高校ラグビー選抜大会・ベスト4が出揃う!東福岡・國學院栃木・東海大仰星・桐蔭学園 | ラグビージャパン365

高校ラグビー選抜大会・ベスト4が出揃う!東福岡・國學院栃木・東海大仰星・桐蔭学園

2014/04/05

文●斉藤健仁


4月4日、3月30日から埼玉・熊谷ラグビー場で開催されている第15回全国高校選抜大会は5日目を迎え、準々決勝の4試合が行われた。

九州王者・東福岡が尾道に68-33で勝利 WTB岩佐が5トライ!

ラインブレイクを繰り返したCTB永冨

ラインブレイクを繰り返したCTB永冨

1試合目は九州王者そして第10回、11回、そして13回大会の優勝チームである東福岡(福岡)と、中国王者の尾道(広島)の対戦となった。

この両者は全国の舞台で4大会連続の対戦となり、過去3大会は東福岡が勝利している。
※参照
一昨年度の花園 3回戦 ○東福岡 21-20 尾道
昨年の選抜 予選リーグ ○東福岡 26-7 尾道
昨年度花園 2回戦 ○東福岡 35-0 尾道

前半1分、先制は東福岡だった。自陣から展開しCTB永冨晨太郎(3年)がトライ(ゴールも決まって7-0)。

豪快なランでトライを挙げる尾道FB和仁原

豪快なランでトライを挙げる尾道FB和仁原

尾道も負けてはいない。敵陣でも積極的に前に出るディフェンスでプレッシャーをかける。相手の反則を誘うもPGを狙わず、ゴール前のラインアウトを選択し、FB和仁原和輝(3年)がトライ、自身でゴールも決めて7-7と同点。さらに12分にはゴール前でFWが近場を攻めてHO山川遼人(3年)がトライを挙げて7-12と逆転に成功する。

突破力の高い東福岡SO松尾

突破力の高い東福岡SO松尾

だが、その後は、東福岡が自陣から積極的に展開し、相手ディフェンスの穴を突く。20分にはSO松尾将太郎(3年)が、23分と27分にはWTB岩佐賢人(3年)が連続トライを挙げて28-12と大きくリードする。

近場ではFWがファイトした尾道

近場ではFWがファイトした尾道

尾道も30分にディフェンスで相手のミスを誘い、ボールを拾ったFB和仁原がインゴールに飛び込み、ゴールも決めて28-19に。東福岡が9点リードで前半を折り返した。

後半は「(相手の前に出るディフェンスに対して)4大会連続の対戦なので対応することができた。今年のメンバーはラグビーをよく知っている」(藤田雄一郎監督)という東福岡の一方的なペースとなる。

ライン際を快走する東福岡WTB岩佐。5トライと存在感を見せつけた。

ライン際を快走する東福岡WTB岩佐。5トライと存在感を見せつけた。

相手のディフェンスラインを次々とブレイクし、前半2トライを挙げたWTB岩佐が、後半も3トライを挙げるなど計6トライを挙げて相手を寄せ付けなかった。尾道は近場を攻めて2トライを挙げることが精一杯だった。結局、東福岡が68-33で勝利し、準決勝へ駒を進めた。

「過去4回の対戦で最多得点ですね?」という質問に対して、藤田監督は笑顔を見せず「トライを取られすぎですし、(4回の対戦の中で)最多失点です。昨年度も課題だったがFWがもろすぎる」と反省の弁を述べた。

日本代表の藤田慶和選手の弟・LO達成選手(東福岡)も後半途中から出場

日本代表の藤田慶和選手の弟・LO達成選手(東福岡)も後半途中から出場

5トライの大活躍を見せたWTB岩佐は「こういったインタビューは慣れていないんですが(笑)」と言いつつも「相手ディフェンスが前に出てくることはわかっていた。自分の持ち味を見せることができた」と笑顔を見せた。

 

花園王者・東海大仰星が春日丘に48-0と快勝も「勝って反省」(湯浅監督)

2試合目は昨年度の花園王者&近畿王者の東海大仰星(大阪)に、東海王者の春日丘がチャレンジする形となった。なお春日丘が勝利すれば、彦坂匡克・圭克兄弟(筑波大→トヨタ自動車)を擁してベスト4に進出した9回大会以来の準決勝進出となる。

組織ディフェンスで応戦する春日丘

組織ディフェンスで応戦する春日丘

先制は、前半2分、第7回大会以来の優勝を狙う花園王者・東海大仰星だった。CTB香川凜人(3年)が抜け出してトライ(5-0)。その後は春日丘が、整備された組織ディフェンスと、ゴール前での粘りを見せて失点を許さない。

トライを挙げる仰星FB山口

トライを挙げる仰星FB山口

それでも東海大仰星が14分にスクラムからFB山口匠(3年)がトライを挙げて10-0。その後も、敵陣でプレーする時間が続くが、得点を挙げることができない。前半終了間際、東海大仰星はSH柴崎亮(3年)がラックサイドから抜けだし17-0として前半を終えた。

ゴール前でも粘りを見せていた春日丘だったが・・・

ゴール前でも粘りを見せていた春日丘だったが・・・

前半は東海大仰星に春日丘が善戦した印象が強かったが、後半も近畿王者の圧力を前に、なかなか春日丘ペースとはならなかった。

終始、相手陣で攻撃していた東海大仰星

終始、相手陣で攻撃していた東海大仰星

東海大仰星はFWとBK一体となった攻めを見せ、4分、6分、8分、19分、33分とSO高未來(3年)が中心となってBK陣がトライを挙げて48-0で快勝し、準決勝に進出した。

指揮を送る東海大仰星の湯浅監督

指揮を送る東海大仰星の湯浅監督

8トライ&零封の快勝にも、東海大仰星の指揮官に笑顔はなかった。湯浅大智監督は「情けない。体を張っていなかった。ボールを運ぶ位置も修正しないといけない。だが、勝って反省できて良かった」と試合をふり返った。

昨年度から活躍していた東海大仰星NO8野村

昨年度から活躍していた東海大仰星NO8野村

またNO8野村祐太(3年)も「意思統一ができていなかった。ディフェンスが前に出られなかった」と反省しきりだった。

 

國學院栃木が大阪朝高に40-14で勝利し全国初のベスト4「県の歴史を塗り変えた」(吉岡監督)

國栃の司令塔SO関根がパスとキックで上手くゲームをコントロール

國栃の司令塔SO関根がパスとキックで上手くゲームをコントロール

3試合目は昨年度のベスト4の大阪朝高(大阪)と、初の全国大会ベスト4を狙う國學院栃木(栃木)の対戦となった。

先制したのは近年、ランニングラグビーで結果を残している國學院栃木だった。「バックスリーに速いランナーが揃っている」というSO関根慧(3年)を中心に自陣からボールを継続し積極的に展開する。

トライを挙げる國栃のWTB砂子

トライを挙げる國栃のWTB砂子

前半2分、SO関根のキックパスをキャッチしたWTB星野倫太郎(3年)がトライ、ゴールも決まって7-0。14分にはラインアウトから連続攻撃を見せて、最後はWTB砂子裕哉(3年)がトライを挙げて14-0とした。

接点では力強さを見せた大阪朝高

接点では力強さを見せた大阪朝高

フィジカルに長けた大阪朝高も負けていない。19分にはラインアウトからモールをFL申賢志(3年)が押し込み14-7。

その後は一進一退の攻防が続き、22分には國學院栃木がカウンターからFB石井雄大(3年)がキックし、自ら拾ってWTB砂子にパスし、そのまま砂子がインゴールにボールを押さえた(19-7)。26分には大阪朝高はゴール前のラインアウトが乱れ、こぼれたボールをFL蔡隆志(3年)が押さえて19-14と5点差として前半を折り返した。

ハーフタイムになる前あたりから、雨はほとんど降らなかったが、雷が鳴り響き、15分間、試合は中断された。

自陣から積極的に展開する國栃

自陣から積極的に展開する國栃

後半は互いに攻め手を欠いて、19-14のまま試合が続く。その膠着状態を破ったのは國學院栃木だった。14分、連続攻撃からSO関根がラインブレイクし、そのままトライを挙げて26-14とリードを広げる。

その後は大阪朝高ディフェンスに疲れも見えたこともあり、國學院栃木は20分にFB石井、26分にCTB渡邉弐貴(3年)がトライを重ねて40-14で勝利し、栃木県勢では初となる全国大会ベスト4に進出した。

NECを引退し、今年から國學院栃木の教諭となった元日本代表LO/FL浅野良太コーチも試合を見つめる

NECを引退し、今年から國學院栃木の教諭となった元日本代表LO/FL浅野良太コーチも試合を見つめる

悲願だった全国大会ベスト4に進出し、「次の試合もあるから泣くのを我慢しています」と目の奥を赤くしていた吉岡肇監督は「試合前のロッカールームで、4月4日を記念日にしようと選手たちを送り出しました。指導して26年目になりますが、栃木県初の全国ベスト4に進出することができ、県の歴史の1ページを塗り変えることができました。(先発15人中)160cm台の選手が7人と小さい選手ばかりで、タレントがいない中、まとまりで勝負できた」と記念すべき勝利を振り返った。

小さいが低くて強い國栃のフロントロー

小さいが低くて強い國栃のフロントロー

特にフロントローはPR古澤空大(164cm)、HO井上剛志(168cm)、PR佐藤鉄太郎(166cm)と3人とも160cm台だが、低いスクラムで相手にプレッシャーをかけていたことは特筆すべきだろう。「他の県の監督も練習を見に来るんですよ。全国の小さいフロントローに夢を与えることができている」と吉岡監督が言えば、PR佐藤は「低いスクラムには自信があります」と胸を張った。

 

「今大会一番」(藤原監督)の内容で桐蔭が久我山との関東勢対決を41-5で制す

久我山と桐蔭の関東勢同士の対決!

久我山と桐蔭の関東勢同士の対決!

4試合目は花園準優勝の桐蔭学園(神奈川)と、昨年度の花園出場を逃してしまった國學院久我山(東京)の関東勢対決となった。

桐蔭の攻撃を支える2年生SH齋藤

桐蔭の攻撃を支える2年生SH齋藤

苦戦した試合がありながらも予選リーグ戦3連勝で準々決勝に進出した両校。先制したのは桐蔭学園だった。「相手が大きくて的が絞りやすかったのでは」(藤原秀之監督)と言うようにタックルの精度が高く、カウンターラックからのターンオーバーを繰り返してペースを握った。前半5分、連続攻撃からWTB清水隆太郎(3年)がトライ、11分はCTB柴田徹(2年)、16分はFB佐々木尚(3年)がトライを挙げて19-0とリードを広げた。

前半途中から出場し、力強い突破を見せる久我山WTB山田(2年)

前半途中から出場し、力強い突破を見せる久我山WTB山田(2年)

21分には桐蔭学園のWTB清水が危険なタックルのため、シンビン(10分間の一時退場)となる。そのチャンスを國學院久我山は見逃さず、23分、ゴール前ラインアウトから近場を攻めて、左に展開し、最後はWTB秋山裕弥(3年)が、この試合唯一となるトライを挙げて19-5で前半を折り返した。

久我山の島田対桐蔭の佐々木のFB対決!

久我山の島田対桐蔭の佐々木のFB対決!

後半も先に得点を取ったのは桐蔭学園だった。キックの応酬からボールをつないでWTB塩田一成(2年)が右中間にボールを押さえて24-5とリードを広げた。

國學院久我山は自陣10mライン付近から、SH山本大旗(3年)のボックスキックやSO豊田康平(3年)のハイパントで相手ディフェンスを崩そうとするも、効果的な攻めに結びつけることができなかった。

終始ディフェンスでペースを握った桐蔭学園は10分には再びCTB柴田、23分にCTB長利完太(3年)がトライ。さらに30分には、ターンオーバーから得たチャンスを、途中出場のWTB栗原英明(3年)が50mを独走して右隅にトライを挙げた。結局、桐蔭学園が41-5で快勝し、第11回大会以来の準決勝進出を決めた。

ダブルタックルを決める桐蔭ディフェンス

ダブルタックルを決める桐蔭ディフェンス

桐蔭学園の藤原監督は「昨年の成績(ベスト8)を抜くことができましたね。この試合は、(この大会で)一番良かった。ディフェンス、特に個々のタックルが良かった。攻撃では、ボールをリサイクルする部分はもう少しだと思います。(予選リーグの)京都成章戦で勝ちを拾うことができて、その経験を活かすことができました」と、フィフティーンの成長に目を細めた。

すばらしいランを見せた桐蔭WTB清水

すばらしいランを見せた桐蔭WTB清水

左右への鋭いステップと決定力を見せたWTB清水は「何もできなかった昨日の試合から切り替えることができて、良いゲームができました。昨年度はメンバーに選ばれず悔しい思いをしていたが、今年は自分が引っ張る気持ちで臨んでいます。一つ一つ、戦っていきたい」と、試合を振り返った。

 

準決勝(4月6日)の対戦は以下のようになった。

11:00 國學院大栃木 vs 桐蔭学園
12:15 東福岡 vs 東海大仰星

場所:熊谷ラグビー場(Aグラウンド)

 

斉藤健仁
スポーツライター。1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。印刷会社の営業を経て独立。サッカーやラグビー等フットボールを中心に執筆する。現在はタグラグビーを少しプレー。過去にトップリーグ2チームのWEBサイトの執筆を担当するなどトップリーグ、日本代表を中心に取材。プロフィールページへ


 

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