、私たちは自分たちがどこに到達したかを確認し次のステップに進みたい」

2024/06/21

文●野辺優子


22日に行われる「リポビタンDチャレンジカップ2024」で新生エディージャパンと対戦するイングランド代表。18日(水)に試合登録メンバーを発表した。スティーブ・ボーズウィックHCが会見を行った。ラグビージャパン365では会見の全文をお届けする。

リポビタンDチャレンジカップ2024・日本代表戦試合登録メンバー

(所属、年齢/キャップ数)

1 ビーヴァン・ロッド(セール・シャークス、23/5)RWC23
2 ジェイミー・ジョージ(サラセンズ、33/90)RWC23 RWC19 RWC15 ※キャプテン
3 ダン・コール(レスター・タイガース、37/112)RWC23 RWC19 RWC15 RWC11
4 マロ・イトジェ(サラセンズ、29/81)RWC23 RWC19
5 ジョージ・マーティン(レスター・タイガース、23/12)RWC23
6 チャンドラー・カニンガム=サウス(ハレクインズ、22/4)
7 サム・アンダーヒル(バース、27/35)RWC23 RWC19
8 ベン・アール(サラセンズ、26/30)RWC23
9 アレックス・ミッチェル(ノーサンプトン・セインツ、27/16)RWC23
10 マーカス・スミス(ハレクインズ、25/32)RWC23
11 トミー・フリーマン(ノーサンプトン・セインツ、23/8)
12 オリー・ローレンス(バース、24/24)RWC23
13 ヘンリー・スレイド(エクセター・チーフス、31/62) RWC19 RWC15
14 イマニュエル・ヘイ=ワボソ(エクセター・チーフス、21/3)
15 ジョージ・ファーバンク(ノーサンプトン・セインツ、27/9)

16 テオ・ダン(サラセンズ、23/12)RWC23
17 ジョー・マーラー(ハレクインズ、33/92)RWC23 RWC19 RWC15
18 ウィル・スチュアート(バース、27/38)RWC23
19 チャーリー・ユールズ(バース、28/30)
20 トム・カリー(セール・シャークス、26/50)RWC23 RWC19
21 ハリー・ランドール(ブリストル・ベアーズ、26/6)
22 フィン・スミス(ノーサンプトン・セインツ、22/2)
23 トム・ローバック(セール・シャークス、23/0)

*RWC…ワールドカップ(数字は開催年)スコッド

――このツアーの日本代表戦はどんな位置付けで考えていますか?



そうですね、これはチームとして重要な次のステップだと思います。私たちは若いチームです。今年に入ってから、この新しいイングランドのチームを成長させることについて話してきました。これまでの合宿を通じて、選手たちには本当に感心させられました。また、日本に来てからも、選手たちは本当にハードなトレーニングを積んで、この素晴らしい国に滞在していることを本当に楽しんでいます。




――メンバー発表が早かったんですけど、それは何か考えがお考えがあるんでしょうか?


いや、ただ、こちらでキャンプに入って数日経ったのでメンバーを決めました。チームには、今朝選手たちに伝えました。


――インターナショナルラグビーでは秘密にしていることが多いと思うんですけども、メンバー発表を早めにすることは迷いましたか。


そうでもないですよ。シンプルに考えています。一貫性があることがわかると思います。それで、実際にシックスネーションズ終盤から、一貫性とセレクションについて何度も話してきたと思います。何人かは出られませんが、シックス・ネーションズからこのツアーに出場できる選手はたくさんいます。何よりも、セレクションに一貫性があると思います。

10番を務めるのはマーカス・スミス(一番左)

10番を務めるのはマーカス・スミス(一番左)



――10番を誰にするかについて、マーカス・スミスにチャンスを与えた理由は


マーカスとフィン。私たちには2人の素晴らしい選手がいますし、そのような能力を持った選手がいるというのは、実に素晴らしいことです。マーカスは最初のトレーニング合宿に合流して以来、順調にトレーニングをこなしています。彼はイングランド代表で何シーズンもプレーした経験があるので、先ほども言ったようにシックス・ネーションズ後半からの一貫性があります。

今シーズンは、フィンは10番としてチームをプレミアシップ優勝に導くなど、大きな成長が見られました。だからマーカスをスタートで起用し、15番もカバーできるし、FBのジョージ・ファーバンクは10番もカバーできるので、チームとしていいバランスあと思っています。




――マーカスはどのようにゲームをコントロールするか。今回はジョージ・フォードもオーウェン・ファレルもいない中で、プレーメーカーとしてチームを前進させるチャンスだと思いますか?


そうですね、マーカスは本当に精神的に強い選手だと思います。マーカスには真の実力があると思います。シーズンの終わりには、どの選手もそうであるように、自分のクラブでファイナルのラグビーをプレーすることを望んでいたと思います。しかしそれは叶いませんでした。ですが、彼がキャンプに入った最初の瞬間から、見たことがないほどの決意とハングリー精神を感じました。



――フィン・スミスがタイトルを獲得したので、彼のモチベーションはさらに上がると思いますか?


そうですね。競争こそ、私たちがチームに求めているものです。マーカスもシックスネーションにおいてもケガから戻ってきて、本当に素晴らしいプレイを見せてくれました。マーカスはプレミアシップのSOの誰よりも1試合あたりのラインブレイクが多い。かつて日本と対戦した2022年はトライを決め、ラインブレイクもたくさんしました。若いけれど経験は十分にある選手です。

――エディー・ジョーンズがヘッドコーチだった頃、あなたは彼のアシスタントでしたね。今週、彼との対戦を楽しみにしていますか?


土曜日の試合に向けて、私たちはしっかりとチームを準備してきたつもりですし、できる限りの準備をするつもりです。毎回チームを率いるときにそう思うんですけども、今いる若い選手たちは、本当に自分たちのプレーに焦点を当てている。自分たちがコントロールできるところにフォーカスをしていることによって、私たち私のコーチングにも影響がありましたし、ええ。そしてコーチングチームに対しても影響がありました。そこのところがコーチングチームとしては変わったところかなと思います。


――エディがいろんなトリッキーなことをやってくるかという心配はないんでしょうか?


本当にコーチングがうまい。エディのコーチとしての質の高さは誰もが知っていますし、非常に尊敬されています。だから、本当にスキルがあり、才能があり、よく組織された日本チームを期待しています。




――エディ・ジョーンズが日本代表のHCに復帰したことについて


日本ラグビー界に多大な影響を及ぼし、誰もが彼の素晴らしさを知っています。土曜日の午後、本当に強い日本代表を期待しています。



――今からラグビーワールドカップの準備にあたってのスタート地点だと思うんですけれども、ヘッドコーチとしてマーカスを選んだことはスタートになっていますでしょうか?


今週末の試合に向けて、あらゆる状況を考慮した上で、このチームがベストだと思います。マーカスは事前合宿を通じて本当によくやってくれましたし、シックス・ネーションズの後半戦からの一貫性もあります。私はまた、マーカスとフィンが成長するのを見るのが本当に楽しみですし、彼らが次の時代のトップクラスのSOになっていくでしょう。そしてジョージ・フォードが怪我から回復し、彼らに加わってくれることを願っています。
とはいえ、この土曜日に今は集中していますし、これはそのためのセレクションです。


キャプテンを務めるのはHOジェイミー・ジョージ

キャプテンを務めるのはHOジェイミー・ジョージ



――具体的にマーカスから何を証明してもらいたいですか?例えばスタートの10番として、しっかりとゲームをコントロールできるだったりとか、テストマッチのレベルでもしっかりとマネジメントができるとか。


最初に言っておきたいのは、チームのどの選手も私に何かを証明する必要はないということです。それよりも、土曜日に自分の強みを出すために、懸命に努力することを求めます。イングランド代表のシャツに袖を通す選手たち全員にそれを求めます。

そしてもうひとつは、私はマーカスを高くかっています。このチームのマーカスとフィンが、ともに協力し合いながら、私たちのフライハーフのポジションを分け合うことができるのは、コーチとしてとても光栄なことだと思っています。



――チャンドラー・カニンガム=サウス、トム・カリーとバックローについて聞かせてください。


全てのバックローに要求するのは、フィジカル面での準備が必要なインテンシティで、私たちはシーズンを通してそれらを見てきましたが、チャンドラーズはその点で大きな成長を見せました。他の選手との大きな違いはボールキャリーで、支配率を30%近くあります。それは非常に高い数字で、まさに私たちのチームに必要なものでした。

トム・カリーに関しては、彼は数カ月前から、この夏にイングランド代表としてプレーするこのシリーズにどれだけ出たいかを語っていましたし、並々ならぬ努力をしてきました。数カ月前、私のメディカル・チームの一人が、ラフバラ大学で行われた彼のセッションを見に行ったんです。彼は電話で「トムは朝一番で、私はメディカルセンターで診察を受けました。トムからのメッセージです。このシリーズに出たいって。このシリーズに出たいと。飛行機に乗りたいと。彼ははっきりと言いました。」そして、彼がイングランド代表のスコッドに戻ってくることは、ワールドクラスの選手がチームにいることを意味します。私たち全員にとって、彼はとてもエキサイティングな存在です。


2015年ワールドカップではジャパンのアシスタントコーチを務めたボーズウィック氏

2015年ワールドカップではジャパンのアシスタントコーチを務めたボーズウィック氏



――スティーブ、日本チームに合流するためにカナダに飛んだのは、もう10年も前のことになりますね。あなたのコーチの旅の始まりでした。日本代表での経験は、今のあなたのコーチにどのような影響を与えているのでしょうか。また、コーチの旅の初めに、あの特別な経験から何を得たのでしょうか?


まず私が日本でコーチをしていた時、日本語の勉強を手伝ってくれた今私の隣にいる彼女のような素晴らしい翻訳者が必要でした。ラグビーに取り組む際のさまざまなプレースタイルであり、物事をさまざまな角度から見ることができるとを学びました。それが私のコーチングの道に大いに役立っています。

そして、グループごとに異なるコーチングが必要であり、グループ内の個人ごとに異なるコーチングが必要であるということです。このことは、私のコーチングの経験や旅に、非常に早くから、そして信じられないほど役に立ちました。

同時に違う言語で、違う地域でコーチをする。その挑戦は、本当に、本当にエキサイティングで、今の私を助けてくれています。


――選手の時にはそれが見えてなかった部分ですか?コーチになってやっとわかったことでしょうか


現役時代には、南アフリカや北米、オーストラリアを旅していろいろな環境を見るようにしていました。でも、海外に行って、違う環境、違う文化の中で経験を積みたいという気持ちははっきりしていました。そのような機会に恵まれたことをとても幸運に思っていますし、若いコーチに海外でコーチをすることはとてもお勧めできることです。

プレミアシップで16シーズンを過ごし、海外でコーチをすることは、若いコーチやコーチを目指す者にとって、信じられないような経験であり、私のコーチングを発展させるものでした。


――日本の話になりますが、2015年当時、今でも覚えている出来事や印象に残っている選手はいますか?


よく覚えていて、連絡を取り合っている選手はたくさんいると思いますが、日本代表ではスーパーラグビーのチーフスでもプレーしたマイケル・リーチでしょう。彼が選手として、またチーム内のリーダーとして成長するために行った努力は、とても素晴らしいものでした。そして、彼がまだプレーしている姿を見ています。今年東芝でプレーしている彼を見ました。彼が10年後にあれほど活躍しているのを見ると、勤勉さとプロ意識の高さを感じます。


――今週末の日本戦に向けて、どんな勝ち方をしたいですか?


私たちにとって重要なのは、土曜日にピッチに立ち、この数ヶ月で築いてきたプレーをすることです。私たちはワールドカップで、自分たちが成長するための土台を築いたと言いました。その後、シックス・ネーションズを通して成長を見せました。今、私たちは自分たちがどこに到達したかを確認し、次のステップに進みたいと思っています。


――日本は「超速ラグビー」というテーマがあるんですが、これは超高速ラグビーみたいな意味ですか?この言葉を知っているかどうかは分かりませんが。そしてまた、2015年に日本が南アフリカに勝った時、ご存知の通り、日本はスピーディーなプレーをしました。どんな対戦を望んでいますか。


私の日本語は、ここでコーチをしていたときほど上手ではありませんが、それでも多くの単語はわかります(笑)。

両チームはともにプランを持っており、そのプランをピッチに持ち込もうとします。そして、自分たちのプランをゲームに反映することに成功したチームが、最終的に成功するのが普通です。ですから、私たちは自分たちのプランをプレーし、それを土曜日のピッチに持ち込もうとします。


――イングランド代表のバックスリーは、経験が少ないかもしれません。では、それぞれの選手に何を期待し、どのように速いラグビーに対応するのでしょうか?


私たちは若いスコッドです。タレントが揃い、イングランド代表のシャツを着て、イングランド代表のためにプレーすることに飢えている選手がたくさんいます。そして、私は毎日、彼ら一人一人に、確実に、その違いをピッチにもたらすように、そしてエキサイティングで若い選手たちに言うのです。そして私は、彼らがその違いをもたらすと確信しています。

――日本での思い出



海の中でのモールですね。残念ながら、私たちはうまくいきませんでした。一人二人と少し深い水深に移動し始め、深い水深では落ち着かないことがわかりました。日本で経験したことは、日本語を学ぶこと、日本語と英語を織り交ぜて指導しようとしましたが、日本語が話せなかったので、iPadを使ってすぐに選手に動画を使って見せました。だから、コミュニケーションを取る方法を見つけ、選手たちがそれを受け入れてくれ、忍耐強く私を助けてくれました。まだ色々あります。朝5時からのセッションは記憶に残っていますね(笑)。


記事検索

バックナンバー

メールアドレス
パスワード
ページのトップへ