4年で日本一へ―三重ホンダヒードの挑戦、キアラン・クローリー新HC、フランコ・モスタートに訊く | ラグビージャパン365

4年で日本一へ―三重ホンダヒードの挑戦、キアラン・クローリー新HC、フランコ・モスタートに訊く

2023/11/21

文●野辺優子


12月9日に開幕する、3シーズン目となった、NTTジャパンラグビー リーグワン。今季からディビジョン1に昇格した三重ホンダヒートが、11月20日、Hondaウエルカムプラザ青山で所信表明イベントを開催した。

まずは本田技研工業株式会社・小澤学執行役常務が登壇し、「ラグビーという競技が持つ魅力、献身性や関わる人へのリスペクト、そのベースにある圧倒的な努力に裏打ちされた自分とチームを信じる力~それらは人々の心を揺さぶり、Hondaのグローバルブランドスローガンである「The Power of Dreams - How we move you.」そのものだと思っています。今シーズンは、世界を舞台に活躍する名将キアラン・クローリー氏を、三重ホンダヒートのヘッドコーチに迎え、チーム強化に向けたギアを上げていきます。」と語り、続いてキアラン・クローリーHC(ヘッドコーチ)がチームの目標やスローガンについて説明した。

「妻と一緒に日本に来られて嬉しい」と語ったクローリーHCは、「私は人口200人ほどの小さな地域の農場で生まれ育ちました。そこでオールブラックスになりたいと言う夢を持ち、2度のワールドカップに出場することができました。今、3人の子供たちも、ニュージーランド、カナダでそれぞれの夢を叶えようと頑張っています。そして、私自身も、いろんな夢を叶えるためにニュージーランド、カナダ、イタリアでコーチとしてコミットしてきました。そして今、日本にいます。4年で日本一になるという目標を掲げて努力していこうと思います。この夢は選手、スタッフ全員の目標です。

全員で「Heat Way~Powered by Effort~」というスローガンを定めましたが、高い目標の達成に向けて、想いをひとつにして、全力でチャレンジするという新たな意思を込めています。この夢が実現した時、本当の意味で、チームのビジョンである、最も、最も強く、最も愛され、最も尊敬されるチームになると信じています。さあ、始めましょう!」


引き続き、前田芳人ゼネラルマネージャーや、キャプテンのFL(フランカー)古田凌、南アフリカ代表LO(ロック)フランコ・モスタート、NO8(ナンバーエイト)ヴィリアミ・アフ・カイポウリ選手らも登壇し、今シーズンの意気込みを語った。


三重ホンダヒートのディビジョン1での戦いは、リーグワンの開幕戦でもある12月9日(土)に、兵庫県・ノエビアスタジアム神戸でのコベルコ神戸スティーラーズ戦から始まる。

キアラン・クローリーHC

――HCはニュージーランド時代から日本のラグビーを知っていると思うが、当時と比べて今の印象は?


日本のラグビーは良くなっていると思う。リーグワンができて、より良い選手、より良い競争を生み出しており、どmんドンレベルアップしている。日本のラグビーにとっても、日本のスポーツにとっても良いことだと思う。自分がその一翼を担えることをとても嬉しく思っているし、興奮している。


――イタリア代表を展開ラグビーに変えて行ったのは?


そうですね。私がきた時、イタリアはシックスネーションズで35試合だか36試合だか連敗を重ねていて、コンペティションから追い出せと言われるほどの状態でした。だからこのまま同じことを続けていても結果は変わらない。それなら変えようと思いました。

それでチームと話し合いました。私たちはリスペクトを失っていたんです。ワールドラグビーからも、おそらく他の多くのチームからも。だからまずチームの中で尊敬と信頼を取り戻したかった。

イタリア代表を率いたクローリーHC

イタリア代表を率いたクローリーHC



2000年の初め頃、ラグビーがプロ化してからイタリアのFWはとても強くなった。だからずっと同じスタイルでプレーした。そうして同じ結果を続けた。おそらく他のチームがそのエリアでイタリアを追い越してしまったんだと思う。でも、いい若い選手が何人か出てきた。それで、操っている少し勇気を出して、革新的なラグビーをしようとしました。

時には本当に大変なこともありました。トラブルに巻き込まれることもあった。でも、私はもう長い間コーチをしているし、チャレンジしてもそれで終わる訳じゃない。だから私たちはやり続けました。(イタリア代表では)いい結果もいくつか残したけど、チームにはまだ未来の希望があると思います。そして願わくば、ヒートでも同じように少しの勇気と野心を示すことができればと思う。これから大きな挑戦が待っているのですからね。


――ヒートの強み


スクラムを組んで相手とぶつかり、ドライブして相手とぶつかる。だから試合はFWは大事なので、少なくとも同等か、優位に立たなければならない。それがまず第一で、そのうえで、全員がゲームに参加できるようなゲームを作りたいと考えています。対戦相手に応じて、自分たちは様々な方法でプレッシャーをかけることができる。まだ自分は合流して3週間なので、チームの全てをわかっているわけではない。

でも、昨年の試合を見ると、スクラムもラインアウトもとても良かったし、バックスの選手も良いトライを何本か取っている。だからヒートはオールラウンドなチームだと思う。全ての強みを出し得るチームであり、うまくいけばさまざまなタイプのプレーができる。


――「4年で日本一」と言うのは自身が決めた目標か


これはいわば複合的な決定ですね。つまり、私たち全員が意見を出し合ったんです。なぜ4年なのか?と言うことですが、4年で強化するチャンスが我々にあるからです。1シーズン目はトップ8。2シーズン目はトップ8の力を確立させてトップ4を狙う。3年目はセミファイナルに進出。そして4年目はファイナリストに、願わくばナンバーワンになることです。4年と言うのは、もちろん正直に言うと相当なチャレンジです。8年、9年の方が実現しやすいでしょう。しかし、Hondaの「Power of Dreams」と言う理念を考えるなら、4年と言う期間が本当に革新的に、勇気を持って目標達成に努力できると考えました。だから、それがゴールです」




――ご自身のラグビー哲学とはどういうものであり、そこがどのようにヒートに合致したのか。


ラグビーにはいろいろなプレーの仕方がある。自分の得意なプレーをするのはもちろんだけど、ラグビーには苦手なプレーもある。ボックスキックは好きじゃない。でも、それが効果的にできるならそれを使わなければならない。革新的でなければならないし、勇気がなければならない。


それが私の哲学の一部です。私の哲学は、常にすべての可能性を考えて試すこと。それは、私が幼少期に所属していた小さなクラブに遡ると思っています。私たちはただの農家の少年たちで、いい選手もあまりいなかったし、ただやりたいようにプレーするだけだったら結果は出なかった。でもボールを持ってプレーするのは楽しかったし、色々考えてやったらもっと楽しくなった。ラグビーはプロフェッショナルになっていろいろなことが変わりました。いろいろ試してみないといけません。みんなと同じことをしていては、後追いしているだけになってしまう。僕はいろいろ試したい。新しいことをやってみたいんです。だから新しいチャレンジをして、試合を楽しむ。それが私の哲学です。

――応援してくれるファン、地域の人たちに対して


ラグビーはゲーム以上のものであり、私たちにとって人生の一部なのです。だから応援してくださる皆さんにとってもラグビーが人生の一部となるように、サポーターや地域の人に、グラウンドの内外で自分たちが誇りに思ってもらえるように努力します。


LOフランコ・モスタート



――ヒートのFWの強み


今までのディビジョン2でも簡単な試合はなかったが、今度はトップチームを相手にするので、さらに厳しい戦いになるだろう。スクラムとラインアウトでしっかりとプレッシャーをかけていきたい。スプリングボクスのチームメイトとの対戦も多く控えているが、相手を気にせず、自分たちにフォーカスして全員でハードワークしてきたものを試合で出したい。


――スプリングボクスが世界一になれた理由とご自身が世界一のチームの一員になれた理由


お互いに多くの時間を過ごしたと言うのがあります。2016年から一緒だったと思う。当初ボクスは2023年のワールドカップで優勝するという目標を持っていました。2019年はつまりプランされたものではなかったんですけど、優勝トロフィーはいくつあってもいいものです。それにコーチ陣にはしっかりとしたプランがあって、それを選手たちが信じて遂行できた。そう言うことだと思っています。





――フランス代表に14人で守り切った時間帯があったと思うんですけれども、あの時みんなどういうことを思っていたか。ご自身はどういう気持ちでプレイしていたか思い出していただけますでしょうか?


ワールドカップの舞台じゃなくても、やっぱりどのカテゴリーでもやっぱりレッドカードっていうのは状況的にやっぱり苦しい状況にはなるんですけど、その中で自分たちがこれだけ高いマインドを持つか。まあ最悪のシナリオをどれだけ想定できるかっていうところが大事だと言うことをすごく痛感しましたし、そこからどれだけ遂行できるかっていうふうに感じました。まあ先ほどHCが冗談でボックスキックは嫌いだっていう話はされたんですけど、でもその中でもまあやらなきゃいけないとか、嫌いだとしても、それをやらなきゃいけないっていうこと、どんな状況でもやらなきゃいけないことがあるいうふうに感じました。


――ではその試合含めて結構ギリギリの経験を何度もしてきたと思うんですが、そういう経験はご自身にどういうものを与えてくれていますでしょうか?


フランス戦に限らず、アウェーでの試合だったりとか、国を代表するような試合はやっぱり難しいところもありますし、すごく自分自身が成長できるきっかけを作ってくれたりするんですけど、まあフランスでフランス代表に対してしっかり勝ったことで優勝という目標達成できるなっていうふうに感じました。

FL古田凌

古田凌

古田凌



――ディビジョン1で戦えるFWの強み


昨シーズンに比べると、まあスクラムでもラインアウトボールでもすごく質の高いものが出来上がっていますし、もちろん僕たちはそれを強みにして、戦っていこうと思ってます。本当に、あとは試合でどれだけ自分たちのやってきたことを出せるかと言うことにフォーカスを置いてできるかだと思うので、そこはやっぱりシーズン通して成長し続けられるチームでやりたいですし、本当にFWのところではすべてにおいて強みとして僕たちはやっています。


NO8カイポウリ

――ディビジョン1で戦えるFWの強み


FWはチームの強みで、去年もFWでプレッシャーをかけてきた。ディビジョン1で戦うことになるが、最近のプレシーズンマッチでも、強い相手にセットプレーでプレッシャーをかけることができていると思うので、それができれば戦える」と手応えを見せた。


記事検索

バックナンバー

メールアドレス
パスワード
ページのトップへ