躍進!サクラセブンズが8強の壁を破った。バンクーバー大会で歴代最高の4位 | ラグビージャパン365

躍進!サクラセブンズが8強の壁を破った。バンクーバー大会で歴代最高の4位

2025/02/26

文●編集部


サクラセブンズこと女子7人制日本代表が、HSBCSVNZ第4戦のバンクーバー大会で、ワールドシリーズで初となる4強入りを果たした。

全チームキャプテン集合

全チームキャプテン集合



前回パース大会で歴代最高順位タイとなる5位に入ったサクラセブンズは、今大会ではC組に入り、初戦でフィジーと対戦。フィジーは今季、ここまでの3大会は全てプール戦で全敗していたが、前回のパースでは9位に上昇。侮れない相手だ。

フィジー戦-庵奥里愛

フィジー戦-庵奥里愛


試合は立ち上がり、フィジーが2トライを連取して14点を先行。日本は0-14の劣勢でハーフタイムを迎えたが、後半のキックオフから反撃。ディフェンスでPKを獲得すると、堤ほの花が左サイドを快走。フィジーがデリバレートノックフォワードでイエローカードを出すと、日本はPKから攻めて吉野舞祐が右中間にトライ。このグラウンディングの際にハイタックルがありフィジーにもう1枚イエローカード。

フィジー戦-永田花菜

フィジー戦-永田花菜


フィジー戦 19-14◯

直後に日本はスクラムからのアタックで堤ほの花がタックルを受けながら激しく前進し、ゴール前でオフロードパスを谷山三菜子につないでトライ。12-14と追い上げると、最後はゴール前に攻め込んだPKから谷山→吉野→堤とつないで逆転トライ。後半、残り4分になってからの3連続トライで19-14の逆転勝ちで好スタートを切った。

英国戦 19-14 ◯

続く第2戦は英国戦。直近5戦は日本が3勝2敗と勝ち越している。
フィジー戦は相手の2枚のイエローカードが日本に有利に働いたが、ここでも日本のスピードが相手の焦りを誘う。前半早々、堤が快走。タックルされてもターンして粘り、さらに前進。そこから三枝千晃がさらに出たところで英国にデリバレートノックフォワードがありイエローカード。日本は4分、辻崎由希乃と梶木真凜のみごとなコンビネーションで梶木が右中間にトライ。内海が難しいコンバージョンに成功して7点を先行する。

英国戦-庵奥里愛

英国戦-庵奥里愛


その後、英国にトライを許し、7-7の同点で折り返したが、後半のキックオフから猛攻。堤がゴール前に迫ったところでPKを得ると、内海がクイックで仕掛けてトライ。直後にもディフェンスでPKを獲得すると堤が速攻に出て梶木がビッグゲイン。ゴール前でハイタックルを受けるがPKを吉野が速攻してトライ。19-7と点差を広げ、ロスタイムに1トライを許したものの19-14で快勝。2連勝で4大会連続の8強入りを確定させた。

英国戦-梶木真凜キャプテン

英国戦-梶木真凜キャプテン


英国戦-三枝千晃

英国戦-三枝千晃



DAY1の2試合を通じて光っていたのはディフェンス。これまで以上に強いタックルで相手を押し込み、しつこくからんでPKを獲得し、そこからの速攻が直接得点につながっていた。特に攻守両面にわたり堤ほの花の強さと速さは光っていた。

DAY2 フランス 12-31

しかしDAY2は、パースまでの3大会連続銅メダルながら今大会ではここまで2戦2敗と不振のフランスに12-31と大敗してしまう。フランスは日本に勝ったもののC組4位に沈んだ。今大会はどの組も混戦で、全勝したのはB組のニュージーランドのみ。A組では初戦でカナダに敗れたブラジルが2戦目ではオーストラリアを14-12で破る金星をあげ、カナダを加えた3チームが2勝1敗。勝ち点7でブラジルとオーストラリアが並び、直接対決で勝っているブラジルがプールを1位通過した。一方で、昨年のパース大会でチャンピオンとなったアイルランドはB組最下位に沈んだ。

フランス戦-永田花菜

フランス戦-永田花菜

準々決勝の組み合わせは

NZ(B1位)-カナダ(A3位)、
英国(C1位)-オーストラリア(A2位)、
ブラジル(A1位)ーフィジー(C3位)、
日本(C2位)-米国(B2位)

準々決勝 米国戦 22-17◯

準々決勝の米国戦は、米国が先制。しかしハーフタイム直前のラストプレーで、三枝の突破を起点に相手ゴール前へ侵入。いったんノットリリースザボールの反則を取られるが、ここで米国はスクラムを選択。そのスクラムで日本はボールを奪い、庵奥里愛がトライ。内海がコンバージョンを決め、7-5と逆転する。

後半に入るとフィジカルとスピードで優る米国が2トライを奪い返し、17-7までリードを広げる。しかし日本は残り2分を切ってから猛攻に転じる。永田花菜からのパスを受けた岡元涼葉のトライで5点差とすると、残り0分のラストプレーで主将の梶木真凜が同点トライ。
そしてゴールデンスコア方式の延長戦。米国のキックオフを捕った日本は自陣22m線からアタック。初代表の20歳、松田向日葵と最年長30歳の辻崎由希乃が息のあった連携でチャンスを広げ、堤ほの花がビッグゲイン。PKを得ると堤が速攻に出て、キャプテンの梶木真凜が大きくサイドチェンジ。最後は岡元涼葉から高橋夏未がつなぎ、パスを受けた最年少19歳の谷山三菜子が相手DFの隙間をすり抜けて歓喜のサヨナラトライを決めた。22-17の勝利。

米国戦勝利の喜び

米国戦勝利の喜び



サクラセブンズはこれまで7度にわたってワールドシリーズで8強入りしたが、すべて準々決勝で敗退。今季4戦目、通算8度目の挑戦でついに厚い壁を破った。

準決勝 フィジー戦 7-28✕

準決勝の相手はフィジーだった。フィジーは初戦で日本に敗れたあと、フランスを24-12で破り、英国には21-24で敗れたものの、BP2を得たのが功を奏してC組3位となって8強入りすると、準々決勝ではブラジルに46-0で爆勝。調子を上げていた。

そして迎えた準決勝。フィジーが蹴ったキックオフは両チームが競り合い、リバウンドがフィジーに入ってそのままトライに。日本も次のキックオフから内海-庵奥で相手陣22m線まで侵入するがタックルに倒されたところでノットリリースザボールの反則。そこからフィジーが速攻をかけるが日本も全員で戻り、大橋聖香のタックル&ジャッカルでノットリリースザボール。フィジーは初戦とは別人のように攻守とも規律の高いプレーをみせ、日本を威圧した。フィジーは今大会日本と2度目の対戦。最初の対戦では日本のスピード、テンポの速さ、運動量にパニックに陥っていた気配があったが、2度目の対戦となったこの準決勝では冷静に対応。フィジカルの強さを前面に出し、カードを受けるようなプレーを見せなかった。

試合はハーフタイム直前、フィジーが自陣からの独走を含む2トライを畳みかけ、21-0とリードを広げて折り返す。

後半は2分、ハーフウェー手前のPKから永田花菜がクイックスタート。岡元涼葉から大橋聖香―再び岡元-辻崎由希乃とつないでトライ。谷山三菜子のコンバージョンも決まり7-21と追い上げたが、次のキックオフから再びトライを奪われ万事休した。7-28の敗戦。

ブロンズマッチ(3位決定戦) オーストラリア戦 12-26 ✕

最後の試合となったブロンズマッチ(3位決定戦)はオーストラリアとの対戦。ドバイとパースを制し、NZと年間チャンピオンを争っている世界のトップチーム。しかしサクラセブンズは堂々たる戦いを挑んだ。3分、自陣でオーストラリアの攻撃を堤ほの花がターンオーバー。

辻崎―三枝の連携でブレイクし、ハーフウェーで倒されるも素早くボールをリサイクルし、梶木が持ち出したところにトップスピードで走り込んだ内海春菜子が突破。そのままトライラインまで走り抜けて先制トライ。その後、相手のパスに手が出てしまった辻崎がイエローカードを受けたこともあり2トライを奪われ、7-14と逆転されて折り返す。

オーストラリア戦-内海春菜子

オーストラリア戦-内海春菜子


オーストラリア戦-地元のファンも日本を応援

オーストラリア戦-地元のファンも日本を応援


やはりサイズ、スピード、フィジカルの強さで上回るオーストラリアの壁は厚いか…そう思われたが、日本は果敢に反撃。1分、堤ほの花がタックル&ジャッカルでPKを奪い、3分に梶木が持ち込んだゴール前ラックから庵奥―辻崎とつなぎ左隅にトライ。12-14の2点差に肉薄。さらに次のキックオフからもディフェンスでPKを奪い、逆転を目指して攻めるが、オーストラリアのゴール前ディフェンスも分厚く、日本からPKを奪うと攻め返して5分にトライ。7点差をつけられた日本は同点を目指して反撃するが、ボールを奪われ逆にトライを許し12-26で敗れた。

史上初めて8強の壁を破り、4強に進んだサクラセブンズ。最後の2試合は敗れたが、オーストラリアとのブロンズファイナルの戦いぶりからは、世界のトップ国と伍して戦っていくポテンシャルが十分に感じられた。今大会では大谷芽生、田中笑伊が直前合宿で負傷離脱し、20歳の松田向日葵が初めてメンバー入り。これが2大会目の庵奥里愛、パリ後に加わった19歳の谷山三菜子、22歳の岡元涼葉ら若手が存分に躍動し、大会ごとにパフォーマンスを上げているのが頼もしい。今季の4大会で7位→6位→5位→4位と着実に前進。昨年は9位だった年間ランキングも5位まで上昇した。4強に進んだこと自体が快挙だが、さらに伸びしろを感じさせている。次の香港大会、続くシンガポール大会、そしてロサンゼルスのグランドファイナルへ向けて、どこまで成長するかが楽しみだ。

日本協会から発表されたHCと選手のコメントは以下の通り。

兼松由香HC

「早朝の日本から3日間応援いただきありがとうございました。また、いつも会場での熱い声援に感謝いたします。今大会は「ブレイクスルー」をテーマに、チームとしてベスト4に入ることを目標としていました。そのために選手たちはそれぞれが決めたブレイクスルーをフィールド内外でみせ、それらが準々決勝の勝利、ベスト4という壁のブレイクスルーに繋がったのだと思います。変化を恐れずに立ち向かい、歴史を変えたサクラセブンズ全員を誇りに思います。

大会終了後は、目標達成の嬉しさ以上に、メダルに届かなかった悔しさが残りました。それはサクラセブンズが次の目標に向かって歩み出している表れです。今大会で得た自信と課題を繋ぎ、続く香港大会ではメダル獲得を目指してチーム全員で努力を積み重ねていきます。引き続きサクラセブンズの応援をよろしくお願いいたします」

梶木真凜キャプテン(自衛隊体育学校PTS)

フィジー戦-梶木真凜

フィジー戦-梶木真凜


「いつも応援ありがとうございます。過去最高位のベスト4に入ることができ、とてもうれしく思います。1人1人が攻守共に役割を果たし、最後まで諦めない心で戦い続けた結果だと思います。ここから更にメダルを取れるチームになれるよう、より一層精進して参ります。引き続きサクラセブンズの応援をどうぞよろしくお願いいたします」

庵奥里愛(PEARLS)

庵奥里愛

庵奥里愛


「サクラセブンズへのご声援ありがとうございました。前回のパース大会は5位という結果で終わり、今回のバンクーバー大会でベスト4の壁を破るということを目標としていたので、ベスト4に入ったことを大変嬉しく思っています。ここまでサクラセブンズの歴史を作ってきてくださったすべての選手、スタッフの皆さんの積み上げた努力の結果だと思います。ここから更に順位をあげ、メダルを取れるチームになるためにチームとしても個人としても必ず成長します。応援ありがとうございました!」

内海春菜子(YOKOHAMA TKM)

「日頃よりたくさんの応援ありがとうございます。高くて遠かったベスト4の壁をやっと越えることができました。長かったですが、ここまで繋いでくれたサクラセブンズ、一緒に戦い抜いたサクラセブンズを誇りに思うと共に感謝でいっぱいです。
この舞台でゲームができることに感謝して、また帰ってチーム全体として成長できるように練習したいと思います。これからも応援よろしくお願いします」

大橋聖香(ナナイロプリズム福岡)

「今大会過去最高位4位という結果で終えることができ、まずは現地、ライブ配信で応援していただいた皆様本当に応援ありがとうございました。予選から厳しい試合が続き、準々決勝での延長まで続いた試合ではチーム全員の強い気持ちが一人一人のプレーで表現されていたと思います。また、3日間で勝ち続けることの難しさ、今回4位となって今後何が必要で、大事であるか少しずつ明確になってきていると感じました。残りの大会に向けて、サクラセブンズ全員で士気高く、普段の生活からもう一度見つめ直し、更なる上を目指していきたいと思います。引き続きサクラセブンズの応援よろしくお願いいたします」

岡元涼葉(東京山九フェニックス)

フランス戦-岡元涼葉

フランス戦-岡元涼葉


「いつも応援ありがとうございます。初めて4位という順位で、大会を終えられたことを嬉しく思います。僅差の試合を勝ち切ることができたのはチームとして成長できた点ですが、3日目のきつい場面でも勝ち切るために、チーム全員でもっとタフに頑張りたいと思います。これからも応援よろしくお願いいたします」

三枝千晃(北海道バーバリアンズディアナ)

オーストラリア戦-三枝千晃

オーストラリア戦-三枝千晃


「いつもサクラセブンズを応援していただいて、ありがとうございます。過去最高の4位を獲得できたことを嬉しく思いますし、チームを誇りに思います。今までサクラセブンズに携わってきてくださったチームメイトやスタッフが繋いでくれた結果だと思います。今後さらにチームとして成長して、サクラセブンズとして挑戦できることへの感謝の気持ちをプレーで表せるように、チーム一丸となってがんばります」

高橋夏未(日本体育大学)

「いつもサクラセブンズの応援ありがとうございます。今大会は目標にしていたベスト4を達成することができてとても嬉しいです。今後も結果を残していけるように気を引き締めて頑張りたいと思います」


谷山三菜子(日本体育大学)

フランス戦-谷山三菜子

フランス戦-谷山三菜子


「時差もある中3日間サクラセブンスの応援をしていただきありがとうございました。ベスト4の壁を突破し新たな歴史をつくることができたチームをとても誇りに思います。13人全員で繋がり一戦一戦臨むことができこれからに繋がる試合ができてよかったです。ここに満足せず、チームとしても個人としても課題を修正して次の大会に繋げていきたいと思います。引き続きサクラセブンスの応援よろしくお願い致します」

辻﨑由希乃(ながとブルーエンジェルス)

オーストラリア戦-辻崎由希乃のトライ

オーストラリア戦-辻崎由希乃のトライ


「いつもサクラセブンズの応援ありがとうございます。目標のBest4を達成できたこと嬉しく思います。ハードな大会を戦い抜いた仲間たちを誇りに思うと共に、日本で見守ってくれている選手たちも含めて全員で達成できたBest4だと改めて思います。今後もサクラセブンズらしくひたむきに1歩ずつ全員で成長し、今回獲ることのできなかったメダルを日本に持って帰れるように頑張っていきます。今後とも応援よろしくお願いします」

堤ほの花(日本体育大学)

英国戦-堤ほの花

英国戦-堤ほの花


「いつも応援ありがとうございます。目標としていたベスト4の壁を破る事ができ嬉しく思うと共に、これまで一緒に戦ってきた仲間を誇りに思います。込み上げてくる言葉は沢山ありますが本当に沢山の感謝に溢れています。今後さらに成長するサクラセブンズをお見せできるよう応援したくなるようなチームになれるよう精進していきたいと思います。これからも応援のほどよろしくお願い致します」

永田花菜(ナナイロプリズム福岡)

「サクラセブンズの応援ありがとうございました。プール戦からチーム全員のBreakthroughの結果、ワールドシリーズ過去最高位となる4位で大会を終えられてとても嬉しい気持ちでいっぱいです。これまでの大会から繋いでくれた選手やスタッフのおかげでもありますし、チームのことを誇りに思います。次の香港大会でも、より上の順位を目指してチーム全員でいい準備をしていきます。これからも応援よろしくお願いします」

松田向日葵(追手門学院大学VENUS)

「今回、ファーストキャップをいただきワールドシリーズという最高の舞台でプレーできたことに心から感謝します。そしてベスト4に入ることができ、とても嬉しく思います。同時に、自分の課題や弱さを痛感する大会でもありました。この経験を大切にし、自分に足りないものと真剣に向き合いながら、成長し、チームの力になれるプレイヤーへとレベルアップしていきたいと思います。また、素晴らしいチームメイトやスタッフの皆さんとともに戦えたことに、心からの感謝とリスペクトを伝えたいです。本当にたくさんの応援をありがとうございました」

吉野舞祐(ナナイロプリズム福岡)

「たくさんの応援ありがとうございました。今回のテーマであったBreakthroughをそれぞれが体現し、過去最高順位で終われたことをとても嬉しく思います。またさらに上を目指せるようにこれからもチーム一丸となって頑張りたいと思います。これからも応援よろしくお願いします」

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