こんにちは、翔太です。
前回のコラムから時間があいてしまいました。この3ヶ月の間に、大学ラグビーは本格的な練習を再開して、合宿はできない中でなんとか実戦練習に取り組んで。開幕を迎えて、そこからあっという間に(早大の場合は)5試合を消化しました。シーズンがどうなるかまったく見えなかった頃のことを思うと、よくここまで来たな。ラグビーをやれてよかったな、という思いが強いです。
チームを支えた『ちょっと前のワセダらしさ』を感じる4年生たち
僕がコーチングスタッフに加わっている早大は、おかげさまでここまで5戦全勝で来ています。とはいえ、これも順風満帆だったわけではありません。開幕前から予想以上にケガ人が多く出てしまい、メンバー編成に毎回苦しんでいる状態です。しかも、開幕が例年よりも遅れた分、開幕から6週で5試合を行うという、大学チームにとっては例年よりもタフな日程です。選手たちはよく頑張ってくれたなと思います。
そんな台所事情にあって、チームを支えたのが、昨季までほとんど出番のなかった4年生たちです。帝京大戦では、大学でラグビーを始めて、4年生になって初めて公式戦に出場したFL坪郷(つぼごう)智輝(4年・川越東)が、筑波大戦ではCTB平井亮佑(4年・修猷館)がマン・オブ・ザマッチを受賞しました。2人とも1浪を経て、一般受験で入学してきて、3年までは公式戦出場ゼロでした。
FBで副将の南徹哉(4年・修猷館)も昨季は開幕から2試合に出場しただけで、その後は1年生の松下怜央(2年・関東学院六浦)、2年生の河瀬諒介(3年・東海大仰星)が出場していました。南も1浪一般受験組です。
彼らの活躍には、ワセダの伝統というか、ちょっと前のワセダらしさを感じます。簡単に言うと、高校時代までのキャリアがあるわけでもない、下級生時代からの経験値が高いわけでもない、運動能力が高いわけでもない、サイズがあるわけでもない。そんな選手が活躍している。
最近の大学ラグビーは、どこの大学も、どんな才能が集まったかで勝負の大半は決まるという風潮があると思います。昨季の早大にしても、齋藤直人、中野将伍(ともに現サントリー)、岸岡智樹(現クボタ)という世代トップの才能を持つ黄金トリオがいてこその優勝でした。
たたき上げの選手が入る余地はほとんどなくなっている。そんな時代にあって、彼ら無印組の活躍は、ちょっとしたトピックだと思います。今回は、彼らのキャラクターや、試合に出るまでのストーリーをほんの少し、ご紹介したいと思います。