横河アルテミ・スターズが逆転勝利でコアチーム残留!太陽生命ウィメンズセブンズ入替戦 | ラグビージャパン365

横河アルテミ・スターズが逆転勝利でコアチーム残留!太陽生命ウィメンズセブンズ入替戦

2023/08/13

文●編集部


女子7人制ラグビーの国内サーキット、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2023の入替戦が8月11-12日の2日間、静岡県のエコパスタジアムで行われた。

太陽生命ウィメンズセブンズシリーズはコロナ禍による出場大会の制限等を鑑み、2021及び2022年度は入替戦を中止。2023年は開幕前のリージョナルセブンズで4チームを昇格させ、通常より4増の16チームでシリーズを実施した。来季は再び12チームに戻すため、コアチームの12位以下5チームがすべて入替戦へ。下部から昇格を目指す4チームとあわせた9チームでわずか1枠を争う熾烈なフォーマットとなった。

出場チームは以下の9チーム

・RKUグレース(2023シリーズ 総合12位)
・ブレイブルーヴ(2023シリーズ 総合13位)
・横河武蔵野アルテミ・スターズ(2023シリーズ 総合14位)
・北海道バーバリアンズディアナ(2023シリーズ 総合15位)
・四国大(2023シリーズ 総合16位)
・アザレア・セブン(リージョナルセブンズ2023 5位)
・九産大(リージョナルセブンズ2023 6位)
・弘前サクラオーバルズ(リージョナルセブンズ2023 7位)
・神戸ファストジャイロ(リージョナルセブンズ2023 8位)


総合順位は12位以下とはいえ、アルテミ・スターズは熊谷大会で7位、グレースは鈴鹿大会で8位、ブレイブルーヴも鈴鹿大会で9位に食い込んでいる実力チームだ。


大会は、DAY1は3チームずつ3組に分かれてプール戦を実施。その順位に基づきDAY2にトーナメントが行われた。本誌はJRFU提供写真と公式記録から大会レポートを作成してお届けする。




DAY1

■プール1
RKUグレース 55-0 弘前サクラオーバルズ
弘前サクラオーバルズ 19-14 九産大
RKUグレース 14-7 九産大

弘前vs九産大

弘前vs九産大


プール1は残留候補最右翼と見られたグレースが初戦で初昇格を目指す弘前から、大塚朱紗の先制トライを皮切りに宮本和がハットトリックの3トライをあげるなど今大会最多得点となる55点を奪い圧勝。

その弘前は続く2戦目で、遠藤優菜の2トライなどで九産大を破ると、3戦目はその九産大が奮起。星野瑠奈の2試合連続トライなどでグレースに7-14と食い下がり、DAY2へ向けポテンシャルをみせた。
1位:RKUグレース(+62)、 2位:弘前サクラオーバルズ(-50)、3位:九産大(-12)



■プール2

四国大 24-19 ブレイブルーヴ
四国大 38-0 神戸ファストジャイロ
ブレイブルーヴ 46-0 神戸ファストジャイロ

ブレイブルーヴv四国大

ブレイブルーヴv四国大



プール2は太陽生命シリーズでは総合最下位の16位と苦しんだ四国大だが、ブレイブルーヴとの初戦は金島瑠奈主将が先制トライ。さらにこれが四国大で最後の大会となる4年生の中村沙弥、尾崎夏鈴がトライをあげるなどブレイブルーヴを5点差で撃破。続いて初昇格を目指す神戸からは尾崎が4トライを量産するなど38-0と圧勝して1位通過。ブレイブルーヴは神戸から大量8T46点を奪い、DAY2のトーナメントでは2位グループ1位の第4シード枠を獲得した。


1位:四国大(+43)、2位:ブレイブルーヴ(+41)、3位:神戸ファストジャイロ(-84)

四国大vs神戸

四国大vs神戸



■プール3
アルテミ・スターズ 19-7 北海道ディアナ
北海道ディアナ 24-7 アザレア
アルテミ・スターズ 20-10 アザレア

アザレアvsアルテミ・スターズ

アザレアvsアルテミ・スターズ



首位チームがDAY1に大量点をあげた他の2組とは異なり、プール3は実力伯仲の激戦。アルテミ・スターズはディアナとの初戦、津久井萌のトライで先制したがディアナも三枝千晃のトライなどで食い下がり、19-7の12点差で決着。アルテミ・スターズとアザレアは20-10の10点差、最も差が付いたディアナとアザレアも17点差だった。ディアナの草野可凜は昨季まで在籍したアザレアから、アザレアの久保光里は一昨季まで在籍したアルテミ・スターズから、それぞれトライをあげる活躍を見せたのも、移籍の多い女子の面白さだった。
1位:アルテミ・スターズ(+22)、2位:北海道ディアナ(+5)、3位:アザレア(-27)

以上の結果に基づきDAY2は決勝トーナメントが行われた。

●1回戦
アザレア・セブン 36-0 神戸ファストジャイロ

初日未勝利に終わった2チームの戦いは、アザレアが迫田夢乃の3トライなどで今大会初勝利をあげた。

アザレアvs神戸

アザレアvs神戸


●準々決勝
四国大 19-7 九産大

西真央、南野温、下村真穂がトライをあげた四国大が九産大を内田麗の1Tに押さえ振り切った。

四国大vs九産大

四国大vs九産大




横河武蔵野アルテミ・スターズ 36-7 弘前サクラオーバルズ

イングランド帰りのサクラ15小林花奈子が2T3C16点をあげる活躍。弘前は前半、幅野真子のトライと中村まいのコンバージョンで一時7-14と追い上げるが後半は無得点に終わった。

アルテミ・スターズvs弘前

アルテミ・スターズvs弘前

北海道ディアナ 17-12 ブレイブルーヴ

ディアナが前半、この大会の秘密兵器ソフィ・ダフの連続トライで先行。さらにエース三枝千晃もトライを加え17-0で折り返すと、後半はブレイブルーヴの反撃を浴びたが、最後はイエローカードで6人になりながらも逃げ切り4強に進出。

ディアナvsブレイブルーヴ

ディアナvsブレイブルーヴ



ブレイブルーヴ・安藤菜緒

ブレイブルーヴ・安藤菜緒


RKUグレース 22-14 アザレア・セブン


唯一、1回戦を勝ち上がったアザレアは開始早々、西夏穂のトライで先制点を奪うが、グレースは安井ノエルのトライで追いつき、前半さらに冨岡日和の2Tで逆転。後半も大塚朱紗のトライで突き放した。アザレアは終盤、内山由羅がトライを返したが及ばなかった。

RKUグレースvs アザレア 大塚朱紗

RKUグレースvs アザレア 大塚朱紗



●5位以下戦準決勝

九産大 40-0 弘前サクラオーバルズ

星野瑠奈が今大会1試合個人最多得点となる3T5Cの25得点をあげる大爆発で九産大が今大会初勝利。


ブレイブルーヴ 40-0 アザレア・セブン

ブレイブルーヴは開始1分、サクラ15帰りの安藤菜緖が先制トライ。南奈那、安尾琴乃、近藤帆夏らがトライを重ね40-0で圧勝した

ブレイブルーヴvsアザレア

ブレイブルーヴvsアザレア




●準決勝

横河武蔵野アルテミ・スターズ 15-5 四国大


アルテミ・スターズは開始1分、田代ひなのが先制トライ。6分に中山潮音がトライを加え10-0で折り返し。後半は四国大も粘り5分過ぎまで無得点が続くが、6分に田代のトライでアルテミ・スターズが突き放す。四国大は終了直前に西真央がトライを返すが及ばなかった。

アルテミ・スターズvs四国大

アルテミ・スターズvs四国大



アルテミ・スターズ 髙﨑真那

アルテミ・スターズ 髙﨑真那



北海道ディアナ 33-0 RKUグレース


ディアナは2分、準々決勝に続き秘密兵器ダフのトライで先制。ハーフタイム直前に三枝がトライを加え、佐藤優がともにコンバージョンを成功。14-0で折り返すと、後半もアリーシャ・ウィリアムス、オリビア・リチャードソン、終了直前には吉田鳳子もトライ。太陽生命シリーズ総合15位のディアナが、33-0という一方的なスコアで優勝候補筆頭と見られたグレースに圧勝した。

ディアナvsグレース・吉田鳳子

ディアナvsグレース・吉田鳳子


7/8位決定戦

アザレア・セブン 36-5 弘前サクラオーバルズ


アザレアは2分に迫田夢乃が先制トライ。その後も星谷心咲、迫田の2トライ目で前半を19-0とリード。弘前も後半、幅野真子がトライを返すが、アザレアは後半も山本みなみ、久保光里、横山里菜子がトライ。最終順位は7位と振るわなかったが、地元開催の大会の最後を勝利で飾った。

アザレアvs弘前 幅野真子

アザレアvs弘前 幅野真子




5/6位決定戦

ブレイブルーヴ 33-12 九産大


九産大は1分、米村妃菜のトライ(星野瑠奈ゴール)で先制するが、ブレイブルーヴは4分に中村紘子のトライと安尾琴乃のコンバージョンで同転移追いつくと、5分に安尾が逆転トライ。さらに南奈那もトライを加え21-7で折り返すと後半も安藤菜緖、近藤帆夏がトライ。終了直前、九産大も神谷桃子がトライを返すが33-12でブレイブルーヴが勝ちきった。

ブレイブルーヴvs九産大

ブレイブルーヴvs九産大



3/4位決定戦

四国大 17-12 RKUグレース

準決勝で敗れ、気持ちの切り替えの難しい3位決定戦は、試合間隔が約90分長かった四国大が先手を取った。1分に下村真穂のトライで先制すると、金島瑠奈主将、エース尾崎夏鈴がトライを加え、前半だけで17-0とリード。グレースも後半2分に城遥花、4分に安井ノエルがトライを返し5点差に迫ったが、最後は四国大が逃げ切った。



決勝

横河武蔵野アルテミ・スターズ 10-7 北海道バーバリアンズディアナ

来季のコアチーム入りをかけた最終決戦は、1分にアルテミ・スターズの中山潮音が危険なタックルでイエローカードを受けるが、アルテミ・スターズは数的不利の2分間を無失点で耐え、7人に戻った5分に山本和花主将が先制トライ。しかしディアナは7分、ソフィ・ダフがDAY2の3試合連続となるトライで追いつき、佐藤優のコンバージョンで7-5と逆転。さらにアルテミ・スターズは先制トライをあげた山本主将が負傷退場。


ロースコアの戦いは後半もスコアレスの激戦が続いたが、終了直前の6分、アルテミ・スターズの小林花奈子が劇的な逆転トライ。コンバージョンは外れたが、横河武蔵野アルテミ・スターズが10-7で勝利し、来季のコアチーム残留を決めた。

アルテミ・スターズ、田代vsディアナ、三枝のエース対決

アルテミ・スターズ、田代vsディアナ、三枝のエース対決




優勝・コア残留を決め喜ぶアルテミ・スターズ

優勝・コア残留を決め喜ぶアルテミ・スターズ




逆転決勝トライを決めたアルテミ・小林花奈子

逆転決勝トライを決めたアルテミ・小林花奈子



小林花奈子選手コメント


「これまでなかなか勝利経験を掴めなかったアルテミですが、入替戦に向けて3週間必死走ってきました。試合日程に合わせてベストコンディションを作り、必ず優勝するとチーム一丸になって戦った結果だと思います。決勝では練習でやってきたことが全て発揮できたのではないかと思います。12人みんなが同じ絵を見ることができ自分の役割をしっかりとこなせたので獲れたトライだと感じています。来季は太陽生命で必ず残留し、アルテミの力を7人制、15人制どちらでも見せれたらと思います」

太陽生命シリーズでは思うような成績を上げられなかった各チームだが、接戦が多かったことは同シリーズでの各チームの成長ぶりを証明していた。来季の太陽生命シリーズは12チームによる大会になるが、この入替戦で勝てなかった8チームにも日本代表クラスの選手、高いポテンシャルを持つ選手がいることはすでに実証済みだ。来季は、今季は行われなかった下部大会の実施、それに基づいて太陽生命シリーズを1大会でも2大会でもいいので枠を拡大し、上位大会にスポット参戦するチャンスを設けることを検討してほしい。

大会個人ランキングは以下の通り。

トライランク

1位 尾崎夏鈴 四国大 6T
1位 安藤菜緖 ブレイブルーヴ 6T
3位 田代ひなの 横河武蔵野アルテミ・スターズ 5T
3位 安尾琴乃 ブレイブルーヴ 5T
3位 南 奈那 ブレイブルーヴ 5T
3位 星野瑠奈 九産大 5T
3位 迫田夢乃 アザレア・セブン 5T
8位 小林花奈子 横河武蔵野アルテミ・スターズ 4T
8位 ソフィ・ダフ 北海道ディアナ 4T
8位 宮本 和 RKUグレース 4T
8位 近藤帆夏 ブレイブルーヴ 4T


得点ランク

1位 安尾琴乃 ブレイブルーヴ 51点(5T13C)
2位 星野瑠奈 九産大 45点(5T10C)
3位 尾崎夏鈴 四国大 30点(6T)
3位 安藤菜緖 ブレイブルーヴ 30点(6T)
5位 小林花奈子 横河武蔵野アルテミ・スターズ 28点(4T4C)
6位 横山里菜子 アザレア・セブン 26点(2T8C)
7位 南 奈那 ブレイブルーヴ 25点(5T)
7位 迫田夢乃 アザレア・セブン 25点(5T)
9位 ソフィ・ダフ 北海道ディアナ 20点(4T)
9位 宮本 和 RKUグレース 20点(4T)
9位 近藤帆夏 ブレイブルーヴ 20点(4T)


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