春の関東王者は桐蔭学園。流経大柏にリベンジを果たして3連覇!   | ラグビージャパン365

春の関東王者は桐蔭学園。流経大柏にリベンジを果たして3連覇!

2015/06/15

文●斉藤健仁


6月12日から14日の3日間、東京・江戸川区陸上競技場、江戸川区臨海球技場、葛飾区総合スポーツセンター陸上競技場で第63回関東高校ラグビー大会が行われた。強豪同士の対決となったAブロックの決勝は桐蔭学園(神奈川1位)が流通経済大柏(千葉1位)を19−0で倒し、2月の関東新人大会準決勝(26−36)のリベンジを果たすとともに3連覇を達成。

3位決定戦は國學院栃木(栃木1位)が19−12で 東京(東京1位)を下した。

関東王者を決める一戦は、互いに持ち味を出して接戦に

接点の集散は桐蔭学園がやや上回った

接点の集散は桐蔭学園がやや上回った

今シーズンの関東王者を決める激突は、予想に違わぬ熱戦となった。

花園優勝経験のある桐蔭学園は、昨年度は慶応義塾高に神奈川県予選決勝で敗れて花園に出場できなかったため、「昨年度は今まで積み上げてきたことをすべて失ってしまった。今シーズンのテーマは『築き』です」(藤原秀之監督)と昨年11月からチームを強化し、選抜大会ではベスト8に進出していた。

また2月の関東新人大会で優勝していた流通経済大柏は4月からコーチだった元日本代表の相亮太氏が監督に昇格し、4月の選抜大会では2度目となるベスト4に進出。ゴールデンウィークに開催されたサニックスワールドユースの予選プールでは東福岡(福岡)に24−21で勝利するなど好調を維持していた。

昨年度、2年生ながら高校日本代表にも選出されたSH齋藤選手

昨年度、2年生ながら高校日本代表にも選出されたSH齋藤選手

「アタッキングラグビー」を掲げる流経大柏は自陣からも積極的にボールを展開する。それを予想していたように、桐蔭学園もタックルの強い渡邉晃生(2年)をSOに置き、「1対1のタックルと前に出るディフェンスを強化してきました。大会直前は接点のクリーンアウトの練習を意識してやってきました」(SH齋藤直人主将・3年)と相手の近場の攻撃にしっかりとプレッシャーをかけていた。

SH齋藤からのラストパス

SH齋藤からのラストパス

互いにキックを蹴り合う中で、両校ともなかなか相手陣22m内に入り込めない。先制したのは桐蔭学園だった。前半18分、相手陣10m中央左のスクラムから「8-9」で球出しし、SH齋藤が相手ディフェンスを引きつけてFB塩田一成(3年)にパス、塩田がタックルを受けながらも左隅にトライ(5−0)。前半はそのまま5−0で折り返す。

FB塩田が先制トライ

FB塩田が先制トライ


 

後半、桐蔭がボールを大きく展開して引き離す!

流経大柏はFWの近場でトライを取れなかったことが痛かった

流経大柏はFWの近場でトライを取れなかったことが痛かった

後半の前半、流経大柏はゴール前で何とかチャンスを迎えるも、相手の粘りのディフェンスの前にゴールラインを越えることはできなかった。「FWで取り切れなかったところが痛かった」(流経大柏・相監督)

桐蔭学園はSH齋藤のロングキックを中心に敵陣での戦いを進め、後半7分に展開力に長けたSO齋藤大朗(2年)を投入する。相手のFWに疲れが見えてきたこともあり17分にはFWとBK一体となってボールを左右に大きく展開し、最後はWTB宮川翔太(3年)が中央に回り込んでトライを挙げて12−0。

ボールを左右に動かしWTB宮川がトライ

ボールを左右に動かしWTB宮川がトライ

さらに23分にはゴール前、流れの中からモールを形成してPR高北卓弥(3年)が中央に押さえて19−0。「3年生がケガから戻って来て(3年生)FWが5人になった。FWこだわりたかったのでしょう」(桐蔭学園・藤原監督)試合は結局19−0でノーサイドを向けた。

最後は桐蔭学園がモールでトライ

最後は桐蔭学園がモールでトライ

 

トライを挙げて喜ぶ桐蔭学園FW陣

トライを挙げて喜ぶ桐蔭学園FW陣

 

桐蔭のダブルタックル!

桐蔭のダブルタックル!

 

優勝して喜ぶ桐蔭学園フィフティーン

優勝して喜ぶ桐蔭学園フィフティーン

桐蔭学園がディフェンスでは相手を零封し、アタックでは数少ないチャンスでしっかり取り切って19−0で快勝、関東大会Aブロック3連覇を達成した。また花園に出場を決めた場合の話となるが、桐蔭学園が流経大柏を倒して関東最強を証明したことでAシードを大きくたぐり寄せたと言えよう。

「築き」をテーマに「全国制覇」を掲げる桐蔭学園。冬まで、さらなる進化を遂げることができるだろうか。

 

桐蔭学園・藤原監督

桐蔭学園・藤原監督

桐蔭学園・藤原監督
「昨年11月から半年間、継続してきたものが出ました。積み重ねが大きい。去年失敗してから、積み重ねればこうなるんだという試合になりました。良い準備をしてチャレンジするという繰り返しをやり続けるしかない。もっとアタックでは回したかったし目指している姿にはまだまだですが、相手を0点で抑えたディフェンスは評価できます。この勝利は大きいです。関東で負けていたら、全国では勝てないですから」

流経大柏・相監督

流経大柏・相監督

流経大柏・相監督
「今日は攻撃的に行こうと選手たちが一生懸命、やってくれたことは評価できます。ただ風下で我慢して、取り切れなかったところの差が出ました。FWは後半、足が止まりましたね。全体として強化できなかったことはスタッフ陣としての反省です。さすが桐蔭学園さんですね。2月から力を付けてきた。花園で再戦したときには勝てるようにしたい。この大会を振り返って、もう一度、どこを強化するか判断していきたい」

 

斉藤健仁
スポーツライター。1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。印刷会社の営業を経て独立。サッカーやラグビー等フットボールを中心に執筆する。現在はタグラグビーを少しプレー。過去にトップリーグ2チームのWEBサイトの執筆を担当するなどトップリーグ、日本代表を中心に取材。プロフィールページへ


 

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