3年間組んできたハーフ団の集大成!桐蔭学園連覇、SH後藤快斗、SO丹羽雄丸に訊く | ラグビージャパン365

3年間組んできたハーフ団の集大成!桐蔭学園連覇、SH後藤快斗、SO丹羽雄丸に訊く

2025/01/08

文●編集部


1月7日、第104回全国高校ラグビーは桐蔭学園の連覇で幕を閉じた。準々決勝では大阪桐蔭、準決勝では國學院栃木、そして決勝では東海大大阪仰星と強さを見せる戦いを展開した中でハーフ団、SH後藤快斗とSO丹羽雄丸の二人に試合後、話を聞いた。

桐蔭学園 SH後藤快斗

後藤快斗

後藤快斗


――おめでとうございます。連覇した今の思いは


ありがとうございます!花園の舞台で優勝できて嬉しいです。3年間こんな遠くまで通わせてくれた両親には感謝でしかないです。


――ご両親からは決勝を前にメッセージとかは?


いや、何もなかったです。多分気を使って話しかけてこないんだろうと思っていますけど、現地には応援に来てくれているんで、全国優勝という形で恩返ししたかったんで、それができて本当に今日は良かったです。

――今日はどんなゲームプランだった?


仰星さんは継続してきますし、力もあるチームなので自分たちの継続する時間を多くしようかというのは合ったんですけど、古賀(龍人)や(丹羽)雄丸のキックがいいので、風は強かったですけど、しっかりキックを使いながら、陣地を取って敵陣でプレーしようと話をしていました。

――うまくいかなかった時間帯もありました


うまくいってなかった時間は、ちょっと焦った部分もあったと思うし、多少緊張もあったかもしれません。昨日練習していなかった分、みんな体動きにくかった部分もあったのかなと思うんで、しっかりとシンプルなことをやろうと話していました。

それは僕らのゲームメイクでもシンプルなことをやろうとしていました。自陣でプレーしているとミスした時に点を取られちゃうんで、いかに敵陣にいけるかというのを気をつけてゲームメイクしていました。

――先制トライがとれたことは大きかった?


そうですね。準々決勝、準決勝と先制されることが多くて、先制されると相手に時間を使われて自分たちがしんどくなっちゃうので、みんな体もつかれていますし、逆転も難しくなると思うので、僕も先制とれて本当に良かったなと思います。


――今大会通じて、失点が少なかったですが、ディフェンスのどの部分がうまく機能した?兼決勝の東海大相模戦が一番多かったかも。


県決勝の時は、ちゃんと回りきれていない部分とか、ディフェンスの要のFL(小川)健輔がまだ怪我していなかったというのもちょっと大きかったのかなと思います。
花園ではしっかり初戦の前半から徐々にディフェンスラインを合わせて、健輔もしっかり体を張ってくれて、健輔の存在は大きかったと思います。

ハーフ団を3年組んできたからこその「阿吽の呼吸」で生まれたトライにつながる後藤が丹羽へつなげたノールックパス

ハーフ団を3年組んできたからこその「阿吽の呼吸」で生まれたトライにつながる後藤が丹羽へつなげたノールックパス



――ピッチ上の表情がいつもリラックスしているというか、柔らかいというかすごく楽しんでいるような雰囲気ですがこれはなぜ?


選抜、サニックス(ワールドユース)って大阪桐蔭と戦ったときは、緊張とは違うんですけど、自分がちゃんとしなきゃっていう気持ちが大きくて、何ていうんですかね、自分ばかりに集中しすぎてうまくプレーできなかったり、周りも落ち込んでたりしていく部分があったんです。試合を終えてこんなSHじゃ駄目だなと思って、やっぱり明るくてみんなを盛り上げるくらいの元気でないとこのチームを勝たせられないのかなというふうに思ったんです。

60分間どんなにしんどくても、劣勢でも自分は絶対超えを出すのはやめないというふうにそれから決めたんです。


――マインドチェンジしたということですね


はい。今バックスリーのリーダーをやらせてもらっているんですけど、このリーダー陣が気持ち落ちちゃうとみんな自然と落ちちゃうんですよね。そうなるとチームもどんどんついてきてくれないし、上がっていかないし、この状況はどうにかしないとと思ってずっと取り組んできました。

――県の決勝の時、連覇はあまり気にしないと言われてましたが実際はどうだった?


そうですね、気にしないとは言っていたんですけど、自分の中では連覇したいって思っていました。連覇は桐蔭学園としては2回目なんですが、実は決勝で大阪勢とあたって勝てたという試合が、自分たちが「初」で、新たな歴史を作れたという意味でも本当に嬉しく思います。


――次のステージでもプレーしていきますが、自分自身のもっと成長させたいという部分は?


1個のプレー精度もあげられる部分はあると思うんですけど、ゲームメイクの部分ももっと組み立てを考えることもまだまだ全然たりないことが多すぎるんで、大学行ってからは自分の弱みだったり、たりない強みをどう伸ばしていくかという部分にフォーカスしてがんばっていきたい。

――今日、エディー・ジョーンズ日本代表HCが試合を見に来ていましたが、代表への思いはありますか?


もちろん代表に入りたいですし、エディーさんが掲げている「超速ラグビー」というのは自分の得意な「テンポの速いアタック」は、アピールじゃないですけど、多少出来たのかなと少し思います。


――自分のプレースタイルにあっている?


そうですね。自分の強みはテンポの部分と、ラックサイドの仕掛の部分だと思っているんですけど、テンポの部分で代表にうまくフィットすればいいかなと思います。


――9番からみて丹羽雄丸の10番はどんな10番?


自分にやってほしいことを容赦なく言ってきますね。だからこそ、自分も全然現状維持してられないというか、雄丸もどんどんうまくなっていくから自分もと思いますし、1年からずっとハーフ団組んできたんですけど、今日自分が持ち出して、雄丸が入ってきて決めたトライは、一緒に3年間ハーフ団をやってきたからこそのトライだったかなと思います


――あの時は入ってくるのがわかっていた?


クイックテンポで出そう思って外を見ようと思っていたんですけど、前が自分のとこしか見てなかったんで、つっかけた時に後ろから「後藤」って言って入ってきてくれたんで、本当に仲間としても、友達としても本当に誇らしいです。

桐蔭学園SO丹羽雄丸

試合終了後両腕をあげて喜びを表現する丹羽雄丸

試合終了後両腕をあげて喜びを表現する丹羽雄丸


――どんな思いで決勝戦を戦ったか


決勝戦は勝ち切るだけというもうこの1試合にかける思いでやっていました。


――ハーフタイムではどんな指示が


9番10番がボールを持った後にかなりプレッシャー来ていたんでそこはちょっと修正しました。FWが結構前に出れていたんでFWに任せて、相手が寄ってきたら外に出すというイメージでした。


――ハーフ団を組んだ後藤君について


後藤も判断良くて、自分も助けられる場面があったんで、後藤とハーフ団を組めたことは大きいかなと思います。


――プレースキックは苦労する場面もあったと思いますが、大事なところでは決めてました。


今日は風もあって、そういうのを福本コーチと話し合って改善できたかなと思います。

福本コーチ

福本コーチ

――去年はスタンドで、今年はグランドで喜んだ優勝。どちらが嬉しい?


自分の代で優勝したという嬉しさは全然、格が違うなと思います。



――優勝の実感


観客席に行った時に歓声だったり、おめでとうという言葉をかけられた時に優勝したんだと実感しました。



――今日のパフォーマンス


結構ミスもあって、みんなに助けられたかなという感じでした。チームとしてはアタックのところもディフェンスのところもみんなで助け合いながら練習してきた形ができたので良かった。

――いろんな戦術がある桐蔭学園ですが、その戦術に全部チームが応えてくれますね


はい。自分が持っている戦術というよりかはチームが持っている戦術で、みんながその一つのことをできるチームかなと思います。


――やりたいことがうまくできた大会だった?


やりたいことを全部できたというわけでもなくて、相手も強いのでミスして自分たちができなかったこともあって、それは改善するための策をしっかりミーティングで話し合って、いろいろな想定をしてやっていけたかなと思います。

――〇〇だから桐蔭学園は強い、としたら〇〇は何が入る?


想定が何個もあって、ミスしたときの想定や、相手が強かった時の想定など、想定の多さかなと思います。


――春は負けてチームとしてどんな成長をした?


自分が合流してから結構フィットネス強化だったり、判断のところで結構成長できたと思っています。自分が全部指示するだけじゃなくて、受け側にも相手のスペースを共有したり、そういうことができるようになったのでそこは成長かなと思います。

――高校での3年間はどうだった?


1年生のときはメンバーにも入らせてもらって試合の出場機会もいただけていたんですけど、2年生になって怪我になって出場することができず、3年生で最後、こういう結果で終わることができて良かったです。


――怪我の時はどんな思いでしたか?


もうラグビーから離れたいという気持ちが大きくて、ラグビーボールを見るのも嫌やし、自分、寮生なんですけど、他の寮生の友達がラグビーに行って、返ってくるのも正直嫌で誰にも会いたくない気持ちでした。


――それはどのくらい続いた?


1ヶ月も絶たないくらいです。自分は4人兄弟なんですけど、お兄ちゃんが『ここは耐えるしない。リハビリに専念して自分が今できることをやるしかない』と言ってくれて乗り越えることができました。

自分にはラグビーが必要なんだなと思いましたし、改めてラグビーの楽しさを感じました。接点のところで抜けたり、接点で自分たちがどう戦えばよいかというのを考えてそれを実現できたり、実際に突破したときが一番たのしいです。


――その時の自分にどんな言葉を投げかけたいか


落ち込むところは落ち込んで、自分がすっきりするまで泣けばいいし、落ち込めばいいし。だけど切り替えることを大事にするということを伝えたいですね。

――なぜ地元の大阪ではなく桐蔭学園に入学した?


中学校の時に桐蔭学園の試合を見て、継続しているラグビーに憧れてました。友達と進学先を同じするという(選択肢)も合ったんですけど、それより、みんなを倒して優勝したいという気持ちをもって入学しました。


――今日一番熱くなったシーンは


最初のトライだと思います。結構先制される場面が多くて、それを修正できたというのもありますし、仰星さんはFWも大きいので、桐蔭のFWは比較的小さいですが、そこでも勝ったというのがあって。

体の大きな仰星FWに対して、体を張り続けた桐蔭FW陣

体の大きな仰星FWに対して、体を張り続けた桐蔭FW陣

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