女子ラグビーワールドカップ2025・イングランド大会のサクラフィフティーンが日本時間7日に行われる最終戦・スペイン代表戦のメンバーを発表した。
サクラフィフティーン・スペイン代表戦試合登録メンバー
1 加藤幸子(横河武蔵野アルテミ・スターズ 25) 32Caps
2 公家明日香(アルカス熊谷 30) 24Caps
3 北野和子(三重パールズ 25) 24Caps
4 佐藤優奈(東京山九フェニックス 26) 26Caps
5 吉村乙華(アルカス熊谷 24) 31Caps
6 川村雅末(横河武蔵野アルテミ・スターズ 26) 24Caps
7 長田いろは(C)(アルカス熊谷 26) 42Caps
8 ンドカ・ジェニファ(北海道ディアナ 24)16Caps
9 阿部 恵(アルカス熊谷 27) 34Caps
10 大塚朱紗(アルカス熊谷 26) 38Caps
11 今釘小町(アルカス熊谷 23) 32Caps
12 弘津 悠(ナナイロプリズム福岡 24) 19Caps
13 古田真菜(東京山九フェニックス 27) 38Caps
14 松村美咲(東京山九フェニックス 20) 14Caps
15 西村蒼空(三重パールズ 24) 23Caps
《リザーブ》
16 谷口琴美(横河武蔵野アルテミ・スターズ 30) 28Caps
17 峰 愛美(日体大4年 21) 14Caps
18 永田虹歩(三重パールズ 24) 31Caps
19 櫻井綾乃(横河武蔵野アルテミ・スターズ 29) 25Caps
20 齊藤聖奈(三重パールズ 33) 52Caps
21 津久井萌(横河武蔵野アルテミ・スターズ 25) 44Caps
22 山本実(横浜TKM 28) 40Caps
23 香川メレ優愛ハヴィリ(ナナイロプリズム福岡 23) 5Caps

NZ戦からの先発変更は3人。No8ンドカ・ジェニファとSH阿部恵がリザーブから、WTB松村美咲がノンメンバーから繰り上がったほか、香川メレ優愛ハヴィリが今大会初めてメンバー入りした。
1加藤幸子2公家明日香3北野和子4佐藤優奈5吉村乙華6川村雅末7長田いろは10大塚朱紗11今釘小町12弘津悠13古田真菜15西村蒼空の12人はワールドカップ3試合すべて先発。
一方でPR小牧日菜多、町田美陽、HO小鍛冶歩、FL向來桜子、CTB安藤菜緒、追加召集のBK西亜里沙は1試合もメンバー入りせずに大会を終えることになる。
レスリー・マッケンジーHC

レスリー・マッケンジーHC
「これ以上言えないほどにスペイン戦が楽しみです。最後までストロングフィニッシュしたいというだけでなく、ここまでの2戦も含めてベストな結末を迎えたい」
――セレクションの狙いは。
「ベストチームの23人を選びました。大会中、出場時間がかさんでいる選手もいる一方で、フレッシュな選手も出場させたい。私たちは『サクラスタンダード』というテーマを掲げていて、プッシュアップしている選手、それぞれの武器を磨いてきた選手を選びました。No8とSHの変更についても、自身のスタンダードを高める姿勢をトレーニングで見せている選手をスターターに選びました」
――結果にこだわる気持ちは。
「私たちは相手がスペインだからということではなく私たち自身にフォーカスして、ジャパンのスタンダードを示す、我々らしいパフォーマンスをお見せすることを目指しています。スペインとは今年すでに2試合をしていて、お互いについての情報を持っているけれど、それもあまり関係ない。テーマは『ABOUT US』。自分たちの力を出すことです」
――80分の戦い方のイメージは。
「ストロングフィニッシュを目指すよりもスタートが大事だと考えています。アイルランド戦は最初の20分の失点が響いたし、NZ戦は前後半とも最初の時間帯に得点を取れたことで我々の地力を示すことができた。スペインは7月の日本戦のあとイングランドと対戦するなど1戦ごとに強くなっていて、手ごわい、うるさいチームだとわかっているけれど、こういう相手にうまくゲームマネジメントして臨みたい」
――大会全体の感想は。
「私にとってワールドカップは4回目、コーチとしては2回目ですが、観客の多さ、サポート、ボランティアの皆さんの働き、すべてに感銘を受け、感謝しています。こんなに盛り上がりを感じるワールドカップは初めてです」
「ここまでの2試合は世界3位と5位のチームとの戦いだった。結果は2連敗しているけれどすべてがネガティブな結果だったとは思っていません。ナイーブなところはあったけれど、日本の女子ラグビーの環境、ナショナルチームの置かれた状況からいって現実的な結果だと思っています。NZを相手にFWはセットプレーでよく戦ったと思う。もちろんブラックファーンズのような幅をもってのアタック、個々の才能の差などは正直に受け止めて、話し合っているところですが、この2試合でサクラxvのスタンダードは示せていると思う」
――リザーブに香川メレを抜擢した理由とノンメンバーたちの献身について。
「メレについては7月のスペイン戦でどれくらいやれるか分かっていた。今回は32人のメンバーでイングランドに来ていて、その中で試合に出られるのは質の高い選手だけになっていて、試合に出られない選手がいるのは不運なことだと思う。ただそれは、彼女たちの質が低いのではなく、もっとクオリティの高い選手がいて、練習から一貫性のあるパフォーマンスを見せている、チームをプッシュする質が高いということです。
そんな中で、香川メレはエネルギッシュなボールキャリー、コネクションづくり、コミュニケーションのスキルが高く、他の選手とは少し違う能力を持っている。後半、彼女がピッチに入ったら、それまでのジャパンとは一味違う形をお見せできると思う。
チームの選手たちはみな、試合でジャージーを着たいという強い想いで、毎日の練習に全身全霊で取り組んでくれている。HCとしてはタフです」
長田いろはキャプテン

長田いろはキャプテン
「すごく良い準備ができています。スペインとは日本で2度対戦したけれど、そこからワールドカップ期間中に成長しているし勢いがある。そのプレッシャーはあるけれど、受けずに戦いに行きたい。タフな試合になるけれど、サクラxvのスタンダードを試合で発揮して、勝って終わりたい」
――目指していた8強が消滅して、モチベーションが難しかったのでは。
「NZ戦で8強はなくなったけれど、私たちは3年間積み上げてきたことを最後の試合で出したいという思いがあるし、次のサクラxvに向けてすごく大事な試合になるので、勝って次につなげたい」
――大会の盛り上がり、日本への応援について。
「ありがたいです。現地まで来てくださって日本を応援していただいていることはすごく力になっています。私たちの次の若い世代に向けてもその感謝とともに、女子ラグビーのワールドカップを目指したいと思ってもらえるような試合をしたい」
――ノンメンバーも含めたチームの盛り上がり、貢献度について聞かせてください。
「本当に32人全員がチームにコミットして、準備をしてくれている。ノンメンバーになった選手たちは悔しいと思うけれど、自分の役割をしっかり理解して100%やってくれている。本当に良いチームになっていると思います」
FL吉村乙華

吉村乙華
――スペイン戦に向けた抱負を。
「FWとしてセットプレーを安定させて、良いボールをBKに供給して、国内で対戦した時と同じようにFWから勢いをつけていきたい。スペインは日本で2試合やったときとは違うチーム。アイルランド、NZとの試合を見ても、モメンタムのある、勢いのあるチームになっているので、そこに負けずにやっていきたい」
――過去の2試合を振り返ると。
「アイルランド戦は自分たちのペースを作れず自信をもって戦うことができなかったけれど、NZ戦では強みのラインアウトモールが機能してトライも取れた。今度の試合に向けて強みになると思う。セットプレーでボールをしっかり獲得して、モールでトライを取ったり、BKのトライの起点を作れるといいなと思っています」

――チームとして成長している部分は。
「特に成長しているのはモールだと思います。モールは何度組んでも同じものはない。戦術が確立していて意思疎通ができていても、実際に体をぶつけあわないとどこに穴があるか分からない。そこの練習と実践をずっとやってきたことが生きていると思います」
――日本チームでは一番体の大きな選手ですが、どんな気持ちでワールドカップに臨んでいますか。
「確かにチームでは一番大きいですが、海外と対戦すると自分よりも顔1個分大きい選手がザラにいる。自分は『大きいけれど大きくない』という感覚で、ラインアウトなら完全に上げ切る、跳びきる、低いタックルをやり切る、という意識でやっています。個人としては、前回のワールドカップでは自分のことで精いっぱいで、チームのことを考える余裕はなかった。今回は、3年間フィジカルとメンタルの両方で成長できたし、私だけでなくチームのみんなが自立してオーナーシップを発揮できていると思います」
SH阿部恵

阿部恵
――最終戦でこれまで2試合のリザーブからスターターに上がりました。
「ここまでの2試合に向けた練習では、他のノンメンバーと一緒に、スタートに入ったメンバーにプレッシャーをかけていくことを心掛けていました。今回はスタートなので、最初から自分らしいプレーを出していきたい」
――自分らしいプレーとは、具体的には。
「強気なプレーですね。アタックで前に出ることと周りの選手を活かすこと。ディフェンスでも自分が(タックルに)入るところは入って、FWをオーガナイズするところはオーガナイズして動かしていきたい」

――サクラxvのSHを争う津久井萌さんとはどういう持ち味の違いを感じていますか。
「2人とも負けず嫌いですが、私の方がより強気かな(笑)。プレーで言うと、萌ちゃんはディフェンスと、アタックではキックの精度が高い。自分はアタックではパスやキックで味方を活かしながら自分でも行く。負けない気持ちでやっています」
――負けないとは、相手に?ライバルに?
「ライバルに、です(笑)」
――身長147cmは大会全体でも一番小柄だと思いますが、その体で戦う秘訣を。
「私の場合、日本でやっているときも周りは大きい人ばかり。常に大きい人とやっているので、海外が相手だといっても違いはありません。自分はスピードがあるので、大きい人が疲れてきたときに、そこへどんどん仕掛けていこうと思っています」
――SHとして間近で見ているFWの成長ぶりについて。
「試合中、セットプレーが安定しているし、モールで前に出るのが頼もしいです。SHはFW合宿にも参加していて、FWの選手たちがハードな練習をしてきたのをずっと見てきましたが、最初の頃はしんどそうだったのが、合宿を重ねる中でFWが一丸となって頼もしくなってきました」
――3戦目でリザーブ入りした香川メレ選手はアルカスユース出身で、よく知っている選手だと思います。彼女のここまでの努力をどう見ていましたか。
「本当に、メンバーに絡むのは簡単じゃないと思ったけど、ノンメンバーのときも練習からメンバーにすごくプレッシャーをかけてくれていた。ラグビー面ではボールキャリーの強さが武器なので、後半に入ってきたらアグレッシブにボールをもって前に出て、日本でのスペイン戦のようなパワフルなトライをスコアしてほしいです」