Aシード校対決は桐蔭学園が大阪桐蔭に勝利!ミスのない戦いで相手の弱点をつく見事な試合展開で快勝 | ラグビージャパン365

Aシード校対決は桐蔭学園が大阪桐蔭に勝利!ミスのない戦いで相手の弱点をつく見事な試合展開で快勝

2025/01/04

文●編集部


1月3日(金)、花園ラグビー場では、第104回全国高校ラグビー大会準々決勝4試合が行われた。中でも第3試合、春の選抜、サニックスユースで優勝している、Aシード・大阪桐蔭と2度の決勝でいずれも敗れ準優勝となっているAシード・桐蔭学園が激突。Aシード校同士の試合というだけあって、ハイレベルな60分となった。

開始直後、大阪桐蔭はキックチャージからWTB須田琥珀がトライ。上田倭楓のゴールも決まり7‐0と先制。さらに3分、SH川端隆馬のトライで大阪桐蔭が14‐0とあっさりリードするも、この2発で桐蔭学園は覚醒した。

前半16分、桐蔭学園は敵陣ゴール前でフェイズを重ねゴールラインに迫り、サイトはPR石原遼のトライで14‐7とした。結局前半はその後スコア変わらずで終了。

桐蔭学園PR・喜瑛人

桐蔭学園PR・喜瑛人


桐蔭学園FB・古賀龍人

桐蔭学園FB・古賀龍人


前半16分桐蔭学園・PR石原遼のトライ

前半16分桐蔭学園・PR石原遼のトライ


ゴール前に攻め込む大阪桐蔭

ゴール前に攻め込む大阪桐蔭


守り切る桐蔭学園。前半はスコア変わらず14‐7と大阪桐蔭がリードして終えた

守り切る桐蔭学園。前半はスコア変わらず14‐7と大阪桐蔭がリードして終えた

勝負の後半を迎える。得点チャンスになったのは桐蔭学園。敵陣ゴール前でペナルティを受け、ショットを選択。SO丹羽雄丸のキックは左に大きくそれて失敗。それでも、前半からボールを左右に大きく展開し、大阪桐蔭FWを走らせたことにより、脚が止まってきていた。

後半に入ると桐蔭学園はさらにボールを大きく左右に振って大阪桐蔭ディフェンスを崩した。後半4分、SO丹羽がディフェンスのギャップを付いてトライを決めると、後半7分、SO丹羽からWTB草薙拓海への絶妙なキックパスから草薙がトライを決め19‐14と逆転に成功。大阪桐蔭のラッシュディフェンスに対しても桐蔭学園はボールを落とさない高いスキルを見せた。さらにこの日はSO丹羽のキックが冴えていた。空いたスペースを瞬時で見つけてキックでチームを前進させた。

後半2分SO丹羽のPGは決まらず

後半2分SO丹羽のPGは決まらず


後半4分丹羽がディフェンス突破

後半4分丹羽がディフェンス突破


丹羽がそのままゴール中央へトライ

丹羽がそのままゴール中央へトライ


丹羽のゴールも決まる14‐14の同点とする

丹羽のゴールも決まる14‐14の同点とする


さらに桐蔭学園は後半7分、丹羽のキックパスをキャッチしたWTB草薙匠海がトライ

さらに桐蔭学園は後半7分、丹羽のキックパスをキャッチしたWTB草薙匠海がトライ

後半16分には敵陣ゴール前の攻防からSO丹羽がインゴールへ向けてグラバーキック。そのボールを桐蔭学園CTB坪井悠がグラウディング26‐14とリードを広げた。前半の2トライ以降、敵陣に入ることすらできなかった大阪桐蔭は、焦りからかミスが続き、本来の攻撃の形を出せぬまま、試合は終盤へ。

後半16分丹羽がディフェンスの隙間に対してグラバーキック

後半16分丹羽がディフェンスの隙間に対してグラバーキック


そのボールをキャッチしたCTB坪井悠がトライ

そのボールをキャッチしたCTB坪井悠がトライ


桐蔭学園が26‐14とリードを広げた

桐蔭学園が26‐14とリードを広げた


後半27分、センタースクラムからFB吉川大惺がブレイク。敵陣22mに入るも、SH川端隆馬がボールを出すことができず、桐蔭学院がターンオーバー。さらに大阪桐蔭の攻撃の時間帯が続くが、桐蔭学園のディフェンスも最後まで脚が止まらず、分厚い。30分、後半のロスタイムがないまま、桐蔭学園ゴール前でのマイボールをスクラムでボールをキープし、桐蔭学園がボールを蹴り出し試合終了。

後半27分センタースクラムからFB吉川大惺がゲイン。一気に敵陣22mに入るも・・・

後半27分センタースクラムからFB吉川大惺がゲイン。一気に敵陣22mに入るも・・・


桐蔭学園はFL小川健輔さらにNO8新里堅志がディフェンス

桐蔭学園はFL小川健輔さらにNO8新里堅志がディフェンス


ボールが前方にこぼれ桐蔭学園がターンオーバー。チャンスを活かすことができなかった。

ボールが前方にこぼれ桐蔭学園がターンオーバー。チャンスを活かすことができなかった。


Aシード同士のハイレベルな一戦は26‐14で桐蔭学園が勝利し準決勝進出を決めた。春、サニックスと敗れた桐蔭学園が、花園でリベンジを果たした。

優勝候補の一校、大阪桐蔭は8強で今大会を終えた

優勝候補の一校、大阪桐蔭は8強で今大会を終えた

桐蔭学園 藤原秀之監督

桐蔭学園・藤原秀之監督

桐蔭学園・藤原秀之監督


キックの処理は難しかったので、蹴らないという選択をしようとしていたので、スキルがあるのでやればと言った。去年からスキル練習をやっていたのが今日は出た。やりたいラグビーの形が出てきた。こんなところでやるのは一生ないので頑張れ、と言った。

(大阪桐蔭がいたからこそ)本当に、大阪桐蔭さんではなかったら、うちもここまでならなかった。準決勝になったらアウェイ、決勝なら99%大阪桐蔭だったと思います。今日も圧倒されてしまうのかなと思ったら、うちに流れが来ていて、前半1本は取れるかなと思っていた。14-3でもいいと思っていたら14-7で終わったのでラッキーだった。

丹羽雄丸

丹羽雄丸


(SO丹羽について)やらかしたので(評価は)50点くらいかな(笑)。昨季、使ってやりたかったが(ケガで)できなかった。大阪の選手なので、故郷に錦を飾るわけじゃないですけど、かっこ悪いところもありましたね(苦笑)。いいんじゃないですかね。

(大阪桐蔭に勝ってこれから難しくなる?)難しいですが今年のチームは軸がブレないと思う。目標は大阪桐蔭に勝つことだけではない。準々決勝と準決勝、決勝は違うという話はいつもしているので今日もまたしないといけない。

(長くミーティングをしていた)いつも通りですね。今日も1時間ちょっとやっていました。

(今年のチームの良さが出た?)FWもよく頑張ったし、BKもミスがあったが、良いラインブレイクがあって、走る選手も走った。丹羽のキックも良い判断だった。うちとしては良かった。今日は勝つか負けるかしかないから、どっちにしろ、納得するような形でやりなさいよ、正常心でやりなさいという話をした。

桐蔭学園LO・西野誠一朗

桐蔭学園LO・西野誠一朗

(大きく展開できる力がかなりついた)関東新人を見ているとびっくりしますよね。ガラッと変わった。

(キックの使い方は)アタックとキックのバランスですよね。ショートキック、ハイパント、パス、ランをバランス良く使えたかなと思います。

(バランスよく戦った方がいいと言った意図は)昨日の夜のミーティングで、少し選手たちが前のめりだったので、亡くなった天理高校の田中先生に10年前に言われた、「直球だけでなくいろいろあった方がいいんじゃない」ということを選手たちに初めて言いました。そうしたら、少しミーティングが変わりましたね。


(準決勝は)もう1回、どれだけリフレッシュできるかですね。ミーティングはします。体は少し動かすかなと思います。


桐蔭学園 FL申驥世キャプテン

申驥世キャプテン

申驥世キャプテン


大阪桐蔭に勝ったのは嬉しいが、準々決勝に勝っただけなので、これからギア上げて、もっと成長していきたい。

(ゲームプランは)最初はボールを持って蹴らずに攻めようとしたが、藤原先生にもっと柔軟性を持って戦った方がいいんじゃないかと言われたので、深いミーティングでキックを蹴る部分とボールを持って攻める部分の時間帯を分けようとした。それはプラン通りだった。

(最初の2トライは)特に最初のチャージはアンラッキーだったので、逆に緊張がやわらいだという話をして切り替えてできた。前半、2本連続で取られることは想定していた。ミーティングでも出ていたし、やっぱりあるよねと話に出ていた。

(ミーティングは準々決勝の)抽選を引いて振り返ってやって、次の日の朝、夜、今日の朝もやった。目標としていた大阪桐蔭を倒した後、気を緩めるのが一番怖い。大阪勢も残っているし花園はどのチームも強い。

(大阪桐蔭の存在は)本当に強くて、大阪桐蔭がいたおかけで今日も良い試合ができたし、大阪桐蔭を目指してここまで強くなれたので、その分もしっかり勝っていきたい。今日もセットプレーがやられたが、セットプレー、コンタクト、速さ、ディフェンスのところもすべて大阪桐蔭を上回るため1年間やってきたので、今日はそれが出た。

(良いアタックがありましたね)本当に想定していたこともやりましたし、積み上げてきたアタック、つなぎ、ディフェンス、判断力、切り替えのところ、今年やってきたことをすべて出した。春の選抜は6点差だったが、それ以上に実力差があって、サニックスでは後半10分だけ上回れて、今日はそれを60分やろうとした。最初は飲まれたが、切り替えて速いテンポでできた。

10番の上田選手がキックもランもパスもあって良い選手なので、下がっていたのでプレッシャーかけるのはどうなのかというプランはあったが、それを捨てて、ボールを持って勝負しようとしたら、藤原先生に今年のチームは柔軟性をもってやってきたので、1つだけではなくいろんなパターンを持ってやったらそれがはまった。

(後半の2トライは)スペースを見て、ボールを動かしてトライを取りきるのは初めからやっていて、キーになると思っていてそれが出た。

自分達はこの1年走ってきたので、きつい時にこの時のために走って来たんだぞっていうふう僕はFWにずっと声をかけていて、FWが劣勢になるところも合ったんですけど、頑張ってくれたんで強気でいこうと。桐蔭学園にはA型とB型という言い方をしていて、、A型が積極的にチャンスを探しにいく、B型は消極的なプレーのことを指しています。(メンバーには)「ずっとA型でいこう」「チャレンジし続けよう」という言葉がFWからも出てきたので、いい雰囲気で試合ができたかなと思っています。

――前半のトライは大きかったのでは


試合前から敵陣の22mに入ったらFWでいこうと話していました。FWに自信を持っている大阪桐蔭さんにFWが縦に攻めることができたのはものすごく自信になりましたし、FW行けるぞという感触があったので、あのトライは本当に大きかったですね。


――後半、左右にボールを大きくふったのは?


前半終わった時にFWの金子コーチから、相手のFW脚が止まっているから、ボールをまわしたらいいとか、継続していけば多分(スペースが)空くという指示があったので、それをFWがBKに提案して、10番丹羽が振ってみたら、振れたのでそうなりました。

桐蔭学園 SH後藤快斗

後藤快斗

後藤快斗


選抜、サニックスで負けてすごく、もうみんな絶対勝つという気持ちでみんなで真剣にミーティングに取り組んでしっかり準備してきたことがこの試合で出せて本当に良かったです。
(試合前には)今日は観客がすごく多かったんで、まずコミュニケーションの部分で喋るのを辞めたら攻撃もうまくいかないしディフェンスも絶対抜かれるというふうに言っていたんで、しっかり全員がコミュニケーションとって、一人一人が体を張り続けることを最後に確認しました。


――最初いきなり2トライ決められたけど


最初の2本は正直自分たちもびっくりしたんですけど、自分達がビハインドの状態になるというのは昨日のミーティングの時点でみんな想定していて、チーム全体で焦るということはなかったです。なんなら、もう逆にあの2本で緊張がほぐれて、逆にみんなが、今からやるぞというスイッチに切り替わった瞬間だったと思います。

――前半(トライ数で)1 対2で折り返せたのは大きかった?


そうですね。前半のうちに得点して折り返せたというのはすごく大きなところだったのかなと思います。


――後半だんだんクイックボールが出るようになったのは何が良くなった?


前半風下で苦しい状況だったんですけど、しっかり自分達のポゼッションで蹴って、みんなしんどい中でも走り続けて、まず相手の大きなFWを走らせるということ、それを前半にやっていて、後半効いてくると思っていました。

実際に後半、大阪桐蔭さんのFWの脚が止まってきて、自分達のアタックは試薬なっていったという感じですね。


――次の試合に向けて


まずは一戦一戦戦うということが大事だと思うんで、次の対戦相手が決まったらしっかり準備をやって次の試合に挑んでいきたい。

桐蔭学園SO丹羽雄丸

丹羽雄丸

丹羽雄丸


今日はPGだけにこだわらず、SOということでゲームコントロールして、空いているスペースにボールを運ぶということにフォーカスしていました。


――大阪桐蔭は目標にしていた?


自分は(公式戦に)ずっと出ていなくて、出ていない試合で2回負けて、チームメイトにも大阪桐蔭もずっと目標にしているとということずっと言っていて、他のメンバーもずっと言っていました。


――大阪桐蔭の川端選手は同級生?


中学校のときはFBやったりSOやったりしていたんですけど(川端)隆馬とはハーフ団を組んでいて、桐蔭行っても連絡取るくらい仲良しなんです。隆馬も選抜、サニックスでも注目の選手に挙げられていて、自分は怪我していたので、注目を浴びてこなくて、やってきたんで負けたくないという気持ちは大きかったです。


――今日川端選手と対戦したということについて


決勝で当たるっていう話もしていたんですけど、ここで当たったから逆に良かったかなというふうに思っています。FWも走られたし、自分達が元気なうちにやれてよかったかなと思います。


――次2つの試合に向けて


大阪桐蔭さんに勝ったことで結構自信つくと思うし、自分達の成長にも絶対つながったと思うんで、あと2つは自分達の持っているスキルを全部出しきってやれば、優勝は見えてくるかなと思っています。


――昨年の優勝する姿を見て


優勝したことは嬉しかったんですけど、そのピッチに自分が立っていないというのは悔しくて直前で怪我したしたのもあって、正直悔しさの方が上でした。

大阪桐蔭 綾部正史監督

大阪桐蔭・綾部正史監督

大阪桐蔭・綾部正史監督


ベスト8で(敗退)というところで僕自身責任を感じます。本当に子供らも一生懸命やってくれましたし楽しい時間でした。本当にうちの弱点というか、そういうところをうまいことついてくるチームでしたね。

イーブンでいければうちもスコア入っていたとおもうんですが、なかなかマイボールにならなかった。(やりたかった展開ラグビーが)できなかったですね。本当にミスをしないチームなんで、ペナルティの数も見ていないですけど、全然もらえなかったんでね。

前半と後半で形は変えてくるだろうなというのはわかっていたので、それでも我慢してディフェンスできるかなと思って見ていましたけど、桐蔭学園の子らの方がしっかりラグビーやっていましたね。 

大阪桐蔭 名取凛之輔キャプテン

チャレンジャーとして戦えましたが、まだまだ気持ちが弱かったのかなと思います。キャプテンとしてもうちょっと体を張りたかった。(追いつかれたときに)3年生中心になって、コミュニケーション、規律のところを声かけた。(追いつかれたのは)想定内だったが、なかなかもっていかれた流れを取り戻せず、相手のペースに持ち込まれた。自分たちの規律が良く無かった。

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