4月20日、7日から19日まで香港で行われていた「IRBジュニアワールドラグビートロフィー(JWRT)2014」で初優勝したU20日本代表が帰国した。U20日本代表は、JWRTで優勝したことにより、来シーズン、イタリアにおいて12チームで行われる「IRB ジュニアワールドチャンピオンシップ(JWC=U20世代の1部相当の国際大会)」への昇格を決めた。
U20日本代表(プールB) JWRT2014 結果
予選プール
4月7日 ●U20日本代表28-33 U20ウルグアイ代表
4月11日 ○U20日本代表 34-28 U20ナミビア代表
4月15日 ○U20日本代表 37-12 U20カナダ代表
※ プールBを首位(2勝1敗、勝点12)で通過
優勝決定戦
4月19日 ○U20日本代表 35-10 U20トンガ代表
※JWC2015への昇格決定。JWCへの参戦は自国開催だった2009年大会以来のこと(当時は16チームが参加)
初戦の対U20ウルグアイ代表戦の敗戦『ジャパンのプライドを見せろ!』
帰国したばかりのU20日本代表の沢木敬介ヘッドコーチ(HC)は、まず初戦の対U20ウルグアイ代表戦の敗戦(●28-33)について下記のように述べた。
「(初戦で負けた)ウルグアイの闘志はすごかったです。僕らにも伝わってきました。やはり試合では勝ちたい気持ちを込めないといけないと思いました。負けた次の日の練習が一番ハードだったし、その後の試合では『ジャパンのプライドを見せろ』と言い続けました。 昨年度の大会よりウルグアイ代表もナミビア代表もレベルが上がっていた。特に一戦目は、どの国もターゲットにしていたので、それ以降の試合とは全然パフォーマンスが違っていましたね。だけどジャパンは、しっかりとトレーニングしていたので、初戦で敗戦しても、そこから上がっていくことができました」
U20世代もフィジカルで勝負する時代になってきた
沢木HCの言うとおり、その後は尻上がりに調子を上げる。U20ナミビア代表、昨年度の大会で敗れていたU20カナダ代表に勝利し、プールBを首位で通過。そして決勝戦ではU20トンガ代表に快勝し、初優勝を決めた。沢木HCはふり返る。
「昨年度の大会ではスクラムで負けたので、スクラムを強化し安定させることができました。またフィジカルトレーニングに取り組み、ファンダメンタル(基本)スキルに対する意識の徹底をブレずにやってきました。これらはすぐには結果が出ない部分ですが、最後は勝つことができたので、やってきた甲斐がありました」
メンバーをある程度固定できたことも大きかったようだ。「昨年に続いてJWRTに出場できた選手が9人ほどいました。また昨年8月のアジア予選に出場していたメンバーも多かった。継続的に強化することができて良かった」(沢木HC)
参加メンバー中、唯一の3度目の出場だったSO松田力也主将は(帝京大2年)は、初の優勝をこう振り返った。「JWRTでやっと優勝できて素直にうれしい。今まで越えられなかった壁を自分たちの代で越えることができました。JWCに昇格することができて日本ラグビーが良い方向に進んでいくと思う」
U20日本代表はJWRTで優勝したことで、来シーズン、世界のトップ12チームが集まってイタリアで開催されるJWCに参戦する。来シーズンもU20日本代表として試合に出場できるHO堀越康介(帝京大1年)が「1年で降格しないように、と先輩たちに言われました」と言うとおり、2019年にラグビーワールドカップを自国開催で迎える日本にとって、U20世代の代表チームがJWCで戦い続けることが日本代表の強化という面では欠かせない。
日本代表のエディー・ジョーンズHCはU20日本代表がJWRTに優勝したことに対して聞かれると「本来いる位置に戻っただけです。もっとフィジカルトレーニングをもっとしなければいけない」とコメントし、沢木HCも「この世代でもラグビーはフィジカルになってきました。来年のJWCに向けて、すぐに始動しないといけない」と先を見据えた。
斉藤健仁 スポーツライター。1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。印刷会社の営業を経て独立。サッカーやラグビー等フットボールを中心に執筆する。現在はタグラグビーを少しプレー。過去にトップリーグ2チームのWEBサイトの執筆を担当するなどトップリーグ、日本代表を中心に取材。プロフィールページへ |