ラグビージャパン365創刊からご寄稿いただいている、スポーツライターの斉藤健仁さんが2016年に発表した「ラグビーワールドカップ2015観戦記」を特別に公開します。
エディー・ジョーンズHC(現・イングランド代表HC)率いる日本代表の戦い57試合全て現地で取材し迎えたワールドカップ2015・イングランド大会で何が起きたのか--全4回に渡ってたっぷりと観戦記をお楽しみください。
(文章は当時のままを掲載しております。※初掲「ゆるすぼ」2016年4月)
湧き上がる勝利の実感とは裏腹にジェットコースターのような現実
2015年9月19日、ワールドカップで日本代表が南アフリカ代表に勝利し、翌日の現地の新聞は、「日本の勝利」一色で、さらに勝利の実感が湧いてきます。世界的にインパクトのある出来事となり、ハリー・ポッターの作者のJ.K.ローリングさんが「このような話は書けない(You couldn't write this...)」とつぶやいたということは現地でも話題になっていました。
日本代表は翌日、お休みでしたが、日本代表対南アフリカ代表が対戦した同じスタジアムで、サモア対アメリカの試合があり、足を運びました。するとかつて日本(三菱重工相模原)でプレーしていた元ウェールズ代表のWTBシェーン・ウィリアムズが解説に来ていて、少し話すことができました。
他にも大会中にはサントリーに在籍していた元オーストラリア代表SHジョージ・グレーガン、元アルゼンチン代表SHアガスティン・ピチョットと、かつて取材した名選手たちとの邂逅も世界大会ならではの楽しさです。
ただ、ここらから23日までは〝ジェットコースター〟に乗っているかのように過ぎ去っていきます。それもそのはず、日本は中3日でスコットランドと対戦することになっていたからです。早くも21日はメンバー発表がありました。その会場には、海外のメディアも多く、おそらく取材陣は100名以上いたと思います。
当然、南アフリカを破った日本代表に注目が集まり、イングランドの記者もいますし、日本代表にはニュージーランド出身の選手も多く、FLマイケル リーチ主将、南アフリカ戦で逆転トライを奪ったWTBカーン・ヘスケスらを目当てにニュージーランドのメディアも、またスクラムコーチのマルク・ダルマゾがフランス人だったため、フランスのメディアの姿も。5社10名以下だった10日前とはまったく違う光景でした。