ワールドカップ2025に向け開催地となるイングランド入りしているサクラフィフティーンが18日、滞在しているノーサンプトンからオンラインで取材に応じた。
櫻井綾乃(LO、29歳、横河武蔵野アルテミ・スターズ)

櫻井綾乃
――イングランドに到着して、今はどんな状況ですか?
「すごく良いグラウンドを使わせていただいて、チームも自分もすごく良い状態で準備ができています。私はこれまで、イングランドといえば曇っているというイメージを持っていたのですが、今は毎日天気が良くて、ハッピーな気持ちで過ごせています。先日はワールドカップのセレモニーも行われて、改めて、大会が近づいていると実感してきました」
――イタリア戦を終えて、ワールドカップに向けた準備の状況は?
「イタリア戦のあと、ワールドカップの開幕まではちょうど2週間あるのですが、まず初戦のアイルランドに向けて、1戦目を大事にしようということをチームとしてもフォーカスポイントにしているので、チームにインパクトをもたらす存在になれるよう意識して行動しています」
――プレー面ではどういう部分にフォーカスしているのでしょう。
「個人としてはまずセットプレー。スクラムとラインアウトでボールを獲得して良い条件で供給できるように練習しています。個人としては、フィールドでは攻守ともにインパクトを与えて試合の流れを作る、モメンタムを作りたいと思っています」
――櫻井選手はいわゆるビッグプレーを見せるタイプではないと思うのですが、インパクトはどのように? あるいはビッグプレーを狙うとか?
「はい、個人的にはビッグプレーをするタイプではありません(笑)。ひとつのオーバー、ひとつのジャッカルで着実に相手をドミネートする、ひとつひとつの小さいプレーで攻守の局面にインパクトを残していくのが目標です」
――アイルランドをどのように見ていますか?
「力をつけている相手なので、試合の入りが重要になる。最初にジャパンの流れを作れるかどうか。アイルランドは大きい選手が多いし、勢いをつけさせたらまずい。フィジカルで負けないように、自分たちが積み上げてきたフィジカルの部分を相手に対して出していけたらいいと思う」
山本実(SO/FB、28歳、横浜TKM)

山本実
――イタリアからイングランドへ入って、環境や心境に変化はありますか?
「イタリアもイングランドも同じヨーロッパですが、こちらへ来ると食事もポリッジ、オートミールなどお粥系のもの、それもオーバーナイトと言って一晩中煮込んだものなどイングランドらしいものが出てきて、3年間イングランドでプレーした身としてはホッとするというか、食べやすくて助かります(笑)」
――開幕戦のチケットが4万枚売れているというニュースがありませいた。女子ラグビー人気の盛り上がり、ワールドカップの人気を感じることなどありましたか?
「ホテルとグラウンドの間もバスで移動するのですが、そのバスがワールドカップの特別仕様で、Japanのロゴがラッピングがされていたりして、カッコいいんです(笑)。私たちがホテルに到着したとき、近くにいた女の子が感動していたんです。その姿を見て、この国の女子ラグビー選手は、日本の人がプロ野球の選手を見るような憧れの存在なんだなと思いました」
松村美咲(WTB/FB、20歳、東京山九フェニックス)

松村美咲
――イングランドに入って、コンディションはいかがですか?
「コンディションはいいとおもいます。こちらに入って、良い状態で準備させてもらっています。私たちがベストなパフォーマンスを出せるように、ホテルの方やいろいろなスタッフの方々が動いてくれて、本当にありがたいです。移動のバスも大きな私たち専用のバスが良いされていて、Japanと大きくラッピングされていて。最初に見たときは気持ちがアガリました(笑)」
――アイルランド戦に向けて準備していることは。いえる範囲で。
「アイルランドはキックを多用してくるチームなので、バックフィールドのプレーヤーとして自分の役割、キックの部分とフィールドの部分をしっかりやることです。今までとそんなに違わないです。自分の役割は明確になっていますので」
――ワールドカップが近づいて、緊張感とワクワク感、どちらが強いですか?
「緊張感と、楽しもうという気持ちと、同じくらいあります。今まで経験したことがないくらい大きな大会で、注目度も高いし、この大会に勝つために長い期間合宿をしてきた。その分緊張もあるしプレッシャーもあるけれど、ワールドカップという舞台に立てることに喜びを感じています。そして、大会までの準備の段階で一緒に頑張ってきたけれどここには立てていない方や、これまでサクラフィフティーンの歴史を作ってきたいろいろな方々の思いや、いろんなものを背負って準備してきたので、責任をもって出し切りたいなと思っています」
オリバー・リチャードソン (S&Cコーチ)

オリバー・リチャードソン
――先日、谷口アシスタントS&Cコーチから『この6カ月で1人平均5~10キロ増量している』と聞きました。どのようなS&Cプランを立てて取り組んできたのでしょうか。
「私たちは体重を増やすにあたって、より効果のある増やし方をしたいと考えました。このチームの強みは、スピードを集団として出せるところにある。その強みを出せる状態を維持しながら体重を増やすことを目指しました」
――この6か月、具体的にはどのようなメニューで大型化を図ったのですか。
「フォーカスしてきたのは、オンフィールドのトレーニングではゲームでの強度を超えるインテンシティで行うことです。これについてはJapanBaseで合宿できたことが大きな助けになりました。トレーニング設備も素晴らしいですが、何よりも助かったのは栄養面のサポートです。トレーニングで消耗したあとすぐにクオリティの高い、栄養価を考えた食事をとってリカバリーできた。あとは、S&Cのメニューをラグビートレーニングに組み込むことを目指しました。はじめのうちはコンディショニングのメニューは別に組んでいたのですが、レスリーと話し合う中で、ラグビートレーニングにより比重を置くように変化してきました。ゲーム形式の練習の中に、ゲームよりも高いインテンシティを組み込むようにしました」
――サクラフィフティーンのS&Cコーチに就任するまでの経緯を教えていただけますか。
「それまで、クボタスピアーズで4年S&Cを、クリタウォーターガッシュでスポット子t-血をしていて、日本の人たちとはつながりがあったし、環境にも慣れていたし、とても気に入っていました。そのあと、イングランドのレスタータイガースでヘッドオブパフォーマンスをしていたのですが、レスリーと話す機会があって、S&Cコーチを任せる人を探していると聞いて、すぐに飛びついたわけです(笑)。迷いはなかった」
――ワールドカップに向けたS&C強化で留意したことはありますか。
「ワールドカップに向けて6ヵ月を費やして大会へのプランニングをしてきました。それにあたっては、3週間から4週間のブロックを作って、それを日本でやっておいて、体を慣らしておくようにした。それによって、大会直前になっても良いバランスで過ごせて、トレーニングにもすぐにスイッチオンできるようになる。ワールドカップが近づくほど、スイッチオンできることは大事になりますからね」